『LoL』の国内プロリーグを観よう! Revolさんに聞く「LJL 2023 Spring Split」観戦ガイド
2023年1月28日より、PCオンラインゲーム『League of Legends』(以下、LoL)の国内プロリーグ「League of Legends Japan League」(以下、LJL)2023年シーズンが開幕します。
昨今、人気ストリーマーたちによる配信の盛り上がりによって、ますます認知度を拡大している『LoL』。配信をきっかけに、新たに『LoL』のプレイや観戦を始めた人も多いのではないでしょうか。『LoL』のおもしろさがわかってきたら、ぜひ楽しみたいのがプロシーンの大会観戦です。
今回は、LJLでキャスターを務めるRevolさんにインタビュー。まもなく開幕する「LJL 2023 Spring Split」に向けて、2023年シーズンからの大会形式や出場する8チームの情報、そして大会観戦を楽しむためのポイントについて聞きました。
1月28日からは、2023年シーズンの「Spring Split」がスタートする
公式大会として7年の歴史を持つLJL。今年からの変化は?
――まず最初に、LJLがどんな大会なのか、改めて教えてください。
Revol:LJLは日本国内で唯一の『LoL』公式大会で、プロ8チームが出場するリーグです。もともとRiot Games公認大会として始まったのが2014年。2016年からはRiot Games公式大会になり、そこから7年続いています。
1年のうちに「Spring Split」と「Summer Split」の2つが開催され、「Spring Split」で優勝したチームは、国際大会「Mid-Season Invitational」(MSI)に出場。そして、「Summer Split」で優勝したチームは、『LoL』の大会において最も価値のある世界大会「World Championship」(通称 Worlds)に出場できます。
――2つのスプリットで8チームはどのような形式で対戦するのでしょうか?
Revol:それぞれのスプリットはレギュラーシーズンから始まり、8チームによる総当たり戦が2周行われます。2周するので、レギュラーシーズンのなかでも、前半戦と後半戦があるイメージですね。
レギュラーシーズンが終わると、上位6チームによるプレイオフが行われます。プレイオフはシングルエリミネーション形式のトーナメントで行われ、それを勝ち抜いたチームがスプリットの王者となります。
――大会形式について、2023年シーズンから変化した部分を教えてください。
Revol:昨シーズンまで、レギュラーシーズンはBo1(1本先取)で、総当たり戦が3周行われていました。今シーズンから、レギュラーシーズンはBo3(2本先取)になり、総当たり戦が2周になります。
――Bo1からBo3に変わると、チームや選手の目線ではどのような変化がありますか?
Revol:もともとBo3は、チームや選手から多くの要望があった対戦形式なんです。一発勝負のBo1では、格上のチームに勝つための飛び道具的な戦略を練ることができます。ただ、そればかりでは試合の準備が難しくなりますし、なにより選手たちの成長につながりにくい面がありました。
Bo3であれば、相手チームの突飛な作戦によって1ゲーム落としたとしても、次のゲームで修正して戦えるため、より安定した結果につながります。それだけでなく、1ゲーム目で勝利した場合、2ゲーム目で新しいことにトライできる。これを大会本番の環境でできるのは、チームや選手の成長につながる大きな要素です。
Bo1にもBo3にもそれぞれ良さがあり、1ゲームで決まるBo1ならではのドキドキ感も代えがたい魅力があります。ただ、やはり選手たちにはどんどん強くなってほしいですから、その点を踏まえると、僕としてもBo3がより好ましいと感じますね。
――Bo3になったことで、観戦する視聴者目線ではどんな変化があるでしょうか。
Revol:特にドラフト(チャンピオンのバン&ピック)において、1ゲーム目を踏まえて2ゲーム目をどう戦うかという、Bo3ならではの駆け引きが見どころです。
