格納庫上部の製作と発光ギミックの追加【達人のプラモ術<サンダーバード3号&発射基地>】
【達人のプラモ術】
アオシマ
1/350 サンダーバード3号&発射基地
03/04
いよいよ製作も佳境に突入。地下格納庫の上部分を制作していきます。エッチングパーツが奢られたクレーンタワーなど、キットは前回製作した格納庫下部分と併せて、うむむやるな!と唸らされるリアルな仕上がり得ることができます。
というワケで、完成させた格納庫にサンダーバード3号(以下 TB-3号)を置いてみれば、むむむっカッコ良いじゃないか!となるのですが、今回はさらにひと捻り加えて、電飾を追加し、3号の打ち上げシーンを再現することにしました。さてどんな仕上がりとなりますか、乞うご期待!(全4回の3回目/1回目、2回目)
長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTubeでは「プラモ作りは見てナンボです!@Modelart_MOVIE」も配信中。
■格納庫上部の製作
上部分の壁面パネルは、厚紙に印刷された壁面を付属の3ミリ厚スチレンボードに貼り付けて組み立てていきます。貼り付けたのち、先に製作した下半分と同様に、事前に艶消しクリアーを塗装。さらに、劇中の画像とボックスアードを参考にしながら、艶消しブラックとスミ入れ塗料でウエザリングを施します。
これだけで、印刷されただけの壁面のチープ感がなくなります。またインスト(説明書)では木工用ボンドでスチレンボードに接着となっていますが、剥がれやすいので、作例は両面テープ(幅広ナイスタック)を使って貼り付けています。これで壁面パネルは完成ですが、よりリアルを求めるならば、壁面はプラ板で作り直しても良いかもしれません。
下部分に比べて、壁面上部は手すりや装備品といったパーツがほとんどつきませんが、エッチングパーツで再現するリアルなクレーンを取り付ける必要があります。
▲格納庫の壁面上部も厚紙製で、ディテールは印刷で再現。こちらも艶消しクリアーを塗装することで質感をそれらしく仕上げていく
▲塗装後にエアブラシとスミ入れ塗料を使い、壁面のロケットの噴射でススけた感じを描いていく。これでリアル感がぐっとアップ
▲上下壁面の連結部分も紙製。5ミリ厚のスチレンボードに貼り込んで使用する
■クレーンタワーの製作
クレーンは2基製作します。キットに付属するエッチングを折り紙細工よろしく、折り曲げて本体のトラス構造を再現します。
タワー上部には同じくエッチングで組み立てるクレーンが再現されています。このタワーですが、エッチングパーツとしてはサイズが大きいこともあり、折り曲げにはエッチングベンダー(エッチングパーツを正確に折り曲げる専用ツール)を使用することをオススメします。
組み上がったのち、エッチングパーツの金属感を活かしつつ、艶消しクリアーを塗装して仕上げています。
▲キットに付属するエッチングを折り曲げて、リアルなクレーンタワーを製作
▲完成したクレーンタワー。上には同じくエッチングで組んだミニクレーンを取り付けている
▲クレーンタワーはエッチングの金属感を活かしながらつや消しクリアーで塗装して完成
▲クレーンタワーを壁面に取り付けた。エッチングならではのシャープなトラス構造がなかなかにリアル
■インストは良く見ましょう
組み上げた格納庫上部分を格納庫下部分と接着。クレーンを取り付ければ格納庫はほぼ完成となるのですが、組み上げた後に上部分の壁パネルを逆さまに接着していることに気がつきました。もう接着面も完全に硬化していたので簡単には剥がれてくれません…。
そう簡単には剥がれない状態でしたが、無理やり剥がして付け直しました。剥がしたことで汚くなってしまった部分をカットしため、パネルの高さが1センチほど低くなってしまいました。
パーツを取り付ける前にはインストはちゃんと確認しておかないとしないといけませんね(遠い目)。
▲塗装した壁面パネルを組み合わせて完成!のはずが、パネルを上下逆に接着してしまいやり直すハメに
▲ベースにTB-4号のエンジン架台と指令室からアランを乗せたソファーが移動してくるためのレール(エッチング製)を取り付けた
■Let's 電飾!
