【戸塚啓コラム】親善試合で見えた今年の日本代表の論点
W杯後初のゲームとしては、少しばかり控え目な内容だっただろうか。
森保一監督率いる日本代表が、3月24日にウルグアイ代表とのテストマッチに挑んだ。侍ジャパンのWBC優勝の余韻が漂うなかで、サムライブルーがカタールW杯後初のテストマッチを迎えた。
日本がベスト16入りしたカタールW杯に、ウルグアイも南米予選3位で出場している。ポルトガル、韓国、ガーナとのグループステージは1勝1分1敗に終わり、総得点で韓国に2位を譲った。
CBで主将のディエゴ・ゴディン、両SBに適応するマルティン・カセレス、世界的デュオのルイス・スアレスとエディンソン・カバーニらが、W杯を最後にチームを離れた。ディエゴ・アロンソ監督の後任も決まっていない。今回はU―20代表のマルセロ・ソブリ監督代行とともに来日した。
ゴディンらの経験者が抜けたものの、カタールW杯の出場メンバーを見つけることはできる。GKセルヒオ・ロシェ、左SBマティアス・オリベイラ、MFマティアス・ベシーノ、ファクンド・ペリストリ、フェデリコ・バルベルデらが、日本戦のスタメンに名を連ねた。CFに入った186センチのマキシ・ゴメスも、カタールW杯で2試合に途中出場している。
果たして、ウルグアイはクオリティを持ったチームだった。20世紀のこととはいえ、W杯で優勝経験を持つ古豪である。代表選手の多くは、国外でプレーしている。レアル・マドリード所属のバルベルデのように、世界のトップ・オブ・トップのクラブでポジションをつかんでいる選手もいる。クオリティが高いのはいまさら言うまでもないのだが、準備期間の短いこうしたテストマッチでは、一人ひとりの自己解決能力が試合に影響を及ぼしてくる。つまり、クオリティが問われるのだ。
ウルグアイが奪った先制点は分かりやすい。右サイドからのクロスが、左SB伊藤洋輝の足に当たってペナルティエリアほぼ正面へこぼれる。クロスに備えていたバルベルデが右足を振り抜くと、シュートはバーを叩く。跳ね返ったボールを、バルベルデ自身がヘディングでプッシュした。少なくとも日本の3選手はボールに反応できるところにいたが、前向きのエネルギーを持っていたバルベルデがいち早く反応したのだった。
38分にこのゴールが決まる前から、ウルグアイが押し込んでいたわけではなかった。バルベルデのクオリティが、チームに先制点をもたらしたのだった。
ひるがえって、日本はどうだったのか。
カタールW杯の結果を受けて、森保監督は「遅攻からの崩し」を次回のW杯への課題にあげている。その解決手段として、ウルグアイ戦では両サイドバックが内側のレーンに立った。これまでも山根視来や長友佑都が内側にポジションを取ることがあったが、今回ははっきりとした狙いを持っていた。
これが、うまく機能しない。アタッキングサードで三笘薫に勝負させることに、つながらなかった。戦術的な試行錯誤によって、スペシャルな個を生かせなかったのだ。
輝きを放った「個」は、途中出場の伊東純也だ。右サイドをスピードで切り裂き、西村拓真の同点弾をアシストした。途中出場後のファーストタッチでシュートを決めた西村も、決定力を見せた。
2023年の日本代表は、3月から10月までに8試合を消化し、11月からW杯アジア2次予選へ臨むことになっている。「W杯予選」と言っても、この段階で強豪と当たることはない。しかも、11月の2試合はホームゲームだ。海外組を慌ただしく呼び戻さなくても、確実に勝利できる相手だ。
そう考えると、23年の試合では思い切ったトライができる。戦術的な狙いから選手起用まで、どれだけオプションを増やせるのか。それこそが、今年の日本代表の論点である。
森保一監督率いる日本代表が、3月24日にウルグアイ代表とのテストマッチに挑んだ。侍ジャパンのWBC優勝の余韻が漂うなかで、サムライブルーがカタールW杯後初のテストマッチを迎えた。
日本がベスト16入りしたカタールW杯に、ウルグアイも南米予選3位で出場している。ポルトガル、韓国、ガーナとのグループステージは1勝1分1敗に終わり、総得点で韓国に2位を譲った。
ゴディンらの経験者が抜けたものの、カタールW杯の出場メンバーを見つけることはできる。GKセルヒオ・ロシェ、左SBマティアス・オリベイラ、MFマティアス・ベシーノ、ファクンド・ペリストリ、フェデリコ・バルベルデらが、日本戦のスタメンに名を連ねた。CFに入った186センチのマキシ・ゴメスも、カタールW杯で2試合に途中出場している。
果たして、ウルグアイはクオリティを持ったチームだった。20世紀のこととはいえ、W杯で優勝経験を持つ古豪である。代表選手の多くは、国外でプレーしている。レアル・マドリード所属のバルベルデのように、世界のトップ・オブ・トップのクラブでポジションをつかんでいる選手もいる。クオリティが高いのはいまさら言うまでもないのだが、準備期間の短いこうしたテストマッチでは、一人ひとりの自己解決能力が試合に影響を及ぼしてくる。つまり、クオリティが問われるのだ。
ウルグアイが奪った先制点は分かりやすい。右サイドからのクロスが、左SB伊藤洋輝の足に当たってペナルティエリアほぼ正面へこぼれる。クロスに備えていたバルベルデが右足を振り抜くと、シュートはバーを叩く。跳ね返ったボールを、バルベルデ自身がヘディングでプッシュした。少なくとも日本の3選手はボールに反応できるところにいたが、前向きのエネルギーを持っていたバルベルデがいち早く反応したのだった。
38分にこのゴールが決まる前から、ウルグアイが押し込んでいたわけではなかった。バルベルデのクオリティが、チームに先制点をもたらしたのだった。
ひるがえって、日本はどうだったのか。
カタールW杯の結果を受けて、森保監督は「遅攻からの崩し」を次回のW杯への課題にあげている。その解決手段として、ウルグアイ戦では両サイドバックが内側のレーンに立った。これまでも山根視来や長友佑都が内側にポジションを取ることがあったが、今回ははっきりとした狙いを持っていた。
これが、うまく機能しない。アタッキングサードで三笘薫に勝負させることに、つながらなかった。戦術的な試行錯誤によって、スペシャルな個を生かせなかったのだ。
輝きを放った「個」は、途中出場の伊東純也だ。右サイドをスピードで切り裂き、西村拓真の同点弾をアシストした。途中出場後のファーストタッチでシュートを決めた西村も、決定力を見せた。
2023年の日本代表は、3月から10月までに8試合を消化し、11月からW杯アジア2次予選へ臨むことになっている。「W杯予選」と言っても、この段階で強豪と当たることはない。しかも、11月の2試合はホームゲームだ。海外組を慌ただしく呼び戻さなくても、確実に勝利できる相手だ。
そう考えると、23年の試合では思い切ったトライができる。戦術的な狙いから選手起用まで、どれだけオプションを増やせるのか。それこそが、今年の日本代表の論点である。
関連情報(BiZ PAGE+)
1968年生まれ。'91年から'98年まで『サッカーダイジェスト』編集部に所属。'98年秋よりフリーに。2000年3月より、日本代表の国際Aマッチを連続して取材している