【大根の新常識】皮は「ぶ厚く剥く」べし!さすれば煮物の甘みが最大限に引き出される⁉【比較検証】

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管理栄養士のともゆみです。先日放送したNHKの番組『あしたが変わるトリセツショー』は大根がテーマでした。そこで大々的にお披露目されたのが「大根の皮はぶ厚く剥くべし」という、これまでとは逆の新説。煮物にしたときに圧倒的に甘くておいしくなるのだとか。基本、かつら剥きをお手本に薄~く薄~く剝いてきたので、新説は目ウロコな話。本当においしくなるのか、比較検証してみます!

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大根の辛味の強い部分とは?

大根の辛味の強い部分とはどこの部分を指すのでしょう?
よく言われるのは、辛味の強いのは大根の「下の方」ですよね?
大根おろしには辛味のある「下の方」を使う、というのが一般的に知られていることだと思っていましたが…。

学芸大学にある「割烹 すずき」のシェフ鈴木好次さんが解説していました。

「確かにそれもあります。
ですが、実は大根の辛味は、皮から3㎜、5㎜くらい内側の部分に「筋」があって辛味が強い部分なんです。下の方が辛いのは、その「筋」の部分が多いから」と話します。



下の方にいくほど辛いのではなくて、皮の近くの「筋」の部分が辛いということだったんですね。

では、実際に大根をぶ厚く剥いたものと、薄く剥いたもので煮物を作って比較してみたいと思います。

「大根の薄煮」の材料と作り方

ぶ厚く剥く分   
【材料】
大根…5cm
白だし…大さじ1杯半
料理酒…大さじ1
みりん…大さじ1
水…200ml

薄く剥く分
【材料】
大根…5cm
白だし…大さじ1杯半
料理酒…大さじ1
みりん…大さじ1
水…200ml

【作り方】
1.大根の皮をそれぞれの厚さに剥きます。
 ぶ厚く剥いたもの(5㎜厚さに剥きました)↓



薄く剥いたもの(なるべく薄く剥きました)↓



2.それぞれ食べやすい一口大の大きさに切り、調味料とともに鍋に入れます。
右がぶ厚く剥いたもの、左が薄く剥いたものです。



3.強火にかけ、沸騰したら弱火にし、アルミホイルで落し蓋をします。



4.弱火のまま15分煮たら出来上がりです。
右がぶ厚く剥いたもの、左が薄く剥いたものです。



ではぶ厚く剥いた方から食べてみます。



すごくやわらかいです。甘さも十分あります。味もよく染みています。

次に薄く剥いた方です。変わりはあるのでしょうか?



あぁ、若干渋みを感じます。でも甘さも十分あります。渋みと甘さが入り混じった味です。
比較するとよくわかるのですが、やはり、ぶ厚く剥いた方には雑味がなく上品な味に仕上がっている、という印象です。

食感にも大きな違いがありました。
ぶ厚く剥いた方は、舌で潰せるほどのやわらかさなので、口の中でふにゃっと潰れた瞬間に出し汁がジュワっと出てきます。なので、とてもおいしく感じます。一方、薄く剥いた方は、固いわけではありませんが、筋の感じもありますし、全体的に大根が締まっていて噛み心地があります。ジュワッと感はありませんでした。

番組で言っていた通り、ぶ厚く剝いた方が断然おいしく感じました。

ところで、このぶ厚く剥いた皮、捨てちゃうのもったいない。
そこで番組では、皮の調理もおすすめしていました。
辛い部分も100℃以上で加熱すると、辛み成分が弱まり、甘みと旨味が味わえる。と説明していましたよ。

「ぶ厚く剥いた皮のソテー」の材料と作り方

【材料】
ぶ厚く剥いた皮…適量
塩…適量
油…適量

【作り方】
1.ぶ厚く剥いた皮を1cmほどの厚さに切ります。



2.フライパンに油を引き、強火にかけます。1の大根を加え中火で炒めます。



3.4分ほど炒めたら、塩を加え味を整え完成です。



簡単に出来ました。
食べてみます。



甘さもありますが、苦みもありました。
でも、焼き目の香ばしさと油のコクが甘さと苦みを取り囲んでとてもおいしいです。わたしはこれ、とても好きです。

大根の酵素

根の部分の95%は水分で、ビタミンやミネラルは葉の方に多く含まれています。
根の部分の特徴は、数種類の酵素が含まれていることです。でんぷんを分解するアミラーゼ、たんぱく質を分解するプロテアーゼ、脂質を分解するリパーゼ、発がん性物質を解毒するオキシターゼなどが含まれています。炭水化物、たんぱく質、脂質を分解する酵素が消化を助けるので、胸やけや胃もたれを防止する他、弱った胃を整えるのにも有効です。

大根の煮物をするには、皮をぶ厚く剥いた方が圧倒的においしくなりました。また、皮も捨てずに炒めるととてもおいしく食べられます。これから旬を迎える大根は冬の寒さで甘みがぐんと増しておいしくなります。大根の料理を作る際には、ぜひ参考にしてみてください。

参考文献:
からだのための食材大全 NHK出版