第6回WBCの予想メンバーを3人の記者が選出 大谷翔平、佐々木朗希、村上宗隆以外も逸材だらけ
大谷翔平(エンゼルス)、ダルビッシュ有(パドレス)を筆頭としたメジャー組と、山本由伸(オリックス)、佐々木朗希(ロッテ)、村上宗隆(ヤクルト)など日本プロ野球界を牽引する若き選手たちの活躍で、第5回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)を制した日本代表。歓喜の世界一から1カ月が経ったが、早くも2026年に開催される第6回WBCのメンバーを予想する声があがっている。そこで3人の記者に3年後の日本代表に入るべき選手を選んでもらった。
今季、オリックスの開幕投手を務めたプロ3年目の山下舜平大
中島大輔氏(ライター)
投手
大谷翔平(エンゼルス)
佐々木朗希(ロッテ)
山本由伸(オリックス)
今永昇太(DeNA)
千賀滉大(メッツ)
菊池雄星(ブルージェイズ)
平良海馬(西武)
今井達也(西武)
山下舜平大(オリックス)
才木浩人(阪神)
森下暢仁(広島)
小笠原慎之介(中日)
栗林良吏(広島)
八尋大誠(グラウンドキャニオン大学)
捕手
坂倉将吾(広島)
一塁手
村上宗隆(ヤクルト)
二塁手
牧秀悟(DeNA)
三塁手
野村佑希(日本ハム)
遊撃手
紅林弘太郎(オリックス)
左翼手
佐藤輝明(阪神)
中堅手
ラーズ・ヌートバー(カージナルス)
右翼手
鈴木誠也(カブス)
指名打者
大谷翔平(エンゼルス)
侍ジャパンが第5回WBCで3大会ぶりの優勝を果たした原動力は大会随一の投手力と、一発も含めた打力だった。前者は戦前から日本の武器と言われた一方、攻撃ではこれまでついて回った「スモールベースボール」が影を潜め、日本野球に変化が起きつつあると感じた。
WBCの意義のひとつは、ダルビッシュ有(パドレス)や大谷翔平(エンゼルス)、ラーズ・ヌートバー(カーディナルス)が示したように、海外組のメジャーリーガーがNPB組に"化学変化"を起こせることにある。
そうした意味で、侍ジャパンの宮崎合宿から参加したトラックマンの日本代表・星川太輔氏がフェイスブックに投稿した内容が興味深かった。大谷は打撃練習中、1球ごとにトラッキングデータ(打球角度や打球速度など)を確認していたというのだ。アメリカの大学を経て当地の独立リーグでプレーした右腕投手の赤沼淳平によると、同リーグでも打撃練習ではそれが普通の光景であるという。
今回、日本ラウンドで山田哲人(ヤクルト)、岡本和真(巨人)の放物線を描いた打球が外野フェンスぎりぎりで捕られるシーンを目にしたが、練習から打球速度や角度を意識して打つようになると、これらの打球が外野フェンス直撃、あるいはスタンドインに変わっていく可能性がある。
大谷の打撃練習を目にした選手たちはいろいろ感じているはずで、今後、日本の打者もテクノロジーをうまく使ってレベルアップしていくのではないか(投手の取り組みはすでに進んでいる)。以上の観点から、2016年WBCの日本代表候補として強打を期待できる打者を中心に選出した。
投手については、2023年大会でメンバー入りしなかったメジャー組の千賀滉大(メッツ)や菊池雄星(ブルージェイズ)に日の丸を背負って大舞台で投げてもらいたい。山下舜平大(オリックス)や才木浩人(阪神)など、今後飛躍が期待されるメンバーを選んだ。
そのなかで八尋大誠は、アメリカのグラウンドキャニオン大学でプレーする大型左腕投手。筆者は生で見たことはないが、メジャーのドラフト候補で、信頼する複数のトレーナーが「こいつはすごい」とポテンシャルについて太鼓判を押している。既存のルートとは異なる道を歩む選手が日本代表に入ると球界全体に好影響が生まれるはずで、期待を込めて名前を挙げた。
楽天の大型右腕・松井友飛
安部昌彦氏(ライター)
投手
今永昇太(DeNA)
大谷翔平(エンゼルス)
森下暢仁(広島)
山本由伸(オリックス)
松井友飛(楽天)
戸郷翔征(巨人)
佐々木朗希(ロッテ)
山下舜平大(オリックス)
高橋宏斗(中日)
小園健太(DeNA)
西舘勇陽(中央大)
常廣羽也斗(青山学院大)
上田大河(大阪商業大)
前田悠伍(大阪桐蔭高)
捕手
坂倉将吾(広島)
一塁手
岡本和真(巨人)
二塁手
牧秀吾(DeNA)
三塁手
村上宗隆(ヤクルト)
遊撃手
源田壮亮(西武)
左翼手
吉田正尚(レッドソックス)
中堅手
鈴木誠也(カブス)
右翼手
栗原陵矢(ソフトバンク)
指名打者
内藤鵬(オリックス)
今回のWBCは"優勝"という結果以上に、選手たちのプレーそのものに強烈な感動を覚えた。スピード、技術、精度の高さ......なにより一球一打のプレーにかけるパッションの素晴らしさが、何度も心に刺さったものだ。才能あふれる選手たちが本気になった時のすごみは、想像をはるかに超えていた。
そんな感動が冷めやらぬタイミングで、早くも次回WBCの侍ジャパンのメンバーを占ってほしいという注文をいただいた。
次回WBCの開催は3年後なので、現在はアマチュア球界に所属している選手もプロに進んでいるという想定で考えた。
