スマホにリトラクティブカメラが登場! 伸縮カメラで美しいポートレートが撮影できる
スマートフォンのカメラの進化もいきつくところまで到達した感があるが、各社はまだまだ新しい機能の開発に余念がない。
例えば最近はこんな製品が登場している。
・1インチカメラセンサー:シャープ「AQUOS R7」、シャオミ「Xiaomi 12S Ultra」等
・手ブレ補正ジンバル:ASUS「Zenfone 9」、vivo「X80 Pro」等
・可変式絞り羽根:ファーウェイ「Mate 50 Pro」等
そしてさらに新しい機能のカメラを搭載するスマートフォンが登場した。
海外で発売されたTecnoの「PHANTOM X2 Pro」だ。
このスマートフォンのカメラは普段は本体に収納されており、使うときは本体からせり出してくるのだ。
PHANTOM X2 Proのこの世界初の収縮式カメラは「リトラクタブルカメラ」と呼ばれる。
伸縮式のリトラクタブルカメラを搭載するPHANTOM X2 Pro
PHANTOM X2 Proは3つのカメラを搭載する。
・メイン広角カメラ:5000万画素
・超広角カメラ:1300万画素
・2.5倍望遠:5000万画素カメラ
このうち2.5倍の望遠カメラがリトラクタブルカメラとなっている。
2.5倍の望遠比率はカメラでいえば65mm、中距離の望遠であり人物のポートレート撮影などにも使われる。
望遠がポートレートに向いているのは背景をより自然にぼかした写真が撮影できるからだ。
しかし望遠カメラはレンズ構成が増えるためサイズが長くなり、スマートフォンの薄い本体にそのまま搭載すると背面からカメラのレンズ出っ張ってしまう。
そこで最近のスマートフォンの望遠カメラの多くはレンズからの光をプリズムで90度曲げてセンサーへ誘導する潜望鏡のような形状の「ペリスコープカメラ」を採用している。
ソニー「Xperia 1 IV」のペリスコープカメラ
しかしペリスコープカメラは本体内で大きなスペースを必要とする。
またカメラモジュールの構造が複雑となるため価格も高くなる。
そのため5倍や10倍といった超望遠を必要としないのであれば、ペリスコープカメラの搭載はオーバースペックとなり、コストも上がって、本体価格が高くなってしまう。
スマートフォンのカメラに求める性能は人それぞれだが、最近は美しく人物を撮影できるポートレート撮影の人気も高い。
PHANTOM X2 Proは望遠カメラを野鳥など遠距離の被写体を撮影する用途ではなく、2.5倍としてポートレートに最適なものを搭載することにしたわけだ。
そしてPHANTOM X2 Proは使わないときには本体がスタイリッシュになるように、収納できるリトラクタブルカメラを採用したのである。
望遠カメラのレンズ部分が前後に動く
ではPHANTOM X2 Proの2.5倍カメラを使って人物を撮影するとどのような写真が撮れるのだろうか。
今のスマートフォンはAIを使ってボケを合成するポートレートモードが備わっている。
しかし本来はボケない部分がボケてしまったり、背景のボケが不自然になってしまうなど、満足いく美しい写真が撮れないこともある。
それに対してポートレート撮影に適した物理的な望遠カメラを使うPHANTOM X2 Proであれば、デジタルカメラで撮影したのと同様に、きれいに背景がボケた写真が撮影できるのだ。
実際に撮影した写真を比べてみると、PHANTOM X2 Proで撮影したポートレートのほうが輪郭も自然に見える。また望遠レンズは一般的にf/2.0以上のものを各メーカーの製品は搭載しているが、PHANTOM X2 Proはf/1.5と明るいレンズを採用している。
純粋で自然な光学ボケ、クリアで明るく魅力的な写真を簡単に撮影できるのである。
左がPHANTOM X2 Proのポートレート撮影。右は一般的なスマートフォンのAIポートレート
実は伸縮式カメラを搭載したスマートフォンは過去にもあった。
たとえば2014年に発売されたサムスンの「Galaxy K Zoom」は背面に10倍のズームレンズを搭載していた。
しかしGalaxy K Zoomでカメラを起動すると本体の背面にレンズが大きく出っ張ってしまい、スマートフォンとして使うにはやや使いにくい。Galaxy K Zoomは「スマホとコンデジの合いの子」的な製品であり、純然たるスマートフォンとはやや言いにくい。
このことからもTecnoはPHANTOM X2 Proを「世界初のリトラクタブルカメラスマホ」と言っているのだろう。
過去にも伸縮式レンズを搭載したスマートフォンはあった
PHANTOM X2 Proの伸縮式カメラのアイディアは昔のコンデジなどにもあったが、スマートフォンに採用されることは少なかった。
しかし昨今はスマートフォンのカメラモジュール部分が大型化し、背面のカメラ部分が本体から数ミリ出っ張ったモデルもでてきている。
数年前ならPHANTOM X2 Proのカメラは「大きすぎる」「出っ張りすぎる」と敬遠されたかもしれないが、今の時代ならば他社の高画質カメラとカメラ部分の大きさはそう変わらず、十分受け入れられるだろう。
Tecnoはアフリカなど新興国を得意とするメーカーだが、美しいポートレート写真が撮れるとなれば先進国でも使ってみたいと考える人もいるだろう。
