ロックバンドがアニソンを歌う。その土台を築き上げたFLOW、そしてその開かれた道を突き進むBURNOUT SYNDROMESの2組によるスペシャル対談が実現!
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BURNOUT SYNDROMESとFLOW。方や2016年にTVアニメ『ハイキュー!!』のOPテーマでデビューを果たして以来数々のアニメとのコラボレーションを重ね、方や今年デビュー20周年を迎え、TVアニメ『NARUTO -ナルト-』をはじめとした数多くのアニメとコラボをし、世界を駆けるバンド。世代を超え、多くのファンに愛される2バンドが互いのカラーを掛け合わせ生み出したコラボソング「I Don’t Wanna Die in the Paradise」を配信リリース。尖るロックサウンドの中でサムライ魂が躍動するナンバーについてメンバーが語り尽くす。
中学生の頃に聴いた「GO!!!」。FLOWは実在した!?
――まずはお互いの印象をお聞かせください。
熊谷和海 最初にお会いしたのは新宿BLAZEでの対バン(2019年11月)だったのですが、それ以前の印象でいうと、我々にとっては自分たちの世代のバンドなんですよね。『NARUTO -ナルト-』の「GO!!!」がど真ん中だった世代で。むしろ現実味のない人たちというか。テレビの中の存在のようなイメージでした。
KEIGO・KOHSHI・TAKE あはははは(笑)。
熊谷 今もちょっとそんな感じです。
KEIGO まだかい!(笑)。
石川大裕 TAKEさんにもお話をしたことがあるのですが、FLOWさんの楽曲を聴いていてふと思ったことが「FLOWさんっぽいバンドって後にも先にもいないな」ってことだったんです。歌謡曲な感じとロックな感じがあって、それは誰に真似できないからこそたくさんのアニメとのコラボレーションが成されるんだなって。それをTAKEさんにお伝えしたところ「そう言ってくれて嬉しいよ」と言っていただけたので、僕も嬉しかったです。
TAKE どうも。唯一無二です。
廣瀬拓哉 僕も『NARUTO -ナルト-』をずっと観ていたので、「FLOWって実在していたんだ!」っていう想いが、初めて新宿でお会いしたときの印象でした。中学の頃、「GO!!!」をコピーしていたんですよ。対バンのときに、その「GO!!!」を叩くIWASAKIさんを見ながら「そうだ、ここはこうだった!」と蘇ってもきました。
――続いてFLOWから見たBURNOUT SYNDROMESの印象はいかがですか?
KOHSHI 特にこちらはボーカルなので、熊谷くんの骨太な歌声が割と印象的でした。アニソンをやっていると聞いてはいたのですが、こういう声色のアニソンはあまり聴いたことがなかったので、新鮮でした。
KEIGO 新宿で会う前までは、曲を聴いたうえでの勝手な印象として、すごく硬派なバンドなのかなと思っていたんです。ライブでもあまりしゃべらないのかなって。そしたら180度違うライブをしていて(笑)。すごくエンターテインメントしているバンドだな、と実際に会ったことで印象がガラっと変わりました。
TAKE 個人的にはもちろん以前から名前や楽曲は知っていましたが、TVアニメ『Dr.STONE』が個人的に好きで、「Good Morning World!」を聴いていたので、本当にこの人たちは実在するのかなぁって思っていて……。
熊谷 それはおかしいでしょ(笑)。
KEIGO 実在返し(笑)。
――FLOWはまだロックバンドがアニメとのタイアップが今のように盛んではなかった時期から積極的に関わってきたバンド。今はアニメソングに対して抵抗のない世代のバンドがメインストリームで音楽を放っていますが、そのシーンをどのようにご覧になっていますか?
