パシフィコ横浜で2月26日まで開催している、国内最大級の写真映像関連イベント「CP+2023」。ここではタムロンの展示を中心にレポートする。同社のブースは、国内生産工場がある青森と“祭り”をテーマにした豪華絢爛な雰囲気で、来場者の目を引いていた。

【CP+2023】タムロンはXマウント用新レンズ初披露、動画撮影に役立つアプリも

タムロンブースの外観

本物のねぶた「マタギ『熊を討つ』」。詳細は後述する

注目の新製品は、開発発表したばかりの富士フイルムXマウント用「11-20mm F/2.8 Di III-A RXD」(Model B060)。ショーケースにおさめたかたちで展示されているため、実際に手に取ることはできなかったが、富士フイルム「X-S10」と組み合わせた外観は非常にコンパクトに見える。

富士フイルムXマウント用「11-20mm F/2.8 Di III-A RXD」

X-S10と組み合わせた外観展示もあった

祭りがテーマのブースらしく、「富士フイルムXマウント」と書かれたちょうちんも。粋な計らいだ

タッチアンドトライカウンターには、各社のマウントに対応した現行のタムロン製交換レンズとカメラボディが組み合わせた状態で置かれており、ブース中央に置かれた青森の「ねぶた」や女性モデルの撮影を体験できるようになっている。



コストパフォーマンスに優れた機種から性能を高めたハイエンドモデルまで多彩なレンズを展開するタムロンだが、PCやスマートフォン用のアプリを用いて自分のレンズを使いやすいように設定できるのも魅力のひとつ。ブースの奥では、Androidスマホ向けの「TAMRON Lens Utility Mobile」アプリを使った4つのデモキットを用意していて、実際に触れて試せる。

TAMRON Lens Utility Mobileの体験コーナー

今回は特に、動画撮影時に威力を発揮するフォーカスカスタム機能のデモを体験した。ビデオ用雲台と三脚に載せられたカメラに、タムロン製レンズを装着。さらにTAMRON Lens Utility MobileをインストールしたXperia PRO-I、TAMRON Lens UtilityをインストールしたPCを設置しており、タムロンブース内をライブで映した状態で、「A-Bフォーカス」機能を実行してみた。

背景からモデルの女性へ、あるいはモデルの女性から背景へ……といったかたちで、指定の秒数(今回は3秒)でピントのあっている箇所がスムーズに前後に動くのが分かる。映画やドラマでよく見かけるこうした演出を、アプリに任せてひとりでできてしまうのは頼もしい。ワンオペで動画撮影をこなしている人には重宝しそうだ。



TAMRON Lens Utility Mobileのデモの様子



ブースにはこのほか、2020年11月のタムロン創業70周年を記念して、ミニチュア写真家の田中達也氏が制作したミニチュア「これからも未来へ進み続ける 〜Heading for the Future〜 」とその写真が展示されている。



ミニチュア写真家の田中達也氏が制作した作品「これからも未来へ進み続ける 〜Heading for the Future〜 」

タムロンレンズを11本使ってふたつの汽車をつくり、駅に入線している情景をミニチュアで表現したもの。もともと「CP+ 2020」のタムロンブースで披露する予定だったのが、展示会の中止によって作品の公開が延期に。これまで本社のロビーに写真と共に展示されていたそうで、一般向けには今回が初のお披露目となる。ねぶたやタッチアンドトライカウンターからはやや離れた場所にあるので、見逃さないよう要注意だ。

ミニチュアの全景



小さな世界のなかにも、さまざまな情景が広がっている

タムロンブースのレイアウトマップ

今回のタムロンブースのテーマは「祭り」。タムロンの国内生産工場の「青森」にフォーカスを当て、重要無形民俗文化財に指定されている「ねぶた祭」の熱狂を再現している。

ねぶた祭りの魅力は、ねぶた職人の作り手としてねぶたにかける想いと技術。同じくレンズづくりに想いと技術を傾けるタムロンの世界観とリンクさせた演出として、ねぶた祭りの熱狂を再現した迫力あるブースデザインとしたのだそうだ。

ブースの内側にあるもうひとつのねぶた「絵馬に込めた願い」

ブース中央の被写体として鎮座する2体の「ねぶた」は、実は地元の小中学生が描いた下絵を元にしたもの。「全国小・中学生ねぶた下絵コンクール」にて最優秀賞に輝いた作品「マタギ『熊を討つ』」(第9回)、「絵馬に込めた願い」(第10回)をベースとし、ダイナミックな筆致そのままにねぶた師らが監修し、カタチにしたのだという。

第9回はコロナ禍にはいる前の2019年、そして第10回はコロナ禍真っ只中の2020年に受賞となったわけで、今回ようやく本物のねぶたとして多くの人の目に触れる機会を得たことになる。ふたつの力作にぜひ注目してほしい。

「マタギ『熊を討つ』」の下絵の解説

「絵馬に込めた願い」の下絵の解説

なお、ステージ横には今回のCP+のために制作された、巨大な源義経の「ねぶた面(ねぶたの顔)」も展示されている。ねぶた師により命を吹き込まれた表情を間近で見られるので、こちらも要チェックだ。