ヨーロッパリーグ(EL)準々決勝第2戦が行なわれた。昨季のELは鎌田大地と長谷部誠が所属するフランクフルトが、あれよあれよという間に勝ち進み、大会を制したことは記憶に新しい。今季は守田英正の番である。所属のスポルティングが準々決勝に進出。下馬評では5番手に挙げられていた。準々決勝の相手はユベントス。往年の力はないが、スポルティングにとっては格上である。

 だが初戦のアウェーでスポルティングは健闘した。スコアは0−1だったが、内容は上々で、大きな可能性を残しながらホーム、ジョゼ・アルバラーデで行なわれる第2戦を迎えた。

 イタリアは「守備の国」と言われるが、CL準々決勝でイタリア同士の対戦となったミラン対ナポリは、両軍とも攻撃的サッカーを展開。激しい撃ち合いの好ゲームを演じた。それに触発されたわけではないが、ユベントスはふだんの守備的な3バックではなく、この第2戦には4−3−3で臨んできた。

 初戦のように、5バックになりやすい3バックで戦うユベントスは、うしろに堅い印象を受ける。だが、4−3−3になるとイメージは一転。その堅いエリアがピッチ全体に広がる感じになる。スポルティングはボールをスムーズに前に運びにくい状態に陥った。

 そうした嫌なムードで迎えた開始9分、ユベントスに先制点を許してしまう。CKからアドリアン・ラビオに蹴り込まれ、合計スコアを2−0とされた。

 手痛い失点だったが、その11分後、スポルティングはすかさず同点に追いつく。右ウイング、マーカス・エドワーズのドリブル突破から、1トップに起用されたフランシスコ・トリンコンが押し込んだボールはポストを叩いたが、そのこぼれ球を拾おうとしたウルグアイ代表のMFマヌエル・ウガルテが倒されPKを得た。

 エドワーズがこれを決め、スポルティングは合計スコアを1−2とし、初戦終了時と同じ状態に戻った。試合の流れはスポルティングに傾いたかに見えた。


ヨーロッパリーグ、ユベントス戦にフル出場した守田英正(スポルティング)

 守田はウガルテと並び3−4−3のセンターハーフというか、守備的MFとして構えた。最後尾に並ぶ3人のうち、真ん中に立つウルグアイ代表のセバスティアン・コアテスがマイボール時になると1列高い位置に上がるため、守田はマイボールに転じると左寄りで構えた。

【力不足だった守田の左サイド】

 だがスポルティングの場合、右、左の関係で言うと、エドワーズが高い位置を張る右サイドのほうが強かった。このイングランド人の右ウイングはこの試合、両軍を通じて最も目立った選手でもあった。その分だけ、左は貧弱に映った。

 右からエドワーズ、ユセフ・シェルメティ、トリンコンの順で並んだ初戦に対し、第2戦はエドワーズ、トリンコン、ポテ(ペドロ・ゴンサウベス)の順で並んだ。

 第1戦では後半、1トップで起用された18歳のポルトガル人FW、シェルメティが機能しなくなった。ボールを収めることができなくなり、攻撃力低下を招く原因になった。ルーベン・アモリム監督が、第2戦で1トップに、ふだんは左が多いトリンコンを起用した理由だろう。CFタイプと言うよりドリブルが得意なチャンスメーカー系である。ポストプレーヤーではない。左のポテは初戦で守田の脇でプレーしたMF色の強い選手だ。ウインガーではない。パウリーニョというCFらしいCFがケガで長期、戦列を離れることになった影響が、左サイドに現れる格好になった。

 合計スコアで同点に追いつくまであと1点に迫りながら、スポルティングのサッカーは思いのほか盛り上がらなかった。後半に入ると手詰まり感さえ漂い始めた。そうしたなかで守田もミスを重ねた。ボールを奪われ大ピンチを招くシーンもあった。

 後半の中盤以降は、ボールに触れる機会そのものが激減。同点・逆転を目指す攻撃の輪に入れていない状態に陥った。採点するならば6点以下か。10段階で7.5に近い数字を、ひいき目抜きに出すことができた初戦とは一転、よくない出来だった。

 後半のなかば過ぎになるとユベントスは4−3−3から5バックに布陣を変え、守りを固めた。しかし攻めあぐんだ原因はユベントスが守りを固めたからと言うより、攻撃で気を吐くのがエドワーズばかりというスポルティング自身にあった。

 そのなかに守田はすっかり埋没した。不振の原因は何だったのか。自分自身にあるのか。第1戦に活躍したことでユベントスに警戒されたためか。

 だが、サッカーはわからない。1点ビハインドで迎えた終盤(後半43分)、スポルティングが決定的なチャンスを迎える。エドワーズが鮮やかなドリブル&フェイントでゴール前に折り返すと、そこにはキャプテンのコアテスが構えていた。誰もが入ったと思ったそのインサイドキックは、しかし身体がうしろにそれすぎたのか、テンプラ気味のショットになり、ゴールバーを無情にも越えていく。運にも見放されたスポルティングは合計スコア1−2でユベントスの軍門に下った。

 残る準々決勝3試合の合計スコアは以下のとおり。

ローマ4−2フェイエノールト
レバークーゼン5−2ユニオン・サンジロワーズ
セビージャ5−2マンチェスター・ユナイテッド

 準決勝の組み合わせは、ユベントス対セビージャ、ローマ対レバークーゼンとなった。本命はユベントスながら、他の3チームとの間に大きな戦力差はないとは、ブックメーカー各社の見解である。