例えば、「1ゲーム目はこの選手が決め手になっていたけど、2ゲーム目で相手はどう対策するんだろう?」といったことですね。『LoL』を深く知れば知るほど、Bo3のおもしろさをより感じられると思いますよ。
――大会スケジュールについても、今シーズンからの変更点を教えてください。
Revol:昨シーズンまでは水・金・日というスケジュールでしたが、今シーズンは金・土・日の開催になります。なので、視聴者の方々にとっては、「週末にLJLを観る」という、わかりやすいスケジュールになったのではないでしょうか。
選手たちの目線では、昨シーズンは日曜日の試合を終えたら、次の試合が水曜日と、試合間が短かったんです。しかし、今シーズンは日曜日の試合を終えたら、次の試合は金曜日。その分まとまった練習時間が取れますから、シーズンを通したチームの強化にもより期待できるでしょう。
今シーズンから、レギュラーシーズンではBo3の総当たり戦が2周行われる
【DFM/SG】昨シーズンの優勝を争ったトップ2チーム
――LJLに出場する8チームについて、昨シーズンの「Summer Split」のランキング順に紹介をお願いします。
Revol:まずは優勝チーム、「DetonatioN FocusMe」(以下、DFM)からですね。DFMは国内優勝を何度も果たしている、LJLを代表する強豪チーム。国際大会に何度も出場しているため、海外で最も知られている日本チームでもあります。
しかし、昨シーズンまでチームを引っ張っていたEvi選手が、ヨーロッパリーグのLECに移籍したことで、DFMには大きな変化が訪れています。Evi選手が抜けた後のDFMがどうなるのか、そしてEvi選手に代わって加入した新人のtol2選手がどのような活躍を見せるのか。ここは大きな注目ポイントですね。
加えて、昨シーズンは韓国リーグのLCKで活躍していたミッドレーナーのAria選手が、1年ぶりにDFMに戻ってきました。王者DFMが今シーズンも強さを維持できるかどうかは、シーズンを通してとても重要なテーマだと思います。
「DFM」tol2選手(トップ)、Steal選手(ジャングル)、Aria選手(ミッド)、Yutapon選手(ADC)、Harp選手(サポート)※チーム画像はすべて、1月25日時点のLJL公式サイトより引用
――続いて、昨シーズンDFMと決勝戦で戦った「Sengoku Gaming」(以下、SG)についてお願いします。
Revol:SGは、“打倒DFM”のために大幅なテコ入れをしました。まず1つは、昔から『LoL』シーンを知っている方からすると、かなりの驚きをもって迎えられたReaperedコーチの加入です。
Reaperedコーチは、韓国でプロ選手としてキャリアを積んだのち、アメリカに渡ってコーチとして「Cloud9」を強豪チームに育て上げた名将です。プロシーンにおいて、コーチがチームに与える影響はものすごく大きいですから、すばらしい実績を持つReaperedコーチの手腕を楽しみにしています。
もう1つは、韓国人プレイヤーLokeN選手の加入です。彼は中国リーグのLPLで優勝経験を持つ、世界でもトップクラスのADC。ReaperedコーチとLokeN選手の加入は、チームにとって非常に大きな強化であることは間違いないでしょう。
また、SGはベテランのトップレーナーPaz選手が引退し、その後釜が誰になるのか注目が集まっていましたが、そこに新人のeguto選手を据えました。しかも、eguto選手はミッドからトップに転向するロールチェンジをしています。新しい試みもしつつ、かなり力を入れて準備していることが伝わるので、開幕戦のSG対DFMの試合が本当に楽しみです。
「SG」eguto選手(トップ)、Once選手(ジャングル)、Jett選手(ミッド)、LokeN選手(ADC)、Enty選手(サポート)※Paz選手は引退
【SHG/FL】LJL内に実の兄弟!? 意外な関係性にも注目
――昨シーズンの3位、「Fukuoka SoftBank HAWKS gaming」(以下、SHG)はどんなチームですか?
