東武「鐘ヶ淵駅 連続立体交差化」進展は? 事業の″前段階″進行中 街はどう変化するのか
浅草〜堀切間が全線高架化となる見込みです。
「まちづくり計画」からいよいよ「事業」へ
高架化に向けて取り組みが進む鐘ヶ淵駅(画像:写真AC)。
東京都と墨田区は、東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)の鐘ヶ淵駅周辺の連続立体交差化に向けて取り組みを進めています。現在、実現までどれくらいの道のりなのでしょうか。
鐘ヶ淵駅南側の踏切の解消に向けて行政の動きが本格化したのは2004(平成16)年、東京都が「踏切対策基本方針」の中で重点的対策を「検討すべき踏切」として指定したものです。この方針では指定踏切を2025年までに対策実施すべきとしています。
連続立体交差化の構想内容は、東向島駅からそのまま連続して高架となり、鐘ヶ淵駅を越えて、堀切駅南側へ至る部分。鐘ヶ淵駅をすぎると線路は堤防沿いで特段の遮断踏切もなく、さらに首都高6号向島線の高架橋と交差することから、ひとまず立体化は堀切駅手前までとなっています。完成すれば、浅草駅からここまで全線が高架区間となります。
連続立体交差事業の流れとしては、都市計画決定と環境アセスメントを経て、最終的に国の事業として認可されれば、いよいよ工事着手へ進んでいくこととなります。
それらに至るまでに、都が独自に、下準備を進めていく必要があります。その一環が「地区まちづくり」の策定です(2016年)。ここでは立体化工事や生活利便施設の整備と一体的に、木造住宅の密集地帯である鐘ヶ淵地区を「不燃化特区」とする都のプロジェクトを推進していくとしています。具体的には鐘ヶ淵通りをふくむ域内道路の拡幅や、狭い路地が密集するエリアへの緊急車両通行路の整備などが盛り込まれています。
これまで鐘ヶ淵駅前に一般路線バスのバス停は無く、コミュニティバスの駅前バス停も南側に100m離れています。道路の拡幅や拠点施設の整備により、これらの不便も解消が期待されます。
こうしたまちづくり計画が醸成されてきたのをうけ、立体交差化に向けて大きく動いたのが2022年9月。都は鐘ヶ淵駅付近について、連続立体交差化を「事業候補区間」に位置づけたと発表しました。いよいよ諸手続きと、その準備が本格的に始まっていきます。
事業候補区間に指定されたのをうけ、今月20日から23日にかけて、周辺地域ではまちづくりパネル展が開催。地元住民向けにこれまでの取り組みが説明されるなど、機運が高まりつつあります。