Googleは2023年5月16日に、2年間利用されていないアカウントを削除することを発表しました。この話題を扱ったソーシャルニュースサイト・Hacker Newsのスレッドでは、営利企業であるGoogleが休眠アカウントを整理することに理解を示す意見がある一方で、永遠にメールを保存できることをうたっていたGmailサービス開始時の主張と矛盾しているとの批判もなされています。

Updating our inactive account policies | Hacker News

https://news.ycombinator.com/item?id=35966318

Gmailの提供が開始されたのは、今回の発表から約19年前の2004年4月1日です。この日のブログ投稿で、Googleは「人々がメールをいつまでも大切に保管できるようにすべきであると考えています」と述べて、Gmailにはそれを実現可能とする豊富なストレージがあることを強調しました。



また電子掲示板のSlashdotにも、Gmailのサービス開始についてのニュースを引用した投稿が残っています。その中で当時の記者は「Googleは、まだテスト段階のGmailというサービスで、電子メールユーザーに1GBの無料ストレージを提供し、ユーザーがアドレスを変更する必要をなくすようです。加えて、検索機能も提供して、ユーザーが自分の電子メール一式を永遠に検索できるようにするつもりでしょう」とつづりました。



さらに、当時Googleでエンジニアリング担当バイス・プレジデントを務めていたウェイン・ロージング氏は、ニュースサイト・CNETの取材に対して「このアイデアは、あなたのメールが永遠に存在できるということを意味しています。いつでもインデックスを付け、いつでも検索し、いつでも過去のメールを読めます」と述べています。



Gmail以前にも無料メールサービスはありましたが、MicrosoftのHotmail(現在のOutlook.com)のストレージは2MB、Yahooのメールサービスも4MBと、非常に少ない容量しか用意されていませんでした。そのため、当時の電子メールユーザーは読了後のメールを削除し、大切なメールは出力して別の場所に保管するのが当たり前だったとのこと。

こうした中、1GBという破格のストレージを無料で提供したGmailは、読んだ端からメールを削除する習慣を一変させるものであったと、crazygringo氏というHacker Newsユーザーは指摘しています。

前述の2004年当時の記事を見つけたHacker Newsユーザーは、「当時は永久という意味だと思っていましたが、バカでした」とコメントして、サービス開始時の「永久」という表現が、ストレージの大きさを示した比喩表現に過ぎなかったことに落胆した様子を見せました。



一方crazygringo氏は、スレッドで最も多くの賛成票を集めた投稿の中で「ここには多くの批判コメントがありますが、営利企業が提供するものとして2年の期間はかなり妥当だと思います。もしこれが政府による公共サービスなら話は別です。しかし、広告と引き換えに無料でサービスを提供する営利企業なのですから、休眠アカウントのストレージを2年以上提供し続けることを期待する理由はないでしょう」と、Googleの決定を擁護しました。