『あみにーのテン上げごはん88』(扶桑社刊)を上梓したあみにーさんは、「あみにーちゃんねる」(登録者数23.9万人※2023年6月現在)が人気のYouTuber。昼は会社員として働く兼業YouTuberですが、なぜ人気チャンネルを育ててレシピ本を出版するまでにいたったのか、お話を伺いました。

「母や祖母の味を再現したい」が原点

あみにーさんは1994年生まれ、宮城県の出身。大学進学とともに上京しましたが、本格的に自炊を始めたのは就職してからだそうです。

●自分は料理に向いてないと思っていた

あみにー:大学時代は寮生活だったんです。寮のキッチンは共同だったので、そんなに手の込んだものはつくれなくて。就職して一人暮らしを始めてから自炊を始めました。でも、おおざっぱな性格だし、自分は料理に向いてないかなと思っていたんです。

――そこから料理に目覚めていったのは、なにがきっかけだったんでしょうか?

あみにー:社会人になったばかりの頃、仕事がうまくいかなくて落ち込むことが多かったんですよね。もともとこれがやりたいってものがなくて、手に職をつけようと思ってIT系の会社に就職したのですが、自分よりもレベルの高い人や仕事に情熱をもっている人たちと出会って自信をなくしてしまって…。そんなとき、母や祖母が料理をつくって送ってくれたり、こちらに来て料理をつくりおきしていってくれたりして、その料理を食べたらすごく元気が出たんです。そこから、自分でもこの味をつくりたいなと思ってレシピを聞いてつくるようになりました。こんなものが家でつくれるんだ、っていう達成感は仕事では得られなかったものだったので、みるみる料理にハマっていきました。

――YouTubeを始めたのもその頃ですか?

あみにー:そうですね。仕事がつらくて、上司にもいやなことを言われたりして、なにか別のことで成功して見返したいという気持ちもあって(笑)。自分の価値を見つけたいなって。そのころYouTubeを観るのにハマっていたので、これなら自分もすぐにできそう! と思って始めました。最初は自分がしゃべったりする動画をつくっていたのですが、あんまりおもしろいことが言えなくてやめました(笑)。再生数も伸びなかったです。

●料理のハードルをもっと下げていきたい

――YouTubeと料理が結びついたのは、なにがきっかけだったんでしょうか?

あみにー:仕事でかなり参ってしまったとき、元気な動画を観られなくなったんです。海外の無音動画とか、そういうものを観て癒やされるようになって。そこで、自分の動画でもしゃべるのをやめて、ただの日常動画を上げるようになったのですが、そのなかで料理しているシーンに対して視聴者さんから「自炊してて偉い」ってコメントが来るようになったんです。それで楽しくなって料理の動画を上げていたらいつのまにか「料理系」って認識されることが増えていきました。

――今後も料理系の活動を続けていく予定なんでしょうか?

あみにー:「自炊してて偉い」ってコメントが来たときに、これって偉いんだ…って思ったんですよ。視聴者さんにとって自炊ってハードル高いんだなって。だから私の動画を観て、料理のハードルが下がってくれたらいちばんうれしいです。料理の動画は多いですけれど、完全に料理だけを見せるんじゃなくて今でも日常を見せるように意識しているのは、ハードルを下げたいから。でも同時に、自分の料理にもっと説得力をもたせたいなと思っています。野菜ソムリエの資格は取りましたが、管理栄養士やフードコーディネーター、パンシェルジュなど資格を増やして、「この人の料理なら」って説得力をもたせられるようになりたいですね。

――そうなると、今後はお店をもったりなどの夢もあるんですか?

あみにー:料理教室とか、1日店長(女将)とかやってみたいです! 夢はたくさんありますね。今回の料理本の撮影をとおして、やっぱりお皿が好きだなと思ったので、器とコーディネートについても発信していきたいですし。野菜が好きなので、野菜を自分の手で育ててそれを食べるというのもやりたいです。そういう願望をこれからもYouTubeをとおして発信して、みんなに料理や食材、器などを身近に感じてもらえたらうれしいです。

発売中の『あみにーのテン上げごはん88』は、オールあみにーさん所有の器でコーディネートされているのも見どころ。懐かしい実家の味や、野菜たっぷりレシピなど満載です。