開催が予定されている時期は今回と同じ3月中旬〜下旬ということで、比較的調整の早い若手選手を多く選んだ。今のところほとんど実績を残していない選手もいるが、素質とここまでの成長曲線を見込んで抜擢した。
いわゆる「三拍子揃った」というタイプよりは、強烈な特徴を有した選手でないと、バリバリのメジャーが出場するWBCでは仕事にならない。これは今回の大会を見て率直に感じたことだ。
とはいえ、松井友飛(ともたか)って誰? そうした疑問や驚き、戸惑いは、今回のような"人選もの"にはつきものである。球界を代表する大看板選手は説明不要として、現状まだなじみの薄い若手選手たちについては、軽く触れておきたい。
まず松井だが、昨季イースタンリーグで76.2イニングを投げて、6勝1敗、防御率1.17。190センチ、87キロの巨体から豪快に投げ下ろし、ゾーンのなかでボールが暴れるからむしろ打ちづらい。2023年にブレークする選手として、山下舜平大の次に私が期待する剛腕である。
大学生投手の3人はすでに150キロ台をマークしている快腕たち。今秋のドラフトでも1位指名重複が予想される。WBCを見て感じたのは、スピードボールと勝負球になる変化球が絶対条件ということだ。西舘は高速スライダー、常廣と上田はフォークという切り札を持っている。
高校生から唯一選出した大阪桐蔭の前田は、より高いレベルに置いた時ほど力を発揮する天才型。キレ、コントロール、守備、牽制、クイック......すべてを兼ね備えた勝てる投手。本気で投げたらどんな快投をするのか、想像しただけでも楽しみでならない。
捕手は今回の中村悠平的な存在が見当たらないのが心配だが、坂倉将吾のほかに内山壮真(ヤクルト)、松川虎生(ロッテ)の成長も楽しみで、3年後にはメンバー入りを果たしてほしい選手だ。
スタメン陣は今回のメンバーと大きく変わらないが、指名打者には右の長距離砲として内藤鵬(ないとうほう/オリックス)を推したい。内野手の控えには今回の中野拓夢のようなスーパーサブ的な存在として児玉亮涼(西武)。また内田湘大(うちだしょうだい/広島)は、内藤と同じく3年後にはチームで主軸を打っている逸材だ。
最後にこのメンバーを率いるのは誰になるのか? 個人的には、今回の大会でチームに一体感をもたらし、とくに若手投手の力量を100%引き出し、現代のリーダーシップの本質を教えてくれたダルビッシュ有が適役だと思っている。
今秋のドラフト候補、上武大の進藤勇也
菊地高弘氏(ライター)
投手
大谷翔平(エンゼルス)
山本由伸(オリックス)
佐々木朗希(ロッテ)
平良海馬(西武)
奥川恭伸(ヤクルト)
高橋宏斗(中日)
山下舜平大(オリックス)
達孝太(日本ハム)
羽田慎之介(西武)
宇田川優希(オリックス)
北山亘基(日本ハム)
鈴木翔天(楽天)
細野晴希(東洋大)
松本凌人(名城大)
常廣羽也斗(青山学院大)
捕手
進藤勇也(上武大)
一塁手
清宮幸太郎(日本ハム)
二塁手
牧秀悟(DeNA)
三塁手
村上宗隆(ヤクルト)
遊撃手
田中幹也(中日)
左翼手
佐藤輝明(阪神)
中堅手
五十幡亮汰(日本ハム)
右翼手
矢澤宏太(日本ハム)
指名打者
山口航輝(ロッテ)
3年後ということは、現在アマチュアの選手でも日本を代表する選手に君臨している可能性がある。日頃からアマチュア野球を中心に取材する者として、希望を込めて近未来の侍戦士を選ばせてもらった。
実際に選んでみて感じたのは、「左打者偏重」の傾向である。今年のWBCも優勝したとはいえ、鈴木誠也(カブス)が故障辞退したため打線が左打者に偏った。対戦国に強力な左投手をぶつけられ、苦戦したのは記憶に新しい。
3年後の日本代表を想定しても、やはり左打者に好選手が多い傾向は変わらない。とくに外野手は岡林勇希(中日)、辰己涼介(楽天)といったメンバーも選びたかった。
現状、右の強打者で3年後も計算できるのは牧と、このメンバーには入れられなかった岡本和真(巨人)くらいだろう。期待を込めて選出した山口はもちろん、紅林弘太郎(オリックス)、石川昂弥(中日)、井上朋也(ソフトバンク)、井上広大(阪神)といったホープの大化けを待ち望みたい。
また、今年のWBCでは中軸の前に高確率で出塁してくれる近藤健介(ソフトバンク)の存在が際立った。選球眼がよく、相手投手に球数を投げさせる存在も必ず選びたいところだ。
投手陣は実用性というより、スケールを重視して選ばせてもらったため、実戦的かと言われれば疑問も残る。アマチュアからは貴重な左腕でうなるような快速球が投げられる細野、右サイドからえげつない球筋で打者に嫌がられそうな松本、日本人らしい正統的なフォームから好球質のストレートを投げる常廣をピックアップした。
捕手は松川虎生(ロッテ)の成長に期待しつつ、大穴の進藤を選出した。スローイングにかけては今すぐプロに入れても武器にできるレベルで、馬力を生かした打撃も成長途上にある。
3年後に信じられない大変身を見せ、侍ジャパンのユニホームに身を包む選手はきっと現れるはず。今からその日が楽しみでならない。