Revol:SHGは、サポートに韓国人プレイヤーVsta選手が加入しましたが、それ以外のメンバーは昨シーズンと変わっていません。Vsta選手は韓国リーグのLCKで活躍していた経歴を持ち、Wordsへの出場経験もあるプレイヤーです。
新たに加入したVsta選手と、昨シーズンのデビューで大旋風を巻き起こしたMarble選手によるボットレーンの組み合わせは、注目ポイントですね。SHGは、このボットレーンの強化が1つの目玉になると思います。
Blank選手とDasheR選手のジャングルとミッドのラインも維持されていますし、全体的にスケールアップしたSHGが見られるのは楽しみです。SHGも優勝争いに絡むチームになってくると思いますよ。
「SHG」Kinatu選手(トップ)、Blank選手(ジャングル)、DasheR選手(ミッド)、Marble選手(ADC)、Vsta選手(サポート)
――続いては、昨シーズンまで「Rascal Jester」(以下、RJ)として出場していた、「FENNEL」(以下、FL)について教えてください。(※)
※FLは、2022年9月にRJ LoL部門の買収を発表。2023年シーズンよりLJLに参入する。
Revol:RJとして出場していた昨シーズンは、ボットレーンの韓国人プレイヤー2人組、SSol選手とSecret選手を軸に戦っていくチームでした。しかし、今シーズンはその2人がチームを離れたため、スタイルが大きく変わることが予想されます。なので、今シーズンは誰を中心として戦っていくチームになるのかに、まずは注目したいですね。
新メンバーには、TaNa選手とLeo選手という2人の韓国人プレイヤーが加入しています。TaNa選手は、なんとSGのLokeN選手の弟なんですよ。これまでTaNa選手はLCKに、LokeN選手はLPLに出ていたので、同じリーグに出場するのは初めて。この兄弟対決は、おもしろい見どころになるでしょう。
「FL」TaNa選手(トップ)、hachamecha選手(ジャングル)、Recap選手(ミッド)、Leo選手(ADC)、Corporal選手(サポート)
【CGA/BC】“ポストEvi”を担うプレイヤーは誰になるのか
――昨年シーズン5位、「Crest Gaming Act」(以下、CGA)はどんなチームですか?
Revol:昨シーズンのCGAは、新進気鋭のADCである韓国人プレイヤーHyBriD選手を軸に戦うことを強みとしていました。ただ、ADCというロールは、試合時間25分を過ぎたころから大きな影響力を持つため、そこまでをどう組み立てるかに課題を抱えていたチームでもありました。
現時点(1月25日時点)で、まだメンバーが全員発表されていないのですが、今シーズンも引き続きHyBriD選手が出場するのであれば、昨シーズンの課題がどう改善されるのかは注目したいところです。
そして、LJL全体のトピックとして、Evi選手がいなくなったことは本当に大きな影響です。そのため、誰が“ポストEvi”を担うのかは重要なポイントで、CGAのNap選手はその候補の1人です。彼はチャンピオンプールが独特でおもしろく、攻撃的にも守備的にもプレイできる万能型のプレイヤー。Nap選手の活躍は、CGAにとって必須と言えるでしょう。
「CGA」Nap選手(トップ)、Cassin選手(ジャングル)、Primo選手(サポート)※ロスター未発表
――続いて、昨シーズン6位の「Burning Core」(以下、BC)についても教えてください。
Revol:先ほどの“ポストEvi”の話で言えば、BCのトップレーナーRayFarky選手はその最有力候補。レーニングも集団戦も強く、チームを勝たせる動きができるプレイヤーです。ミッドレーナーのDice選手もすばらしいプレイヤーなので、トップとミッドを軸とする破壊力をどこまで高められるかが見どころです。
さらに、BCは昨シーズンSHGにいたサポートのRaina選手を獲得しました。Raina選手は、戦闘のきっかけとなるエンゲージが上手いプレイヤー。タンクタイプのサポートでエンゲージして、有利な集団戦を始めることに長けているので、そこにも注目していきたいですね。
「BC」RayFarky選手(トップ)、CaD選手(ジャングル)、Dice選手(ミッド)、Yuhi(ADC)、Raina選手(サポート)
【AXIZ/V3】今シーズンでの巻き返しが期待される2チーム
――昨シーズン7位の「AXIZ」は、どんなチームでしょうか?
Revol:AXIZは、過去に所属していたHoglet選手が、ラテンアメリカリーグのLLAでの挑戦を終えて、チームに戻ってきたことが最も大きなニュースです。
Hoglet選手は、とても優れたジャングラーなので、彼がどんどん有利を広げていく戦いが見れることを楽しみにしています。昨シーズンは7位と結果は振るいませんでしたが、今シーズンはもしかしたら台風の目になるかもしれないと、個人的には注目しています。
「AXIZ」Ino選手(トップ)、Hoglet選手(ジャングル)、Megumiin選手(ミッド)、Cheoni選手(ADC)、Dicey選手(サポート)
――そして最後は、昨シーズン8位の「V3 Esports」(以下、V3)です。どんな特徴のチームでしょうか?