TAKE KANA-BOONとか、アニメの曲がやりたくてメジャーシーンを目指すバンドというのも出てきて。それこそBURNOUT SYNDROMES世代でもあると思うけど、本当にやめてほしいと思っていましたね。我々がやっとの想いで築いてきたものを、揺るがす存在がたくさん出てきた(笑)。というのは冗談ですけど、その中で新しいカルチャーとしての音楽も生まれてきたから、より融合していったほうがいいなということは個人的に思っていて。“Animelo Summer Live”のような日本のアニメフェスにどんどん日本のバンドが入っていくとより活性化されるように思っています。
KEIGO 僕らは当時からアニメに対しても変な抵抗はなくて、「やってみよう」精神が強いバンドだったんです。FLOWはそうやって関わってきましたが、タイアップといえばあの時代はドラマや映画が主流でしたし、その時代から今ではアニメにとって代わった感は強いですね。しかもアニメに関わらせてもらってから海外でのライブにも呼ばれるようになりましたが、海外で初めてライブをした2006年くらいって、海外でライブをする日本のバンドはそこまで多くはなかったんですよね。アニソンを歌うレジェンドの人たちは行っていたけれど、今ではアニメのタイアップをするバンドも増えて、海外のアニメフェスも増えた印象がありますし、そういったところに出かけてライブをする日本のバンドも増えたので、やっぱり状況は大きく変わったなと思います。
――アニメによって世界と繋がっていくことについても、FLOWは先駆者的な存在でしたね。
KOHSHI 海外の状況なんて日本にいると全然わからないので、初めてのアメリカでのライブで、お客さんたちがみんな日本語で歌ってくれていることが衝撃だったし、なんでこの人たちは僕らのことを知っているんだろう?と不思議で。それで、そこで日本のアニメの存在感を初めて感じたんですね。そのときのことは忘れられないです。
――先駆者の話を聞いて今、どんなことを感じますか?
石川 FLOWさんは2006年から海外でライブをしていたとなると、僕らが中学生の頃からなんですよね。僕はあちこちのインタビューでも「アニソン界の野茂英雄」と呼ばせていただいていますが……。
KEIGO 世代として響かない層も多いよ(笑)。
KOHSHI 若い子はわからないでしょ(笑)。
石川 いやいや。でもみんな、「なるほどね」ってなるので、僕はこれを広げていきたいです。
――実際に海外でライブをされて、どんなことを感じましたか?
廣瀬 僕らは『ハイキュー!! 』の曲でデビューさせていだいているので、やっぱりその曲をやったときの反応がすごくて。最初はフランスだったのですが、「ヒカリアレ」の大合唱は今も忘れられないです。こんなに日本語で歌ってくれるのか!って。普段使う言語は違うのに。あと毎回、驚くのはどの国の会場でもいつもFLOWさんの曲が流れていることです。
熊谷 絶対に流れているよね。
TAKE それはありがたい。
――熊谷さんは今、FLOWさんの言葉を聞いてどんなことを感じますか?
熊谷 さっきKEIGOさんが、ロックバンドがアニソンをやることを躊躇していた時代があったとお話をされていましたが、我々からするとそれってもはや神話の世界ですよね。古代の話というか、そんなことがあったのか!という感覚で。そう考えると、現在に繋がる価値観を築いたのがFLOWさんなんだと改めて思いました。我々からしたら、まったく抵抗なんてないですし、見ていて「アニメーションと楽曲がマッチしているのは本当にかっこいいな」と思ったし「いいな、自分もやりたいな」というところから始まっていると思いますから。そんな先輩方のやってきたことの上を我々は走っているんだなって。我々も、ここから先の価値観というか、もっとこうしていくといいんじゃないか、ということを提案していくべきだし、それが我々世代の義務なんじゃないかなと思います。
コラボのオファーで受け取ったのは、双方のカラーに寄らない第三の音楽
――そんな2バンドがコラボしての楽曲制作が行われ、完成した「I Don’t Wanna Die in The Paradise」です。これはBURNOUT SYNDROMESの熊谷さん発信だったと伺いましたが、どういった経緯でコラボを考えたのでしょうか。
熊谷 これまで曲提供などもやらせてもらってきて、今年からはコラボをやってみようと思って。それでチームとその話をしたときに真っ先に浮かんだのがFLOWさんだったんです。新宿で一度お会いしていましたし、ボーカルが2人いらっしゃるということはボーカル3人で歌うことができる。3人で歌う曲というのが自分でも想像できなかったのですが、FLOWさんに対してもカウンターになるような曲を作ったら面白そうだなと思って。それで最初に名前を挙げさせていただいたレジェンドバンドでした。そうと決まってからはすぐに楽曲を書いて、企画案を持っていきました。
――曲はもう完成していた!?
