病院での術後リハビリが終了に… 継続的にリハビリをする方法や注意点とは

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病気や怪我で、医療機関でリハビリを受けていたけれど、「期限がきたのでもう受けられません」と言われて困っている方は少なくないと思います。そんな「リハビリ難民」の方のために、「継続的にリハビリをするコツと注意点」について、理学療法士で柔道整復師の大沼晋太郎先生( 整骨院インテグレート院長)に、Medical DOC編集部が話を聞きました。

リハビリの上限日数って ? 「リハビリ終了」について教えて

編集部

病院などの医療機関で受けるリハビリには、日数制限があるのですか?

大沼先生

医療機関で受けるリハビリには、保険が適用される期間が厚生労働省により決められています。この日数を超えてしまうと医療保険が適用されなくなるため、医療機関ではリハビリを受けられなくなるということになります。

編集部

具体的にはどのくらいの日数になるのですか?

大沼先生

疾患により異なります。たとえば、脳梗塞などの脳血管疾患であれば発症した日から180日以内、骨折などの整形外科疾患であれば、受傷した日または手術の日から150日以内などです。そのほかの呼吸器疾患や廃用症候群などについても、細かく上限日数が定められています。

編集部

大体そのくらいの期間で、機能が回復するということなのでしょうか?

大沼先生

そういった理論で定められているのでしょう。しかし、実際には発症後、あるいは受傷して半年を過ぎても、まだまだ回復途中という方がたくさんいらっしゃいます。それだけではなく、活動性が上がったことで腰痛が気になるようになったなど、身体の回復に伴って新たな課題が出てくることもあります。

編集部

なるほど。そういうケースもあるのですね。

大沼先生

はい。身体機能の回復スピードは、その方の元々の生活習慣や運動習慣、運動学習能力などによって異なりますし、同じ方でも、環境やメンタル面で変わることもあります。たとえば、退院をきっかけに、リハビリの成果が現れ始めたり、お孫さんが生まれてから急に「もっと元気に動けるようになりたい」とモチベーションが上がったり、さまざまな方がいらっしゃいます。

日数制限を超えてもリハビリを続けるには

編集部

回復途中なのに、リハビリを続けられないというのは少し残念な気もしますね。

大沼先生

そうですね。機能回復は、生活の質(QOL)と密接に関わってきます。自分自身やご家族のためにもできる限り元気になりたいはずですよね。私自身、病院で働いていた時は、リハビリに上限日数が設けられていることに歯痒さを感じていました。

編集部

上限日数を超えてもリハビリをする方法はないのですか?

大沼先生

いくつかの条件を満たせば、医療機関でのリハビリを継続することも可能です。かかりつけ医などに確認してみてください。しかし、これはかなりレアケースとも言えますので、実際は、医療機関以外のところでリハビリを行うというのが現実的な印象です。

編集部

医療機関以外というと、どんなところがありますか?

大沼先生

例えば、整骨院などがあります。ほかにも、最近は、特に脳卒中の方などを対象に「自費でのリハビリ」を提供する施設が増えています。まだ数は少ないですが、選択肢の1つとして、調べてみても良いのではないでしょうか。

編集部

ほかにはどんな方法がありますか?

大沼先生

介護保険の対象となっていれば、介護施設でリハビリが行える場合もあります。介護認定を受けられている方はケアマネージャーさんなどに確認してみると良いでしょう。

整骨院などで受けられる自費でのリハビリについて知りたい

編集部

整骨院などでは、どんな人がリハビリをしてくれるのですか?

大沼先生

柔道整復師という国家資格を持った専門家がリハビリを行います。そのほかに、理学療法士や作業療法士の有資格者がいる場合もあります。医療機関でのリハビリも、理学療法士や作業療法士が行っている場合がほとんどですので、どちらも、厚生労働省が定めた国家資格所持者、という点では共通しています。いずれも解剖学や生理学、運動学などの履修が義務付けられています。

編集部

整骨院などで受けるリハビリのメリットについて教えてください。

大沼先生

どんな方でもリハビリが受けられる、というところです。先ほども述べたように、医療機関でのリハビリのように、日数の上限が明確に定められているわけではありませんし、介護保険でのリハビリのように、介護認定を受けた人、といった制限もありません。さらに、「外傷」など、一定の条件を満たしていれば保険が適用されるというメリットもあります。

編集部

逆に、注意しなければならない点はありますか?

大沼先生

先ほどの「一定の条件」を満たした方以外は自費になってしまうので、医療保険を適用した場合と比べると、費用がかかってしまうという点です。あとは、病院のように入院設備があったり、介護保険のデイサービスのような送迎サービスがあったりするわけではないので、そのあたりはご注意ください。

編集部

最後に、MedicalDOC読者へのメッセージがあればお願いします。

大沼先生

「整骨院」というと、何となく「骨」というイメージがあるかもしれませんが、骨折などの整形外科疾患以外にも、脳卒中後遺症や、糖尿病などの内科的疾患、呼吸器疾患などの方にも幅広く対応しています。また、接骨院では、レントゲンやCT・MRIを撮ったりすることはできませんが、近隣の医療機関と連携しているところなどでは、どんな疾患・障害で、これまでにどんなリハビリをしてきたのかといった情報を共有し、確認しながら進めていくこともできます。リハビリを続けたいのに続けられない、自分でリハビリをしているけど、困った点や不安なことが出てきた、という方は、ぜひお近くの整骨院に相談してみてください。

編集部まとめ

「病気や怪我をしても、できる限りのことはして、元気に自分らしく生活したい」というのは、老若男女を問わず誰もが望んでいるのではないでしょうか。「保険を適用した医療機関でのリハビリ」には、残念ながら日数の上限が定められていますが、期間が過ぎてもリハビリを続けられる方法があるのですね。大沼先生、ありがとうございました。

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