Revol:V3はLJLで唯一、日本人選手のみで構成されているチームです。LJLでは、チームに2名まで助っ人外国人を入れられるルールがあります。さらに、一定数以上の試合に出場し、LJLの発展に貢献しているプレイヤーを日本人枠とみなす制度があるため、外国人選手を3名入れているチームもあります。
そうした背景もあり、昨シーズンは振るわなかったV3ですが、試合を重ねていくなかでどんどん強くなっていきました。さらに、今シーズンは日本を代表するミッドレーナーのAcee選手が復帰していますから、活躍を見せてくれるのではないかと期待しています。
「V3」Washiday選手(トップ)、Curep選手(ジャングル)、Acee選手(ミッド)、dresscode選手(ADC)、hetel選手(サポート)
推しのチームや選手を見つけて、大会観戦を楽しもう
――応援したいチームや選手がいると、より楽しく観戦できると思うのですが、8チームのなかからどうやって推しを見つけたらいいでしょうか?
Revol:まず、『LoL』をプレイされている方なら、自分が得意なチャンピオンを使っている選手を見つけるという方法があります。「上手いから応援しよう」とか「プレイを参考にしよう」といった入り口から、選手を好きになるパターンですね。
それから、やはり強いチームや強い選手を応援するのも、王道でわかりやすい楽しみ方でしょう。昨シーズンの優勝チームDFMのような実績あるチームや、長年LJLで戦っている選手は、応援しやすいと思います。
個人的には、選手のパーソナリティをより深く知って、応援したい選手を見つけてほしいので、試合後に行われるインタビューまで観ていただくのが、推しを見つける良い方法だと思いますね。
昨シーズンのLJLで行われていた試合後のインタビュー(LJL 2022 Aftershow)
――ストリーマーの配信をきっかけに『LoL』に興味を持った方も多いと思いますが、公式大会ならではの注目ポイントがあれば教えてください。
Revol:ストリーマーさんの配信との違いとしては、公式大会では実況解説がつくところが挙げられますね。くわしいことがわからなくても、実況解説が盛り上がっていれば、「今すごいことが起きているんだな」とわかります。
最近『LoL』に興味を持った人にとっては、解説が話している内容は難しいかもしれませんが、実況は比較的わかりやすい内容を話しています。「誰が誰を倒した」など、何が起きたかを伝えているので、まずは実況の言葉に耳を傾けながら、わかる範囲で観てもらえると良いと思います。
――解説の方が話している内容まで、いきなり理解しようと思わなくていいということですね。
Revol:そうですね。僕も1つの試合を3〜4回くらい観て、ようやく全体の細かな駆け引きまでわかります。それくらい情報の密度が高いゲームなので、試合を観ながら全部を理解しようとする必要はないんですよ。
LJLは長いリーグですから、試合を追っていると少しずつわかってくる部分もあります。最初は、全試合に目を通そうとするより、推しチームの試合をチェックしようという観戦の仕方がおすすめですね。1つのチームを追っていると、くり返し登場するチャンピオンを覚えたり、選手ごとのプレイの特徴がわかってきたりして、より楽しめると思います。
――ほかにも、おすすめの観戦の楽しみ方があれば教えてください。
Revol:大会は誰かと一緒に観戦すると、おもしろさが倍増します。『LoL』やLJLのことをよく知っている人と一緒に観るのもいいですし、初心者同士で一緒に観るのも楽しいと思います。ぜひまわりの人に声をかけて、オンラインで通話をつないだり、オフラインで会ったりしながら、一緒に観戦してみてほしいですね。
――それでは最後に、LJL観戦に興味を持つ人にメッセージをお願いします。
Revol:今年は大会形式が大きく変化し、なおかつ各チームの力関係も大きく変化することが予想されるシーズンです。7年の歴史があるLJLですが、心新たに観戦できるシーズンでもありますから、これから観てみたい方にとっても良いタイミングだと思います。推しチームや推し選手を見つけて、ぜひ観戦を楽しんでいただきたいです。
そして、個人的に注目してほしいポイントは、やはりEvi選手に続くスタープレイヤーが誰になるのか、というところ。今シーズンはそこを意識していただくと、よりおもしろく観戦できると思います。
――Revolさん、ありがとうございました!