熊谷 はい、作っていきましたね。「この曲をみんなで歌いたいんですけど」って言って。1コーラスだけですが。
――そのオファーを受けたときにはどんな心境でしたか?
TAKE びっくりしましたよ。もう曲あるんかーい!って(笑)。でも両方のバンドのカラーとも違う、第三の感じが出ていたんですよね。単純に、曲を聴いて「面白そうだ」と思いました。
――コラボに関してはFLOWさんから声をかけることが多いので、オファーを受けられるのは珍しいですよね。
KEIGO だからびっくりしましたよね。最初は「なんで僕たちなんだろう」って。単純に、どうしてこのタイミングで声をかけてくれたのかな?とは思いましたが、熊谷くんからの熱いメールとばっちり出来ている楽曲への衝撃は印象的でした。その前にやっていたORANGE RANGEとのコラボはゼロからみんなで作った曲だったから、また違った感じでのお話だし、しっかりとした楽曲に熊谷くんのイメージもしっかりと書かれていたことで、新鮮な気持ちでコラボさせてもらいました。
KOHSHI これまでのコラボではFLOWっぽさを出したがるんですけど、そうでは全然ない、むしろ僕がやりたかったようなサウンドだったり、面白みがあったんですよね。「FLOWにオファーしたらFLOWっぽいことやりたいじゃん!」っていう感じではないのがすごく面白くて。歌詞も出来ているし、ラップもあるから、これは僕らがやることはないなって思ったくらいで。それも含めて良かったですね。
――コラボの構想を聞いたときにはどんな感想でしたか?
石川 実は話を聞いたときの楽曲は今のものとはバージョンが違っていたんです。FLOWさんが1番から出るバージョンと2番からのバージョンとあって、結果として2番からのパターンになったんです。でも1番からのバージョンもかっこ良かったので、幻のトラックとして取っておきたいですね。
廣瀬 いつかライブでやるんだろうな、と思いました。そのときの景色を想像してみたときに、とんでもない会場の盛り上がりがあるんだろうなって。ステージの熱さみたいなものもあるだろうと感じていて、楽曲を聴いたときには「これはライブでは楽しさがヤバいことになるな」と確信しました。
形骸化したイメージを壊し、世界で勝負するという気概と意識込めた歌
――その楽曲を作るのにあたってはどんなことを意識されたのでしょうか。
熊谷 今の皆さんのお話を聞いていて、FLOWらしさを求めるのが常識だったのかな、と今さらのように思ってしまいました……熊谷の常識のなさがここで露呈してしまいましたね(笑)。ただ私としてはFLOWらしさを破壊したかったんです。「らしさ」と言えばやっぱりそれは「声」だと思っているんです。FLOWのお二人が歌いさえすればそれはすなわちFLOWらしさに繋がると思っているので、逆に楽曲としてはちょっとぶっ飛んだ感じにしたいと思っていました。FLOWさんは何年も前から海外でライブをされていて、我々も海外に行くようになって、FLOWさんの曲が海外のあらゆるところで流れているのを聴いて、海外で通用する何かがあるような気がしたんです。それをさらにブーストできる気がしたんです。あまりロックロックしていなくて、打ち込みっぽくて低音しっかり気味の曲で、地球の裏側の人が聴いてもノれるようなものを目指したつもりです。ただ編曲にTAKEさんが入ってくださっているので、そこでFLOWらしさは出せたんじゃないかと思っています。
――編曲についてはどんなことを意識されましたか?