完成した格納庫にTB-3号を組み合わせて、格納庫の完成! シンプルなキットですが、劇中のプロップミニチュアの雰囲気をよく再現したジオラマモデルだと思います。とはいうものの、模型的にはもうひと工夫何か欲しい気がしたんですね。
というワケで今回は、以前製作したロケット「アーク号」と同様にLEDを組み込んで、格納庫壁面に2か所、TB-3号のロケットノズルに3か所、LEDを組み込んで発光させ、発射シーンを再現することにしました。
最近はユニット化されたLED発光キットが発売されているので、厄介な配線などをしなくても簡単に電飾を楽しめます。
▲ヒロミ産業「LEDリチウム電池ミライト レッド/ホワイト」(実勢価格:各500円前後)
使用したのは「LEDリチウム電池ミライト」で、本来は釣りのウキなどに取り付ける小型の発光マーカーですが、直径4ミリ×35ミリと言うコンパクトなサイズで、電池とスイッチも内蔵されており、今回のように後から作品に組み込む場合でも使い勝手の良い発光ユニットです。
▲LEDリチウム電池ミライト(ホワイト)を組み込んだ壁面。工作は簡単で、パネルの裏側からミライトを差し込んで固定しているだけ
▲TB-3号を発射台にセットした状態で壁面ライトを点灯させると、かなりいい感じ。いかにも地下サイロといった雰囲気が出る(実はこの時、壁面パネルが上下逆に取り付けていることに気づく)
▲TB-3号は3基のエンジン噴射口をドリルで開口。そこに赤LEDのミライトを差し込んで固定した。スイッチがミライト本体に内蔵されているので、取り外しができるように取り付けている
▲LEDの発光はTB-3号を発射台に置いた状態でも明るく目立つ。エンジン点火!といった雰囲気を再現できる
■サンダーバードプラモの思い出
サンダーバードメカの中でも1、2の人気を誇るといえば、TB-2号に搭載されているレスキューメカのジエットモグラですね。
劇中、大型のドリルで地中を掘り進むジェットモグラの姿は、当時の子供の心をわし掴みにしました。まぁ現実的には、ドリルが地面にささった瞬間に胴体の方が回転しちゃうので、潜ることはできないんですけどね。
また劇中でジェットモグラが地上に戻ってくるシーンでは、フィルムを逆回ししているので、土煙や岩くずが下から上に上がるといった不自然な動きをするのですが、それでも子供の目にはカッコ良かったことに変わりありません。サンダーバード世代にとってドリルメカは永遠の憧れでした。
当然ながら、当時イマイからもジェットモグラの大小多くのプラモデルが発売されていました。上位モデルはモーターでドリルが回転、移動用タンクを履帯で走行させられました。そして当時イマイのジェットモグラのプラモを完成させた子供の多くは、公園の砂場に持っていって、地面に潜らせようとして、潜らない上にギヤが砂を噛んで壊れるという現実の厳しさを突きつけられたのであります。それでもジェットモグラの人気は断トツでした。
現在アオシマから発売されているキットはアオシマの新金型モデルで、電動でドリルの回転、胴体両サイドの履帯の可動、移動用タンク部分は履帯で走行、警告灯の発光など、忠実にギミックが再現されています。そしてインストに、砂場で遊んではいけませんと注意書きが入れられています(笑)。
▲ジェットモグラが登場以降、特撮ドラマではドリルメカは定番となり、プラモデルメーカーオリジナルのドリルメカも数多く発売されていました。画像は当時、ミドリ商会から発売されていた「地中戦車ビッグモグラス」(2008年に童遊社から再販された際のパッケージ)。オリジナルモデルは電動走行、ドリル回転、胴体内部からミサイル発射とギミックが満載された人気のプラモデルでした
▲この5月に再販が予定されているアオシマ「1/72ジェットモグラタンク(電動走行)」(6340円)※画像は2021年発売時のもの
▲アオシマ製ジェットモグラタンクの完成したモデルがこちら。再現度が高いモデルだ
▲当時確か100円だったイマイのジェットモグラ(小)
▲電動ギミックはないが、手動でドリル回転、タンクとの切り離しができた
▲アオシマのジェットモグラのインストに書かれている注意書きに納得
というわけで今回はTB-3号の格納庫が完成。さらにLEDを組み込んでみました。次回第4回では発光ギミックを活かしてTB-3号の発進シーンを再現します。!Coming Soon!
Thunderbirds TM and (c) ITC Entertainment Group Limited 1964, 1999 and 2020.Licensed by ITV Ventures Limited. All rights reserved.>> [連載]達人のプラモ術
<製作・写真・文/長谷川迷人>
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