1月28日より「LJL 2023 Spring Split」開幕
「LJL 2023 Spring Split」は1月28日(土)に開幕します。シーズン開幕戦となるWeek1は土日の開催。初日は昨シーズンの優勝を争った2チーム、DFM対SGの試合からスタートします。
TwitchとYouTubeにて大会配信が行われるほか、Week1の2日間はストリーマー3名(たかやスペシャルさん、SHAKAさん、らいじんさん)によるオフィシャルウォッチパーティも行われます。
■「LJL 2023 Spring Split」開催スケジュール
レギュラーシーズン:1月28日(土)〜3月26日(日)
プレイオフ / 決勝日程:4月1日(土)〜4月15日(土)
「LJL 2023 Spring Split」レギュラーシーズンスケジュール
シーズン開幕戦のオフィシャルウォッチパーティを行うストリーマー3名
昨今、人気ストリーマーたちによる配信の盛り上がりによって、ますます認知度を拡大している『LoL』。配信をきっかけに、新たに『LoL』のプレイや観戦を始めた人も多いのではないでしょうか。『LoL』のおもしろさがわかってきたら、ぜひ楽しみたいのがプロシーンの大会観戦です。
1月28日からは、2023年シーズンの「Spring Split」がスタートする
公式大会として7年の歴史を持つLJL。今年からの変化は?
――まず最初に、LJLがどんな大会なのか、改めて教えてください。
Revol:LJLは日本国内で唯一の『LoL』公式大会で、プロ8チームが出場するリーグです。もともとRiot Games公認大会として始まったのが2014年。2016年からはRiot Games公式大会になり、そこから7年続いています。
1年のうちに「Spring Split」と「Summer Split」の2つが開催され、「Spring Split」で優勝したチームは、国際大会「Mid-Season Invitational」(MSI)に出場。そして、「Summer Split」で優勝したチームは、『LoL』の大会において最も価値のある世界大会「World Championship」(通称 Worlds)に出場できます。
――2つのスプリットで8チームはどのような形式で対戦するのでしょうか?
Revol:それぞれのスプリットはレギュラーシーズンから始まり、8チームによる総当たり戦が2周行われます。2周するので、レギュラーシーズンのなかでも、前半戦と後半戦があるイメージですね。
レギュラーシーズンが終わると、上位6チームによるプレイオフが行われます。プレイオフはシングルエリミネーション形式のトーナメントで行われ、それを勝ち抜いたチームがスプリットの王者となります。
――大会形式について、2023年シーズンから変化した部分を教えてください。
Revol:昨シーズンまで、レギュラーシーズンはBo1(1本先取)で、総当たり戦が3周行われていました。今シーズンから、レギュラーシーズンはBo3(2本先取)になり、総当たり戦が2周になります。
――Bo1からBo3に変わると、チームや選手の目線ではどのような変化がありますか?
Revol:もともとBo3は、チームや選手から多くの要望があった対戦形式なんです。一発勝負のBo1では、格上のチームに勝つための飛び道具的な戦略を練ることができます。ただ、そればかりでは試合の準備が難しくなりますし、なにより選手たちの成長につながりにくい面がありました。
Bo3であれば、相手チームの突飛な作戦によって1ゲーム落としたとしても、次のゲームで修正して戦えるため、より安定した結果につながります。それだけでなく、1ゲーム目で勝利した場合、2ゲーム目で新しいことにトライできる。これを大会本番の環境でできるのは、チームや選手の成長につながる大きな要素です。
Bo1にもBo3にもそれぞれ良さがあり、1ゲームで決まるBo1ならではのドキドキ感も代えがたい魅力があります。ただ、やはり選手たちにはどんどん強くなってほしいですから、その点を踏まえると、僕としてもBo3がより好ましいと感じますね。
――Bo3になったことで、観戦する視聴者目線ではどんな変化があるでしょうか。
Revol:特にドラフト(チャンピオンのバン&ピック)において、1ゲーム目を踏まえて2ゲーム目をどう戦うかという、Bo3ならではの駆け引きが見どころです。
例えば、「1ゲーム目はこの選手が決め手になっていたけど、2ゲーム目で相手はどう対策するんだろう?」といったことですね。『LoL』を深く知れば知るほど、Bo3のおもしろさをより感じられると思いますよ。
――大会スケジュールについても、今シーズンからの変更点を教えてください。
Revol:昨シーズンまでは水・金・日というスケジュールでしたが、今シーズンは金・土・日の開催になります。なので、視聴者の方々にとっては、「週末にLJLを観る」という、わかりやすいスケジュールになったのではないでしょうか。
選手たちの目線では、昨シーズンは日曜日の試合を終えたら、次の試合が水曜日と、試合間が短かったんです。しかし、今シーズンは日曜日の試合を終えたら、次の試合は金曜日。その分まとまった練習時間が取れますから、シーズンを通したチームの強化にもより期待できるでしょう。
今シーズンから、レギュラーシーズンではBo3の総当たり戦が2周行われる
【DFM/SG】昨シーズンの優勝を争ったトップ2チーム