TAKE 熊さん(熊谷)の中で「海外に通用する、海外音楽マーケットに届くようなものを」という明確なイメージがあって、それはすごくわかりやすかったんですよね。単純に言うとヒップホップR&Bエレクトロみたいな曲の切り口なんですけど、確かに2020年に世界で一番聴かれていたのがBTSの「Dynamite」とビリー・アイリッシュ。2021年もザ・ウィークエンドが一番聴かれていて、あとはデュア・リパさんとか。そういうのが主流なんですよね。バンド不在の時代が続くなかで、世界で唯一生ドラム、ディストーションギターが鳴っていたのがアニソンだったと思うんです。今回、FLOWとBURNOUT SYNDROMESの融合だからこそそういう要素も入れつつ、そこにプラスして熊さんがイメージしている世界基準のサウンドというものが出たら面白いんじゃないかなってことで聴いてもらったのが、エド・シーランとブリング・ミー・ザ・ホライズンがコラボしてやっていた「Bad Habits」。この辺りを目指すのがいいんじゃないかって提案をさせていただきました。
――それを受けた熊谷さんはどのような反応を?
熊谷 そもそも最初に送らせてもらったデモにはディストーションギターは一切入っていなかったんですよ。そうしたら翌日届いたTAKEさんからのデモはディストーションギターがバキバキに入っていたので、急遽ミーティングを開いて「TAKEさん、ディストーションギター入れたくないです」って(笑)。オンラインでミーティングしたのですが、そのときのTAKEさんの背後にはキャンプファイアーが(笑)。
――キャンプ中でしたか!
TAKE あははは。
熊谷 「ディストーションギターは古臭くなるから入れたくないです」って言いました。でもTAKEさんからは「ディストーションギターは逆に日本ならではの楽器だ」というか。逆に世界にはないからこそ提案していくのが日本人アーティストとしての役目なんじゃないかって話をしてくださって。それは100利あるなって思ったことで、ディストーションギターがバキバキに入るアレンジになったんですけど、完成品を聴いて、結果としてそれは正しかったなという気がしています。本当に日本人だけだなっていう感じが今も昔もしているのですが、ディストーションギターをいかに古臭くなく使うかがこれからの課題なんじゃないかなと思って。そのギターの使い方に関しても、TAKEさんとは何度もやり取りをしまして。「ここはもっと音を伸ばさない感じにしたいです」とか「パーカッションみたいな感じにしたいです」と色々と相談をして、古臭くないディストーションギターの使い方を目指しました。
――意見のセッションはあったんですね。
熊谷 そうですね。ほぼほぼTAKEさんの圧勝でしたけど。
KEIGO 対決じゃないから(笑)。
熊谷 100利あるなって。
TAKE FALL OUT BOYの新曲を聴いたんだけど、バッキバキにソリッドなギター入ってたよ?
熊谷 そうなんですか!?
TAKE 3月に発売なんだけど、完全にバンドサウンドに振り切った感じなのね。戻ってきた感はあると思うし、そういう意味でも早めにやったほうがいい。先取り。まぁ、僕らはずっとやっているんですけどね?
熊谷 戻ってくるにしてもひと癖かませている気はします。今までの通りということではなくその先の道筋を作ることができたのならディストーションギターも面白いのかなとは思います。
TAKE 掛け算だよね。エレクトロサウンドとの融合とかね。2000年代前半にエンター・シカリ然り、そういったアーティストの台頭もあったけど、また次の世代によるサウンド作りは始まっているよね。
既存のラップにない熊谷のラップと「これぞラップ!」というFLOWの2人のリリック
既存のラップにない熊谷のラップと「これぞラップ!」というFLOWの2人のリリック
――世代の違うアーティストのコラボはそういった感性の激突によって生まれるサウンド感ということもあって、やはり面白い曲になりますよね。さらにKOHSHIさんとKEIGOさんとの作業はいかがでしたか?
