【寛一郎さんインタビュー】日課の散歩は“脳のデトックス”!?「動いているときが一番頭が働くんです」

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俳優の寛一郎さんインタビュー!俳優の故・三國連太郎さんを祖父に、佐藤浩市さんを父に持つ寛一郎さんは、2017年に映画『心が叫びたがってるんだ。』でデビュー。以来、数々の映画に出演し、22年には大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の公暁役を好演しています。この4月末、出演する映画『せかいのおきく』が全国公開されるにあたって、お話を伺いました。

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――『せかいのおきく』は江戸時代末期を舞台に、貧しくもたくましく生きる若者たちの青春時代劇ですね。あえてモノクロで撮られていて、たまに差し込まれるカラーのカットが印象的でした。

そうですよね。ぼくも試写を観て、文化を見せる、時代を見せるという意味でモノクロ映像は正解だと思いました。でも観終わった後、モノクロ映画を観た感じがしなかった。モノクロなのに鮮やかなんですよね。

――今、Z世代の間でレトロブームが来ています。不便なのが新しいという価値観の人たちに、モノクロ映画は新しく映るかもしれません。

いま、若い世代の子たちは”黒電話”を見て「懐かしい」って言うらしいんですが、それはぼくもなんとなくわかります。そうした世代のみなさんには、『せかいのおきく』を新しい映画としてとらえつつ、同時に懐かしさも感じてもらえたら嬉しいです。

舞台が江戸時代というだけで敬遠する人もいると思うんですけど、登場する人物は今を生きるぼくらと変わらない若者なので身近に感じてもらえるんじゃないかなと思います。



現代は本当に”便利さ”を優先させる世の中になったんだな、と

――雨や雪のなか、河川や砂利道などの撮影が多かったと思うんですが、今、振り返って記憶に残ってるのはどんな撮影ですか?

いろいろありますよ。でも、重い桶をてんびん棒で担いで全力疾走するのは大変でした(笑)。桶が空の状態でも20~30kgあって、そこに水をいっぱい入れて走るので、バランス感覚も体力も必要でしたね。

この間、昭和の蕎麦屋さんが何段も積んだせいろを肩に乗っけて自転車で運んでいる動画を観て驚いたんですけど、たぶん昔の人の体幹は、現代人とはるかに違っていたんだろうなって思います。ぼくが演じた「中次」をはじめ、『せかいのおきく』の登場人物たちは、さらにそれよりも前の江戸時代の人間ですからね。体の造りから全然違ったんでしょうね。

――寛一郎さん自身は、体力づくりなどしてますか?

一時期は筋トレをしていたんですけど、今はまったく(笑)。ただ1日に1回30分くらいは必ず歩いています。ぼく、頭が一番働くのが動いてるときなんです。なので、自分の脳のデトックスとしても散歩をしています。

――劇中では、厠(便所)に貯まった糞尿を買い取り、農家に肥料として売り、それで作った作物を人々が食べる、という江戸時代の循環型社会が描かれています。まさに今でいうところのSDGsの世界が江戸時代には実現していたんですね。

まさにそのとおりです。この映画に出演して、現代は本当に”便利さ”を優先させる世の中になったんだなと実感しました。ぼくもその便利さに甘んじて、家から一歩も出ず料理宅配サービスを頼んだりしているんですが…(笑)。

映画を通じて、日本はかつて循環型社会を実現していた、そういう文化があったという事実を観て感じていただけたらと思います。



いつまでも新人ではいられない

――今回は父親であり、俳優の先輩でもある佐藤浩市さんと2人だけのシーンがありました。寛一郎さんから見て、「役者・佐藤浩市」はどんな存在ですか?

何ですかね、父親なので今回初めて会った人ではないんですけど(笑)、…偉大な存在だなと肌で感じましたね。26年間ずっと家族として見てきた人ではありますが、撮影現場ではすごさを改めて実感しました。

――寛一郎さんは俳優デビューして、今年で6年目です。役者として心がけていることはありますか?

もう6年、たかが6年、されど6年ですが、いつまでも新人ではいられない、という責任感みたいなものがだんだんと芽生えてきたと自覚しています。それが重荷というわけではなく、責任が増すごとに、やりがいも大きくなっていくと確信しています。


※寛一郎さんインタビューは、月刊誌『家の光』2023年5月号にも掲載されます。
http://www.ienohikari.net/press/hikari/