――LJLに出場する8チームについて、昨シーズンの「Summer Split」のランキング順に紹介をお願いします。
Revol:まずは優勝チーム、「DetonatioN FocusMe」(以下、DFM)からですね。DFMは国内優勝を何度も果たしている、LJLを代表する強豪チーム。国際大会に何度も出場しているため、海外で最も知られている日本チームでもあります。
しかし、昨シーズンまでチームを引っ張っていたEvi選手が、ヨーロッパリーグのLECに移籍したことで、DFMには大きな変化が訪れています。Evi選手が抜けた後のDFMがどうなるのか、そしてEvi選手に代わって加入した新人のtol2選手がどのような活躍を見せるのか。ここは大きな注目ポイントですね。
加えて、昨シーズンは韓国リーグのLCKで活躍していたミッドレーナーのAria選手が、1年ぶりにDFMに戻ってきました。王者DFMが今シーズンも強さを維持できるかどうかは、シーズンを通してとても重要なテーマだと思います。
「DFM」tol2選手(トップ)、Steal選手(ジャングル)、Aria選手(ミッド)、Yutapon選手(ADC)、Harp選手(サポート)※チーム画像はすべて、1月25日時点のLJL公式サイトより引用
――続いて、昨シーズンDFMと決勝戦で戦った「Sengoku Gaming」(以下、SG)についてお願いします。
Revol:SGは、“打倒DFM”のために大幅なテコ入れをしました。まず1つは、昔から『LoL』シーンを知っている方からすると、かなりの驚きをもって迎えられたReaperedコーチの加入です。
Reaperedコーチは、韓国でプロ選手としてキャリアを積んだのち、アメリカに渡ってコーチとして「Cloud9」を強豪チームに育て上げた名将です。プロシーンにおいて、コーチがチームに与える影響はものすごく大きいですから、すばらしい実績を持つReaperedコーチの手腕を楽しみにしています。
もう1つは、韓国人プレイヤーLokeN選手の加入です。彼は中国リーグのLPLで優勝経験を持つ、世界でもトップクラスのADC。ReaperedコーチとLokeN選手の加入は、チームにとって非常に大きな強化であることは間違いないでしょう。
また、SGはベテランのトップレーナーPaz選手が引退し、その後釜が誰になるのか注目が集まっていましたが、そこに新人のeguto選手を据えました。しかも、eguto選手はミッドからトップに転向するロールチェンジをしています。新しい試みもしつつ、かなり力を入れて準備していることが伝わるので、開幕戦のSG対DFMの試合が本当に楽しみです。
「SG」eguto選手(トップ)、Once選手(ジャングル)、Jett選手(ミッド)、LokeN選手(ADC)、Enty選手(サポート)※Paz選手は引退
【SHG/FL】LJL内に実の兄弟!? 意外な関係性にも注目
――昨シーズンの3位、「Fukuoka SoftBank HAWKS gaming」(以下、SHG)はどんなチームですか?
Revol:SHGは、サポートに韓国人プレイヤーVsta選手が加入しましたが、それ以外のメンバーは昨シーズンと変わっていません。Vsta選手は韓国リーグのLCKで活躍していた経歴を持ち、Wordsへの出場経験もあるプレイヤーです。
新たに加入したVsta選手と、昨シーズンのデビューで大旋風を巻き起こしたMarble選手によるボットレーンの組み合わせは、注目ポイントですね。SHGは、このボットレーンの強化が1つの目玉になると思います。
Blank選手とDasheR選手のジャングルとミッドのラインも維持されていますし、全体的にスケールアップしたSHGが見られるのは楽しみです。SHGも優勝争いに絡むチームになってくると思いますよ。
「SHG」Kinatu選手(トップ)、Blank選手(ジャングル)、DasheR選手(ミッド)、Marble選手(ADC)、Vsta選手(サポート)
――続いては、昨シーズンまで「Rascal Jester」(以下、RJ)として出場していた、「FENNEL」(以下、FL)について教えてください。(※)
※FLは、2022年9月にRJ LoL部門の買収を発表。2023年シーズンよりLJLに参入する。
Revol:RJとして出場していた昨シーズンは、ボットレーンの韓国人プレイヤー2人組、SSol選手とSecret選手を軸に戦っていくチームでした。しかし、今シーズンはその2人がチームを離れたため、スタイルが大きく変わることが予想されます。なので、今シーズンは誰を中心として戦っていくチームになるのかに、まずは注目したいですね。
新メンバーには、TaNa選手とLeo選手という2人の韓国人プレイヤーが加入しています。TaNa選手は、なんとSGのLokeN選手の弟なんですよ。これまでTaNa選手はLCKに、LokeN選手はLPLに出ていたので、同じリーグに出場するのは初めて。この兄弟対決は、おもしろい見どころになるでしょう。
「FL」TaNa選手(トップ)、hachamecha選手(ジャングル)、Recap選手(ミッド)、Leo選手(ADC)、Corporal選手(サポート)
【CGA/BC】“ポストEvi”を担うプレイヤーは誰になるのか
――昨年シーズン5位、「Crest Gaming Act」(以下、CGA)はどんなチームですか?
