6月9日に最終回を迎えたドラマ「波よ聞いてくれ」。小芝風花さん演じるスープカレー店のアルバイト店員・鼓田ミナレが、あるきっかけでラジオ業界へとスカウトされ、ラジオパーソナリティーとしての才能を発揮。ラジオ局を舞台に、キャラクターの濃い面々とともに、既成概念を覆した何でもありの番組を届けていく…というストーリーです。ここでは、感動の最終回を迎えた本作を振り返ります。

最後までラジオ愛に溢れた『波よ聞いてくれ』

他番組の炎上騒動を解決したり、引きこもりの青年を見事に社会復帰させたりと、パーソナリティーとして成長を遂げてきたミナレが、ラジオ業界のイベント「ジューンブライド・ラジオ」の最終候補に。そんな矢先、ミナレが恐れるしっかり者の母・唯(高島礼子)が、自分のダメ男好きを受け継いでしまった娘を心配し、見合い話を持ちかけるためミナレの前に現れます。

押し問答の結果、「ジューンブライド・ラジオ」への出演が決まればミナレの好きにしていいけれど、もし落選したら地元の北海道へ連れて帰る…と母は断言。選考に通るためにも、次の放送へ向けてやる気を出すミナレでしたが、放送当日に突然大きな地震が発生。

街全体が停電し、番組も中止かと思いきや、ディレクターの麻藤(北村一輝)はミナレをラジオ局へ呼び出し、「こういうときだからこそ、お前の声をラジオで届ける意味がある」と伝えます。

●親密さやスピード感。ラジオならではの大きな魅力が生きた最終回

覚悟を決めたミナレが挑むのは、朝までノンストップの生放送。番組へ届いた他愛ないエピソードから、お役立ち情報まで、暗闇の中で不安を抱えるリスナーたちへ、「一人じゃない、大丈夫」と言葉を届けます。

ここから伝わってくるのが、ラジオ独自の距離感。パーソナリティーが直接リスナーへ話しかけているような親密さや、リスナーのリアクションをすぐに反映していくスピード感は、ラジオならではの大きな魅力です。現実のラジオ番組でも、ほかのメディアでは語らないようなエピソードを披露したり、重要な発表を行ったりと、パーソナリティー自身がラジオを特別な場として捉えていることも多いもの。

第4話でも、放送作家の久連木(小市慢太郎)が、「放送事業としてラジオがテレビに勝っているもの」として、地域密着性、災害への対応力、反応の速さ、そして「自由」を挙げていました。

最終話は、そうしたラジオの強みが発揮された、集大成的な回となったのではないでしょうか。ドラマとしてのおもしろさだけでなく、ラジオへの愛も存分に込められた本作。最近では手軽なラジオアプリが普及したこともあって、またラジオを聴くようになったという人も増えているよう。劇中の番組のような、自分にとってのお気に入りの番組やパーソナリティーを見つけてみるのも、楽しいかもしれません。