40代、50代になると悩ましいのが「親の家の片づけ問題」。放っておくとケガの原因になったり、いざというときに必要なものが見つけられず困ることも…。そこで片づけ講師の渡部亜矢さんに、実家の片づけのモヤモヤを解消してもらいました。

捨てやすいものリストつき!実家の片づけのモヤモヤ解消します

実家の片づけはいつかはやらなきゃと思いつつ面倒に感じ先延ばしにしがち。スムーズな始め方や進め方のポイントを、プロに教えてもらいました。

●これからの暮らしを一緒に考えることが大切

親が病気になったり、施設に入ったりするのをきっかけに多くの人が直面する実家の片づけ。ものが多くて業者を頼むのにお金がかかり、意見が対立して、大変な思いをすることも。

「自分の親はいつまでも元気だと思いがちですが、日本人の健康寿命の平均は男性72歳、女性75歳。親の体が不自由になって動きにくくなる前に、実家の片づけを手伝いながら、親の暮らし方や大切なものの場所を把握しておくのが理想です」と、実家片づけアドバイザーの渡部さん。

元気なうちに始めれば、今後親が暮らしやすいように動線を確保したり、暮らしやすくリフォームしたりすることもできます。

「転倒などの危険も減らすことができ、身の回りのことや家事もスムーズに。健康寿命を延ばすことにもつながります。また、実家を片づけるのにものが多すぎて業者を呼び、百万円単位のお金がかかったという話もあります。同じお金を使うなら、元気なうちにリフォームや旅行に使った方が、有効ではないでしょうか。

そこで、実家の片づけの始めどきや、進め方のコツについて、具体的に教えてもらいました。

こんなときどうする?実家の片づけQ&A

実家の片づけは勝手に進めると衝突しやすいもの。ひとりでかかえこまず、親と一緒に片づける気持ちで取り組むとお互い気持ちがラクになりますよ。

●Q1:「捨てる」ことに抵抗のある親。どうやって片づけたらいいの?

A:まずは整理して移動して床をすっきりさせて

片づけ=捨てるではありません。最初は床のものを移動させるだけでもOK。また、目につくものは愛着があることが多いので、捨てるなら物置の奥にある“気持ちから遠いもの”を優先。左のリストも参考に。

●Q2:ものがたくさんあり、どこから始めたらいいのかわかりません

A:まずは寝室からトイレまでの動線の確保を

寝室からトイレまでの動線上につまずきやすいものや、よけて通らなければいけないものがないかチェック。体調が悪いときでも必ず通る場所なので、最優先で片づけを。1か所でも片づけば、弾みになります。

●Q3:親にとって使いやすい収納とは?

A:見た目重視ではなく、手に取りやすさを重視して

見た目を重視し、同じボックスなどを並べてきれいに整えると、親はなにがどこにあるかわからなくなってしまうことも。ラベリングも読むのが大変です。

よく使うものはひと目で見やすく、手に取りやすい場所に。

●Q4:親も自分も負担なく片づけられるものはある?

A:自分が実家に残したものを片づけるのがおすすめ

自分の家をすっきりさせるため、ものを実家に送っていたり、実家に残したままにしたりする人は多いはず。まずは自分のものを片づけながら、「ついでに捨てるものない?」などと声をかけるのもおすすめです。

●Q5:実家が遠くても、できることはある?

A:庭の整備やエアコン掃除はプロに頼むのもあり!

直接片づけを手伝えなくても、庭師を頼んだり、「うちでも頼んでよかったから」と、エアコンや換気扇掃除などをプロに依頼したりするのもおすすめです。家に人を入れることで、周辺を片づけるきっかけにもなります。

目につくものより「気持ちから遠いもの」がおすすめ<捨てやすいものリスト>

□2年以上使っていない寝具類
□ 使っていないじゅうたん・座布団
□ 古い飲み残しの薬
□ 壊れた家電(テレビ、ラジオ、ステレオ、ラジカセなど)
□ 使わないキッチン用具(ジューサー、パン焼き器、鉄板焼きセットなど)
□ 使っていない健康器具(ぶら下がり健康器、腹筋マシンなど)
□ 動かない冷暖房機器(古い扇風機、ストーブなど)
□ 使わない編みものグッズやミシン
□ 使い古した家具
□ 旧式のワープロやパソコン、プリンターなど(初期化してデータを削除してから)
□ 期限ぎれのチラシ
□ 2か月以上前のカタログや雑誌
□ 賞味期限ぎれの食品
□ 使っていないお風呂アイテム
□ 使っていない重たい掃除機、掃除グッズ
□ 2年以上履いていない靴
□ 2年以上使っていないスーツケース、旅行カバン、ハンドバッグ
□ 2年以上着ていない毛皮、コート、ジャケット類
□ 期限ぎれの防虫スプレー(缶の処理方法は自治体に従う)
□ 使っていない植木鉢
□ 乗らない自転車