Revol:昨シーズンのCGAは、新進気鋭のADCである韓国人プレイヤーHyBriD選手を軸に戦うことを強みとしていました。ただ、ADCというロールは、試合時間25分を過ぎたころから大きな影響力を持つため、そこまでをどう組み立てるかに課題を抱えていたチームでもありました。
現時点(1月25日時点)で、まだメンバーが全員発表されていないのですが、今シーズンも引き続きHyBriD選手が出場するのであれば、昨シーズンの課題がどう改善されるのかは注目したいところです。
そして、LJL全体のトピックとして、Evi選手がいなくなったことは本当に大きな影響です。そのため、誰が“ポストEvi”を担うのかは重要なポイントで、CGAのNap選手はその候補の1人です。彼はチャンピオンプールが独特でおもしろく、攻撃的にも守備的にもプレイできる万能型のプレイヤー。Nap選手の活躍は、CGAにとって必須と言えるでしょう。
「CGA」Nap選手(トップ)、Cassin選手(ジャングル)、Primo選手(サポート)※ロスター未発表
――続いて、昨シーズン6位の「Burning Core」(以下、BC)についても教えてください。
Revol:先ほどの“ポストEvi”の話で言えば、BCのトップレーナーRayFarky選手はその最有力候補。レーニングも集団戦も強く、チームを勝たせる動きができるプレイヤーです。ミッドレーナーのDice選手もすばらしいプレイヤーなので、トップとミッドを軸とする破壊力をどこまで高められるかが見どころです。
さらに、BCは昨シーズンSHGにいたサポートのRaina選手を獲得しました。Raina選手は、戦闘のきっかけとなるエンゲージが上手いプレイヤー。タンクタイプのサポートでエンゲージして、有利な集団戦を始めることに長けているので、そこにも注目していきたいですね。
「BC」RayFarky選手(トップ)、CaD選手(ジャングル)、Dice選手(ミッド)、Yuhi(ADC)、Raina選手(サポート)
【AXIZ/V3】今シーズンでの巻き返しが期待される2チーム
――昨シーズン7位の「AXIZ」は、どんなチームでしょうか?
Revol:AXIZは、過去に所属していたHoglet選手が、ラテンアメリカリーグのLLAでの挑戦を終えて、チームに戻ってきたことが最も大きなニュースです。
Hoglet選手は、とても優れたジャングラーなので、彼がどんどん有利を広げていく戦いが見れることを楽しみにしています。昨シーズンは7位と結果は振るいませんでしたが、今シーズンはもしかしたら台風の目になるかもしれないと、個人的には注目しています。
「AXIZ」Ino選手(トップ)、Hoglet選手(ジャングル)、Megumiin選手(ミッド)、Cheoni選手(ADC)、Dicey選手(サポート)
――そして最後は、昨シーズン8位の「V3 Esports」(以下、V3)です。どんな特徴のチームでしょうか?
Revol:V3はLJLで唯一、日本人選手のみで構成されているチームです。LJLでは、チームに2名まで助っ人外国人を入れられるルールがあります。さらに、一定数以上の試合に出場し、LJLの発展に貢献しているプレイヤーを日本人枠とみなす制度があるため、外国人選手を3名入れているチームもあります。
そうした背景もあり、昨シーズンは振るわなかったV3ですが、試合を重ねていくなかでどんどん強くなっていきました。さらに、今シーズンは日本を代表するミッドレーナーのAcee選手が復帰していますから、活躍を見せてくれるのではないかと期待しています。
「V3」Washiday選手(トップ)、Curep選手(ジャングル)、Acee選手(ミッド)、dresscode選手(ADC)、hetel選手(サポート)
推しのチームや選手を見つけて、大会観戦を楽しもう
――応援したいチームや選手がいると、より楽しく観戦できると思うのですが、8チームのなかからどうやって推しを見つけたらいいでしょうか?