大手メーカーがやらない新しい機能を搭載した製品を展開することで、今後はヨーロッパなどでもTecnoのスマートフォンが見られるようになるかもしれない。
執筆 山根康宏
例えば最近はこんな製品が登場している。
・1インチカメラセンサー:シャープ「AQUOS R7」、シャオミ「Xiaomi 12S Ultra」等
・手ブレ補正ジンバル:ASUS「Zenfone 9」、vivo「X80 Pro」等
・可変式絞り羽根:ファーウェイ「Mate 50 Pro」等
そしてさらに新しい機能のカメラを搭載するスマートフォンが登場した。
海外で発売されたTecnoの「PHANTOM X2 Pro」だ。
このスマートフォンのカメラは普段は本体に収納されており、使うときは本体からせり出してくるのだ。
PHANTOM X2 Proのこの世界初の収縮式カメラは「リトラクタブルカメラ」と呼ばれる。
伸縮式のリトラクタブルカメラを搭載するPHANTOM X2 Pro
PHANTOM X2 Proは3つのカメラを搭載する。
・メイン広角カメラ:5000万画素
・超広角カメラ:1300万画素
・2.5倍望遠:5000万画素カメラ
このうち2.5倍の望遠カメラがリトラクタブルカメラとなっている。
2.5倍の望遠比率はカメラでいえば65mm、中距離の望遠であり人物のポートレート撮影などにも使われる。
望遠がポートレートに向いているのは背景をより自然にぼかした写真が撮影できるからだ。
しかし望遠カメラはレンズ構成が増えるためサイズが長くなり、スマートフォンの薄い本体にそのまま搭載すると背面からカメラのレンズ出っ張ってしまう。
そこで最近のスマートフォンの望遠カメラの多くはレンズからの光をプリズムで90度曲げてセンサーへ誘導する潜望鏡のような形状の「ペリスコープカメラ」を採用している。
ソニー「Xperia 1 IV」のペリスコープカメラ
しかしペリスコープカメラは本体内で大きなスペースを必要とする。
またカメラモジュールの構造が複雑となるため価格も高くなる。
そのため5倍や10倍といった超望遠を必要としないのであれば、ペリスコープカメラの搭載はオーバースペックとなり、コストも上がって、本体価格が高くなってしまう。
スマートフォンのカメラに求める性能は人それぞれだが、最近は美しく人物を撮影できるポートレート撮影の人気も高い。
PHANTOM X2 Proは望遠カメラを野鳥など遠距離の被写体を撮影する用途ではなく、2.5倍としてポートレートに最適なものを搭載することにしたわけだ。
そしてPHANTOM X2 Proは使わないときには本体がスタイリッシュになるように、収納できるリトラクタブルカメラを採用したのである。
望遠カメラのレンズ部分が前後に動く
ではPHANTOM X2 Proの2.5倍カメラを使って人物を撮影するとどのような写真が撮れるのだろうか。
今のスマートフォンはAIを使ってボケを合成するポートレートモードが備わっている。
しかし本来はボケない部分がボケてしまったり、背景のボケが不自然になってしまうなど、満足いく美しい写真が撮れないこともある。
それに対してポートレート撮影に適した物理的な望遠カメラを使うPHANTOM X2 Proであれば、デジタルカメラで撮影したのと同様に、きれいに背景がボケた写真が撮影できるのだ。
実際に撮影した写真を比べてみると、PHANTOM X2 Proで撮影したポートレートのほうが輪郭も自然に見える。また望遠レンズは一般的にf/2.0以上のものを各メーカーの製品は搭載しているが、PHANTOM X2 Proはf/1.5と明るいレンズを採用している。
純粋で自然な光学ボケ、クリアで明るく魅力的な写真を簡単に撮影できるのである。
左がPHANTOM X2 Proのポートレート撮影。右は一般的なスマートフォンのAIポートレート
実は伸縮式カメラを搭載したスマートフォンは過去にもあった。
たとえば2014年に発売されたサムスンの「Galaxy K Zoom」は背面に10倍のズームレンズを搭載していた。
しかしGalaxy K Zoomでカメラを起動すると本体の背面にレンズが大きく出っ張ってしまい、スマートフォンとして使うにはやや使いにくい。Galaxy K Zoomは「スマホとコンデジの合いの子」的な製品であり、純然たるスマートフォンとはやや言いにくい。
このことからもTecnoはPHANTOM X2 Proを「世界初のリトラクタブルカメラスマホ」と言っているのだろう。
過去にも伸縮式レンズを搭載したスマートフォンはあった
PHANTOM X2 Proの伸縮式カメラのアイディアは昔のコンデジなどにもあったが、スマートフォンに採用されることは少なかった。
しかし昨今はスマートフォンのカメラモジュール部分が大型化し、背面のカメラ部分が本体から数ミリ出っ張ったモデルもでてきている。
数年前ならPHANTOM X2 Proのカメラは「大きすぎる」「出っ張りすぎる」と敬遠されたかもしれないが、今の時代ならば他社の高画質カメラとカメラ部分の大きさはそう変わらず、十分受け入れられるだろう。
Tecnoはアフリカなど新興国を得意とするメーカーだが、美しいポートレート写真が撮れるとなれば先進国でも使ってみたいと考える人もいるだろう。
大手メーカーがやらない新しい機能を搭載した製品を展開することで、今後はヨーロッパなどでもTecnoのスマートフォンが見られるようになるかもしれない。
執筆 山根康宏