大容量のデータを持ち歩くデバイスとしては、かつては容量が少なければUSBメモリ、大容量であればポータブルハードディスクという暗黙の役割分担がありましたが、この両方をカバーできる製品として、最近注目を集めつつあるのがポータブルSSDです。ポータブルSSDは、値段こそやや割高になりますが、USBメモリよりも大きな容量を扱うことができ、なおかつ転送速度は圧倒的に高速とあって、ハイエンドな用途では利用が進んでいます。今回紹介するキングストンの「XS2000」もそのひとつです。最大の特徴は、USB 3.2 Gen 2x2に対応し、USB Type-Cケーブルを使うことで約2,000MB/秒の高速な読み書きが可能になることです。ボディサイズはUSBメモリの横幅を倍にした程度パッケージ。最大4TBまでラインナップします本製品のボディはUSBメモリを2つ並べた程度。手のひらにすっぽり収まるサイズです。落下の衝撃や持ち歩き時の擦り傷から本製品を守るためのシリコン製のカバーも付属していますので、持ち歩きにはぴったりです。本体は軽量で、わずか28.9gしかありません。本体にスイッチ類は一切なく、PCに接続すれば、一般的なストレージとして認識されます。標準ドライバで動作しますので、わざわざドライバをインストールする必要はありません。WindowsやmacOSはもちろん、LinuxやChrome OSにも対応しています。USB Type-Cポート。USB 3.2 Gen 2x2に対応します両側面は何もなくスッキリした外観シリコン製保護カバーとケーブルが付属します電源不要、USBポートからの電源供給で駆動しますさて、扱うデータの容量が大きければ、ストレージの転送速度はより重要になります。もともとSSDは、ハードディスクと比べてデータの転送速度ははるかに上ですが、USB 3.1などのインターフェイスがボトルネックとなって、その利点を発揮できないこともしばしばでした。本製品は、USB 3.2 Gen 2x2に対応することで、現行のこうした外付けストレージ製品としては最速クラスである、約2,000MB/秒の高速転送に対応しています。これならば、動画をはじめ何百GBというデータがあっても、わずかな時間で転送が行えます。ただし、このスピードを出すためには、PC本体側がUSB 3.2 Gen 2x2に対応したインターフェイスを搭載している必要があります。筆者が使用しているThinkPad X1 Carbon Gen9の場合、残念ながら転送速度は最大値のおよそ半分、1,000MB/秒をわずかに超える程度しか出せません。もっとも、ミドルクラスのPCでここまで高速なインターフェイスを搭載した製品がどこにでもあるわけではなく、外付けストレージで1,000MB/秒を超えるだけでも十分に高速な部類に入ります。デスクトップPCでは転送速度をフルに発揮するためにボードを増設するなどの方法もありますが、本製品側がボトルネックになる心配がないというだけでも、長く使っていく上では十分なメリットでしょう。ショートタイプのケーブル。反発力はやや強め筆者の環境ではこれが精一杯(MAXの半分程度)当製品のこうした特徴は、USBメモリとの比較であれば容量面、ポータブルHDDとの比較であれば速度面や静粛性で、圧倒的な優位性があります。本製品は1TBで2万円を切るなど、同じ外付けSSDと比べても価格がリーズナブルなのも利点です。容量についても、最小で500GB、最大で4TBと、選択肢は豊富に用意されています。そんな当製品について、注意しなくてはいけない点は主に2つ。ひとつは暗号化機能を搭載していないことです。本製品の競合製品では、ハードウェア暗号化をサポートし、パスワードなしではデータの読み出しができない製品もあります。本製品は価格が割安なぶん、こうした暗号化機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ともに搭載していません。どうしても必要というわけではありませんが、機密データを扱う場合は、万一の盗難や紛失に備え、暗号化ソフトを組み合わせるなどの対策を考える必要があります。もうひとつは、付属のケーブルがやや硬く、取り回しにくいことです。PCに接続すると、ケーブルの反発力で本製品の位置が動いてしまうほどで、なるべくであれば買い替えたほうが無難でしょう。こうした追加コストは、購入にあたって織り込んでおきたいところです。DATA製品名:SXS2000/1000G
実売価格:1万8千円前後
発売元:キングストンテクノロジー
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/B09F5YHQ1K/