熊谷 ラップの部分は2人に書いていただきたいということは早い段階からあったんです。曲のテーマ自体に、世代が違うことの面白さがあったので、「違う世代から見た音楽の道、世界と戦う、というところを書いていただきたいです」とお願いしました。そこからはハンパなくかっこいい声素材が届いて。一切「こうしてほしいです」というものもなく、ラップが本当にかっこいいなぁ〜と思ったので、そのまま使った感じでした。
――お二人はどんなことを意識しての作詞になったのでしょうか。
KOHSHI まさにテーマもラップパートもあったので、そこに乗っかる感じで書きました。日本のサムライをテーマにしましたが、外国人は“葉隠れ”とか“死ぬことと見つけたり”とか、わかってくれるのかなぁ、と思ったんだけど、それこそが侍の精神だし、自分を殺して忠義に尽くす、というところに日本人としてグッときているので、それを日本語で表現できて、ラップとして放つことができて良かったです。
KEIGO 僕も一緒で。熊谷くんの作ってくれていた曲に乗って、自分なりのラップを書かせてもらった感じですし、2バンドがバシバシに海外でライブをしていることもあるし、熊谷くんがどうしてこの曲を作りたいと思ったのかも明確だったので、自分たちが海外にいくときの心持ちと言いますか、持っていなければいけない、2バンドが持っている想いを書かせてもらいました。
――レコーディングはいかがでしたか?
熊谷 楽しくやらせてもらいました。
KOHSHI 熊谷くんディレクションでの歌録りでした。一度ブースでかましてやったあとに「もうちょっと力を抜いたバージョンでやってもらえますか?」とか「その中間でやってみてもらえますか?」とか、ディレクションがあったんですけど、普段は自分ディレクションでやっているのですごく新鮮でしたし、抜いたラップもいいんだな、ということの発見は今回の収穫でした。
熊谷 そうでしたっけ?
KOHSHI うん。ラップだと力が入っちゃうので、力を抜いた感じが良かったし、よりトラックに合っていたし、これまであまりやったことがなかったことなので、新鮮で楽しかったです。
KEIGO 録ったあとに熊谷くんから1つアイデアをくれるんです。普通だったら被せちゃうんですけど、太く歌ったあとに「ウィスパーボイスっぽいのを被せてみるのはどうですか?」って熊谷くんが言ってくれて、やってみたら「いいね!」ってなったりもして。熊谷くんがレコーディングで聴いていてポッと出してくれたアイデアが新鮮だったのは良かったなと思いました。
――一緒に制作する時間はいかがでしたか?
TAKE 熊さんには近いものを感じているんです。構築する感じとか全体のバランスを見るところも細かいところを気にする感じも。コンポーザーとしてはかなり近しい場所にいるイメージでした。
――これまでのBURNOUT SYNDROMESとも違う楽曲になりましたが、BURNOUT SYNDROMESのお二人はどのような印象がありますか?
石川 僕は本当にラップが大好きで。その人の人となりやバックボーンが見えてくるのがラップを好きな理由なのですが、熊谷くんはイマドキでスタイルに囚われないラップで。
熊谷 そういうところの常識がないから(笑)。
KOHSHI 「なに、その(韻の)踏み方!」ってなるもん。
石川 同時にFLOWさんのラップもヤバい。KOHSHIさんはオールドスクールで、きっちりと韻を踏んでいく感じで、KEIGOさんは日本語の元々ある美しさがあって。“静けさや岩に染み入る蝉の声”は1つも韻を踏んでいないけど、母音を合わせることだけがラップではないし、この句はそういう意味で韻を踏んでいるんだと書かれた本を読んだことがあるんです。それをKEIGOさんの“成せば成る 成さねばならぬ”のところでも感じることができて、すごいと思いました。
廣瀬 この曲はBURNOUT SYNDROMES史上最もボーカルのトラック数があるんです。重なり方も面白いですし、3人の声というのは今までにないBURNOUT SYNDROMESを生み出すことができたこのコラボにはすごく感謝しています。
――最初の構想から完成に至るまでの間にご自身の中で想定外だった化学変化はありましたか?
