最近多い「フルフラット採用車」走行中に後部座席で「寝たまま」はダメ!? 該当する違反は?
後部座席「フルフラット」なままの走行は違反!?
最近では、背もたれや座面をベッドのように水平につなげ「フルフラット」にできる仕様のクルマが増えつつあります。
では、同乗者が後部座席をフルフラットにして寝たままクルマを運転するのは違反になるのでしょうか。
アウトドアブームの高まりにより車中泊が人気になってきていることから、後部座席に寝袋や布団を敷き、寝るスペースとして利用しているユーザーもいるでしょう。
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車中泊をおこなう人の中には、カップルや友人同士など何人かで行動する人もいますが、長旅の場合、クルマの移動中に運転手以外の人が後部座席をフルフラットにして、そこで仮眠をとるというケースも想定されます。
ここで気になるのは、後部座席をフルフラットにして寝ていた場合、何らかの交通違反に該当するのか? ということです。
交通違反として考えられるのは、道路交通法第71条の3「座席ベルト装着義務違反」です。
後部座席がフルフラットになる仕様のクルマでは、座席をフルフラットにするとシートベルトを挿す金具が内側に入り込んでしまいシートベルトを装着できないケースがあるほか、構造的にシートベルトを装着できる場合でも「寝ているときに締め付けられたくない」「後部座席ならシートベルトをしなくても大丈夫」などと考えて装着しない人もいるようです。
シートベルトはすべての道路において後部座席を含む全席着用が義務づけられているため、クルマの移動中にシートベルトをせず、後部座席をフルフラットにして寝ている人がいれば運転手の違反になってしまいます。
SNS上でも実際に「後部座席をフルフラットにして子どもを寝かせていたらシートベルトの違反で捕まった」という事例も見られます。
仮に座席ベルト装着義務違反で検挙された場合、反則金はないものの、違反点数1点が加算されます。
それでは、フルフラットに近い状態まで座席を倒し、その状態でシートベルトを装着していた場合はどうなるのでしょうか。
過去に大阪市消防局が出した資料では、シートベルトの装着に関して「装着とは、座席ベルトの効果をそこなわないように正しく装着するという意味」と明記されていました。
つまり、正しいシートベルトの着用方法と判断されなければ座席ベルト装着義務違反に問われる可能性はゼロではないといえます。
さらに座席を倒した状態でシートベルトをしていると、交通事故に遭った際に身体がすり抜けて大怪我をする危険性があるほか、事故のときにシートベルトを着用していなかったことが原因で、損害賠償が減額される可能性もあります。
道路交通法上では座席のリクライニングの角度やシートベルトの着用方法については細かく規定されていないため、実際に警察が取り締まる事例は多くないと考えられるものの、安全性の面からシートベルトを正しく着用することが重要といえるでしょう。
警察庁のホームページでは、シートベルトの正しい着用方法として「シートの背は倒さずに、シートに深く腰掛ける」「肩ベルト(三点式ベルトの場合)は、首にかからないようにする。また、肩ベルトがたるまないようにする」などの方法が挙げられているため、運転姿勢や車内で仮眠をとる際の参考にすると良いかもしれません。
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車中泊をする人の中には後部座席をフルフラットにして寝るスペースを作る人もいますが、人が寝ている状態でクルマを走らせると、「座席ベルト装着義務違反」という交通違反に該当する可能性があります。
クルマで移動しながら後部座席で仮眠をとる場合には、座席をフルフラットにせず、シートベルトがきちんと機能するように装着することを心がけましょう。