Revol:まず、『LoL』をプレイされている方なら、自分が得意なチャンピオンを使っている選手を見つけるという方法があります。「上手いから応援しよう」とか「プレイを参考にしよう」といった入り口から、選手を好きになるパターンですね。
それから、やはり強いチームや強い選手を応援するのも、王道でわかりやすい楽しみ方でしょう。昨シーズンの優勝チームDFMのような実績あるチームや、長年LJLで戦っている選手は、応援しやすいと思います。
個人的には、選手のパーソナリティをより深く知って、応援したい選手を見つけてほしいので、試合後に行われるインタビューまで観ていただくのが、推しを見つける良い方法だと思いますね。
昨シーズンのLJLで行われていた試合後のインタビュー(LJL 2022 Aftershow)
――ストリーマーの配信をきっかけに『LoL』に興味を持った方も多いと思いますが、公式大会ならではの注目ポイントがあれば教えてください。
Revol:ストリーマーさんの配信との違いとしては、公式大会では実況解説がつくところが挙げられますね。くわしいことがわからなくても、実況解説が盛り上がっていれば、「今すごいことが起きているんだな」とわかります。
最近『LoL』に興味を持った人にとっては、解説が話している内容は難しいかもしれませんが、実況は比較的わかりやすい内容を話しています。「誰が誰を倒した」など、何が起きたかを伝えているので、まずは実況の言葉に耳を傾けながら、わかる範囲で観てもらえると良いと思います。
――解説の方が話している内容まで、いきなり理解しようと思わなくていいということですね。
Revol:そうですね。僕も1つの試合を3〜4回くらい観て、ようやく全体の細かな駆け引きまでわかります。それくらい情報の密度が高いゲームなので、試合を観ながら全部を理解しようとする必要はないんですよ。
LJLは長いリーグですから、試合を追っていると少しずつわかってくる部分もあります。最初は、全試合に目を通そうとするより、推しチームの試合をチェックしようという観戦の仕方がおすすめですね。1つのチームを追っていると、くり返し登場するチャンピオンを覚えたり、選手ごとのプレイの特徴がわかってきたりして、より楽しめると思います。
――ほかにも、おすすめの観戦の楽しみ方があれば教えてください。
Revol:大会は誰かと一緒に観戦すると、おもしろさが倍増します。『LoL』やLJLのことをよく知っている人と一緒に観るのもいいですし、初心者同士で一緒に観るのも楽しいと思います。ぜひまわりの人に声をかけて、オンラインで通話をつないだり、オフラインで会ったりしながら、一緒に観戦してみてほしいですね。
――それでは最後に、LJL観戦に興味を持つ人にメッセージをお願いします。
Revol:今年は大会形式が大きく変化し、なおかつ各チームの力関係も大きく変化することが予想されるシーズンです。7年の歴史があるLJLですが、心新たに観戦できるシーズンでもありますから、これから観てみたい方にとっても良いタイミングだと思います。推しチームや推し選手を見つけて、ぜひ観戦を楽しんでいただきたいです。
そして、個人的に注目してほしいポイントは、やはりEvi選手に続くスタープレイヤーが誰になるのか、というところ。今シーズンはそこを意識していただくと、よりおもしろく観戦できると思います。
――Revolさん、ありがとうございました!
1月28日より「LJL 2023 Spring Split」開幕
「LJL 2023 Spring Split」は1月28日(土)に開幕します。シーズン開幕戦となるWeek1は土日の開催。初日は昨シーズンの優勝を争った2チーム、DFM対SGの試合からスタートします。
TwitchとYouTubeにて大会配信が行われるほか、Week1の2日間はストリーマー3名(たかやスペシャルさん、SHAKAさん、らいじんさん)によるオフィシャルウォッチパーティも行われます。
■「LJL 2023 Spring Split」開催スケジュール
レギュラーシーズン:1月28日(土)〜3月26日(日)
プレイオフ / 決勝日程:4月1日(土)〜4月15日(土)
「LJL 2023 Spring Split」レギュラーシーズンスケジュール
シーズン開幕戦のオフィシャルウォッチパーティを行うストリーマー3名