熊谷 作業をしていくなかでFLOWの皆さんからもたくさんのアイデアをいただいて、それは自分の引き出しにないものばかりでしたし、最初に思いついて描いたものとは結局違ってはいますが、何段階もいいものになったと思っています。1人で作っていたら味わえない感じというか。みんなで作ればいいものを出しあえるし、いいものができるんだなって思いました。あとは私、自分のラップにめちゃくちゃ自信がないんですけど、KOHSHIさんが「ラップ上手い」とほめてくれたことが嬉しかったです。よく聴いている日本人ラッパーさんの影響が出ているとは思うのですが、お二人のラップを聴いていると「やっぱりラップってこうだよな」って思わされました。
KOHSHI 僕らラッパーではないからね(笑)。
熊谷 でもそれぞれの得意技ってあって。持っていない人から見るとやはり「すげぇ」って思うんです。
KEIGO ラップってこうなんだって僕も思わされました。最初のデモを聴かせてもらったときにも思いましたね。
想像以上に早く巡ってきたステージでのコラボのチャンス
――そんなFLOW、BURNOUT SYNDROMESにラックライフを加えた3バンドで“共鳴レンサツアー 〜アニメスペシャル〜”というスペシャルなツアーが開催されました。こちらの感想を伺いたいです。
KEIGO 一発だけのライブではなく、ラックライフも含めてのツアーという形で3本やらせてもらいました。出番も全部違ったので、すごく面白かったです。それぞれの一番手のときと二番手のとき、トリでのライブのやり方が違うんだなと思ったし、BURNOUT SYNDROMESも曲中はめちゃくちゃ見せつけられるし、引き寄せられるんだけど、しゃべり始めるとガラっと空気を変えるんですよね。見せつける世界観と、MCのときにグッと距離を近づけてきて、気づいたらうねりの中にいるようなライブはすごいなって思いました。エンターテインメントしている超かっこいいバンドという印象が強くなりました。
KOHSHI シンプルにMCが面白いんですよね。実際に一緒に回ってみて感じました。こんなふうに次の曲へと導入するMCをするんだ、と思いましたし、僕らも昔から意識している部分でもあるので、そういうところは楽しかったですし、自分たちのMCについても考えさせられましたね。
TAKE ライブで聴くと、より楽曲のポテンシャルみたいなものが発揮されるので、改めてBURNOUT SYNDROMESの幅の広さも感じましたし、1曲ずつのメロディの強さや、構成の面白さを肌で感じられました。
――“アニメ縛り”をずっとやってきたFLOWなので、アニメの曲だけでライブができるバンドが増えてくることは灌漑深いのではないでしょうか。
TAKE 本当に止めてほしいです。出る杭は今のうちに打たなきゃ!
熊谷 怖いなぁ(笑)。
TAKE そう思っていたら、その杭はもう出きっていました(笑)。
一同 あはははは(笑)。
――ではBURNOUT SYNDROMESの皆さんはいかがでしたか?
廣瀬 東名阪と一緒に回らせていただいて、FLOW先輩は容赦がなかったです。
KOHSHI え?何したっけ?
