JR西日本の岡山・備後エリアへ20年ぶりに投入される新型車両、227系500番代「うらら」がお披露目されました。2023年度から順次導入される予定です。

豊かで穏やかな岡山エリアをイメージしたデザイン

 広島エリアを走る「Red Wing」のほか、和歌山エリアでも走るJR西日本の新型通勤電車「227系」が、岡山・備後エリアに「Urara(うらら)」という愛称で導入されます。車両形式としては227系500番代になり、安全性、快適性、利便性がより向上するそうです。
 
 カラーリングも大きく変化したその姿が2023年2月2日、大阪府東大阪市の近畿車輛で初めてお披露目となりました。


2月2日に公開された227系500番代「Urara」(鶴原早恵子撮影)。

 うららのデザインコンセプトは「豊穏の彩(ほうおんのいろどり)」。豊穏とは「豊穣」と「穏和」を組み合わせた造語です。岡山・備後エリアの豊かで穏やかな気候や実りをイメージした、上品で明るい雰囲気のデザインだといいます。

 特に印象的なのは車体正面やホロを彩る上品なピンク。岡山の桃、福山のバラ、尾道の桜をイメージしているといいます。

 うららのデザインコンセプトには、岡山支社の社員も積極的に関わっています。イメージカラーのピンクの色合いなどを決めたほか、デザインコンセプトもワークショップを行うなどして提案したそうです。うららという愛称も一般公募で決めた、いわば社員とユーザーが一緒になって作った車両と言えるでしょう。

 車体側面の暖色のグラデーションは太陽の恵みや穏やかさを表現。鉄道ファンなら、かつて岡山〜福山間で活躍した快速「サンライナー」の雰囲気を思い出すかもしれません。

目指すは「長く愛される、安全・安心・快適な車両」

 車内に入って最初に気づいたことは、広島地区の「Red Wing」とは違い、出入り口付近に広々としたスペースが確保されていること。座席を5列から4列に見直し、その代わりに人が滞留しがちなドア前を広くすることで、乗り降りがよりスムーズになることが期待されるといいます。立ち客が増えますが、そのことで逆に収容力が増えるという発想です。そのため、つり革の数が増強されています。このほか先頭車間転落防止ホロや運転士異常時列車停止装置、クラッシャブル構造など、当エリアの車両で初めて装備される装置・設備が導入されています。

 うららの導入は2023年度から順次進められ、3両編成が25本、2両編成が13本の計38編成101両となる予定です。導入線区は山陽線などが検討されているとのことです。

 岡山・備後エリアは長らく国鉄型電車117系が主力で、新型車両の導入は20年ぶりです。JR西日本の担当者は、115系や117系など国鉄時代からの車両が長く愛されていることを感謝しつつ、「より快適で安心してお使いいただける『うらら』もまた、長く愛される車両になってほしい」と導入に向けての意気込みを語りました。