左から古田新太、宮沢氷魚、伊藤沙莉、江口のりこ
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 第92回米アカデミー賞で韓国映画として初の作品賞に輝いたポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』を日本で舞台化する「COCOON PRODUCTION 2023『パラサイト』」のキャストが20日、発表された。映画でソン・ガンホが演じた、貧しい一家の主に古田新太が決定し、その家族に宮沢氷魚、伊藤沙莉、江口のりこがふんする。

 物語の舞台は、1990年代の関西。金田文平は妻と息子、娘と共に、家内手工業の靴作りで生計を立て地上にありながら地下のように一日中陽がささないトタン屋根の集落で細々と生活していた。一方、高台にある豪邸では永井慎太郎、妻の千代子、娘の繭子、引きこもりの息子・健太郎がベテラン家政婦の安田玉子とともに暮らしている。ある日、文平の息子・順平が妹の美妃が偽造した大学の在籍証明を利用し、繭子の家庭教師としてアルバイトを始めたことを機に、金田家は永井家に寄生していく。台本・演出は、崔洋一監督の映画『血と骨』の脚本や、『焼肉ドラゴン』の監督・脚本を務めた劇作家、脚本家の鄭義信。

 発表されたのは、裕福な永井家に寄生する金田家の面々。物語の中心となる金田家の主・文平役に古田新太、息子・順平役に宮沢氷魚、順平と共に永井家にアートセラピー教師として取り入る妹・美妃役に伊藤沙莉、美妃に続いて家政婦として雇われる文平の妻・福子役に江口のりこが決定した。

 文平を演じる古田は、「“日本のソン・ガンホ”と呼ばれることも多いオイラが、ついに彼と同じ役を演じる日が来ました。とはいえガンホさんが一個下ですから、本来“韓国の古田新太”と言われてしかるべきじゃないかと! でも彼のファンでもあるので、稽古前に映画を見直して完コピしようかな? と目論んでいます(笑)。そして、これまでもオファーをいただきながら、スケジュールが合わずなかなかご一緒できなかった鄭義信さんの作品に、やっと出演が叶います。鄭さんらしい、分厚い人間ドラマになるんじゃないでしょうか。同時代を生きてきたインディーズ出身の演劇人たち、そして才能豊かな若手が揃う座組みを、鄭さんが料理する舞台、どうぞ期待値マックスで足をお運びください」とコメントしている。

 東京公演は6月5日〜7月2日まで THEATER MILANO-Za にて、大阪公演は7月7日〜17日まで大阪・新歌舞伎座にて。宮沢氷魚、伊藤沙莉、江口のりこのコメント全文は下記の通り。(編集部・石井百合子)

宮沢氷魚

 今回、世界的ヒットを果たした『パラサイト』の舞台に出演させて頂けることをとても光栄に思います。個人的に大好きな映画であり、新劇場でどのように舞台化をするのか楽しみで仕方がありません。鄭さんの作品は映画『焼肉ドラゴン』、舞台『僕は歌う、青空とコーラと君のために』をはじめいくつか拝見しましたがどれも傑作で、鄭さんに演出して頂けることを楽しみにしています。世界情勢が不安定で、格差がどんどん開いていく今だからこそ、この作品を届ける意義があると信じています。一人でも多くの方にこの作品を観て頂きたいです。

伊藤沙莉

 映画館でもテレビでもサブスクでも、何度も見た大好きな映画、そしてファンの方も多い作品の舞台化に参加できる喜びと緊張で震えています。たくましく懸命に生きる人間を、アツく優しく描く鄭さんの舞台に初めて出演したのは、私がまだ20歳そこそこの時でした。この挑戦的な舞台で再びご一緒できることにも運命を感じています。さらに素晴らしい共演者揃いですから、これは面白いものになる予感しかしません! あの世界をどう生のステージで表現するのか、まだ全く想像できていませんが、皆様の期待を裏切らない、そしていい意味で裏切る作品になれば……と思います。ぜひ劇場に確かめにいらしてください。

江口のりこ

 自分が若手時代に出演した、ドラマ「すみれの花咲く頃」(2007)や映画『信さん・炭坑町のセレナーデ』(2010)といった、映像作品の脚本を手掛けていた鄭さんと初めて舞台でご一緒できることが、まずはとても嬉しいです。座組みには古田さんという頼れるアニキがいますし、何があっても大丈夫という大いなる安心感! キャスティングを眺めていると、ふと「(夫役を演じる)古田さんと私から、果たして宮沢氷魚さんが生まれるのか?」と疑問もわきますが(笑)、映像で共演経験もある宮沢さんが、この役をどう演じられるのかも楽しみの一つです。とにかく頑張りますので、ぜひ観にいらしてください。