廣瀬 ウェーブをやるわ、跳ばせまくるわで、僕らがFLOWさんのあとにやるときには、お客さんが疲れ切った表情でした(笑)。そこに負けないように自分たちもライブに臨んだことで楽しい時間になったと思います。
石川 FLOWさんは3会場セットリストがガラリと変わるんです。でも今回のツアーは“アニソン縛り”という設定があった。その中でガラリとセットリストを変えられる豊富さ。でもまだまだ楽曲はあるという事実。化けものかと思いました。僕らは今回、最大火力でした。レジェンドに礎を見せつけられました。あと僕はKEIGOさんを尊敬していて。
KEIGO ほぉ。
石川 煽るんですけど、言葉が丁寧なんです。
KEIGO あはははは(爆笑)。
廣瀬 煽りに優しさがありますよね。
石川 その感じっていいなぁって思うのは、アニソンを聴かれる方でライブに来慣れていない人もいると思うので、その優しさに惹かれるだろうと思っています。
熊谷 僕の感想も2人と同じなのですが、FLOWさんの存在は大きいなと思いました。我々もMCを褒めていただきましたが、FLOWさんのMCに懐の大きさを感じていたんですね。イベントのことをものすごく考えたMCで、ほかの2バンドのことをしっかり絡めつつイベントを最大限に盛り上げようとしているところにデカさの違いを感じました。FLOWさんって、スーパー癖強5人組なんですけど(笑)、それ故に常に新しいものを作れるし、それでいてライブでは全員が同じ方向を見られるんですね。1日をいいものにしようという心意気で。それが長年アニメ業界で愛され、海外でも愛される所以なのかなと思いながら見ていましたし、こんなふうになりたいなと思いました。
――その2バンドで「I Don’t Wanna Die in the Paradise」を歌われていかがでしたか?
KEIGO コラボ曲って作った音源は流せるけど、2バンドいないとできないからなかなかライブでは出来ないんですよね。楽曲ができたときには「いつ一緒にやれるかな」と思っていたので、まさかこんな早いタイミングでやれるなんて、幸運でした。思っていた以上に早くできて嬉しかったです。
KOHSHI 今回は東京公演だけで披露したんですけど、リハも足りないですし、本領発揮できるのは2回目、3回目だと思うので、ぜひまたやりたいです。
石川 ステージに人がぎゅうぎゅうで、狭いなって思いました(笑)。あとは「ここがベースの支えどころだろう!」とも思いましたね。これだけ音が多いですから。そんなベーシストとしての大事な心を取り戻せたと思います。
TAKE もちろん廣瀬くんのドラムも聴きやすくて、ギターを弾きやすかったです。
廣瀬 僕のほうを見てKEIGOさんが歌ってくれて、TAKEさんがギターを弾いてくれるのが新鮮でした。メンバーはいつも僕のほうを見てはくれないので(笑)。すごくテンションがアガりました。
熊谷 一生懸命にやっていたな、という記憶しかないですね。ただ3人で歌うので、2番は私、ほとんど聴いていられるんです。やっぱりかっこいいなぁと思いました。私はあまりライブことを考えて曲を作らないので、軽率にコラボをしてしまうんですけど、ライブでやりづらいという弱点もありつつもやれたときのお客さんのテンションがハンパなくアガるのもコラボ曲の魅力なのかなと思います。またいつかぜひ一緒にやりたいです。
――では最後にお互いに対して期待していることをお聞かせください。
KEIGO 一緒に海外でライブがしたいです。アジアだけじゃなく、お互いに南米にも行っていますからね。南米で2マンライブができたら嬉しいです。
KOHSHI またきっと一緒にやれると思うので、期待しています。
TAKE 次回は打ち上げしましょう!
廣瀬 ずっと背中を追わせていただいていますが、これからも背中を追える存在でいてくれたら嬉しいです。
石川 これまでにもヨーロッパ、アメリカ、南米と開拓してくださっているFLOWさんなので、ここからもアフリカやまだまだアニメイベントの行っていない土地を開拓していただいて、僕らもそこに乗っていきたいと思います。
熊谷 この間の「贈る言葉」の武田鉄矢さんとのMVが本当に素敵でした。あれはFLOWさんにしかできない。いまだに「FLOWさんにしかできないこと」がたくさんある気がしていて、そういったものをこれからもまだまだ見せつけてください!
●リリース情報
BURNOUT SYNDROMES × FLOW
Digital Single
「I Don’t Wanna Die in the Paradise」
配信中
関連リンク
BURNOUT SYNDROMES 公式サイト
https://burnoutsyndromes.com/
BURNOUT SYNDROMES 公式Twitter
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BURNOUT SYNDROMES 公式YouTube
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FLOW オフィシャルサイト
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