「梅毒」の症状・初期症状・感染経路はご存知ですか?

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梅毒とは、性感染症の一種であり、近年感染者が増えている病気です。誰でもかかる可能性があるため、注意が必要です。

しかし、具体的な症状や感染経路など、どのような病気なのかを知らない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、梅毒の症状を詳しく解説します。感染経路・検査方法・治療方法・放置するリスクもご紹介するので参考にしてください。

梅毒の症状と感染経路

梅毒はどのような病気でしょうか?

現在、性感染症の中でも、感染者が急増している病気が梅毒です。
この病気は、戦前では不治の病と恐れられる病気でした。現在では治療薬が普及していることもあり、治療することは可能です。
しかし、この病気は決して軽視してよいものではありません。患者数は増加傾向であるだけでなく、身近で感染する可能性があるのです。
比較的軽度な症状の場合もありますが、重度の場合もあるため、万が一症状が見られた場合にはすぐに治療が必要となります。

感染経路を教えてください。

梅毒の感染経路は、次のようなものが挙げられます。

性行為

キス

母体から胎児への感染

この病気の原因は、梅毒トレポネーマと呼ばれる原因菌です。感染した場合、精液・血液・膣分泌液などに、原因菌が存在するのです。そして、この原因菌が上記のような感染経路を経て、他の方に感染していきます。
性行為はその代表的な感染経路です。性行為にはオーラルセックスやアナルセックスも含み、性器同士の接触や性器と肛門の接触・性器と口の接触などにより、粘膜や皮膚の小さな傷から原因菌が非感染者の身体に侵入してきます。
口に原因菌がある場合は、キスでも感染します。唾液を通じて、原因菌が運ばれてしまうのです。
また、母体が感染している場合には、胎児にも感染するリスクがあります。先天梅毒と呼ばれる感染症で、早産・死産・奇形などのリスクを伴うため、注意が必要です。

発症した場合はどのような症状・初期症状がみられますか?

発症した場合、症状は段階を経て現れます。段階としては、第1期~第3期という形で進んでいきます。
第1期と呼ばれる時期は、潜伏期間を経て初期症状が現れるタイミングです。潜伏期間はおおよそ3週間程度といわれており、この時期を過ぎると徐々に症状が見られるようになるのです。
まず最初の症状としては、原因菌が侵入した箇所に小さなしこりが現れます。これは、初期硬結と呼ばれるものです。赤く腫れたようになり、硬いですが痛みが無いことがほとんどです。太腿の付け根部分のリンパ節が腫れることもあります。
初期症状は、数週間で消滅する傾向で、症状に気づきにくい点が特徴です。稀に、第1期の症状が退縮しないうちに、第2期の症状が重なることもあります。また、びらんや潰瘍ができることもあり、脳や脊髄への浸潤も起こりえる状態です。
症状が進行すると、第2期へと移行します。感染からおおよそ1ヶ月~3ヶ月程であり、現れる症状も異なります。手のひら・足の裏・顔など全身にバラ疹と呼ばれる発疹が現れるようになるのです。また、のどが腫れることもあります。
第2期の症状が全身に現れる理由は、原因菌が全身に広がったためです。しかし、ここでも一時的に症状がみられますが、数週間程度で消滅します。そのため、見過ごして治療に取りかからないことも多いのです。目に見える症状は消滅しますが、体内には原因菌が潜伏した状態となっています。
第3期と呼ばれる時期になると、血管症状やゴム腫、進行麻痺などが現れるようになります。感染から、おおよそ3年程度経過したタイミングです。

症状が出ないこともあるそうですね。

先述したように、第1期~第3期といった、症状の進行が見られることはありますが、何年も潜伏したままで経過する潜伏梅毒であるケースもあるのです。その場合は、表面に見える症状が少ないために、感染していることに気づくのが遅れてしまう可能性があります。
しかし、症状が出ていないからといって安心できるわけではありません。表立って症状が見られなくとも、皮膚や内臓では静かに悪化している可能性があります。

梅毒の検査と治療

梅毒には潜伏期間があると聞きましたが…。

原因菌に感染して、実際に症状が現れるまでの間が潜伏期間です。この期間は、おおよそ3週間~6ヶ月程度といわれています。しかし、個人差も大きいため、短い方であれば1週間で発症する方もいます。
また、第1期~第3期までの間に、何度も症状が出たり消えたりして数回の潜伏期間がある点も特徴です。
潜伏している間も、感染しないわけではありません。そのため、感染者が感染していることに気づかず性行為を行って、相手を感染させてしまうことも少なくないのです。

梅毒への感染を疑う場合は何科を受診すれば良いですか?

症状が現れるなどして、梅毒の感染を疑う場合は、次のような診療科目を受診しましょう。

泌尿器科

性感染症内科

皮膚科

産婦人科

特に女性の場合、妊娠の可能性も考えられるため、産婦人科も挙げられます。
また、自治体によっては、保健所で梅毒検査を行っている場合もあります。これらを利用して、受診してみると早期発見につながるでしょう。

どのような検査を行いますか?

検査内容としては、主に視診血液検査を用いて、感染状況を確認します。
視診では、身体の発疹などの状況を確認します。しかし、これだけでは他の皮膚疾患の可能性があるため、血液検査によって抗体を調べるのです。
血液検査では、TPHA法RPR法などを組み合わせて、感染の有無と症状の段階を調べます。
しかし、感染して間もなくでは、血液検査では明確な結果が出ない可能性があるでしょう。万が一、症状が現れてすぐの検査であるような場合は、2週間ほどあけて再検査を行います。
また、血液検査の実施は、初めて受診したときだけではありません。感染発覚後も、治ったかどうかを確認するために、おおよそ1ヶ月に1度のペースで行います。

治療方法を教えてください。

梅毒の治療方法は、ペニシリン系の抗菌薬の内服が原則です。ペニシリン系抗菌薬を内服する場合、症状に応じて服用期間が異なります。
第1期の症状であれば、約2週間~4週間程度の服用が必要です。第2期の症状の場合は4週間~8週間、第3期以降の場合は8週間~12週間の服用が必要となります。
いずれも、毎日欠かさず飲み続けなければなりません。
また、抗生物質を筋肉注射する方法もあります。注射についても、症状の状況に応じて回数が異なります。第1期・第2期の場合は1回の注射で、第3期まで症状が進んでいる場合は、1週間間隔で3回ほどの注射が必要です。
神経梅毒の場合は、点滴治療となります。

梅毒の予後と予防

梅毒は完治するのでしょうか?

この病気は、継続して治療を行えば完治させることが可能です。
しかし、完治する時期には個人差があります。十分な治療を行ったとしても、効果が現れるまでの時間は差があるのです。そのため、定期的に治療を進めて検査を受け、随時症状の進行具合を知ることが大切です。定期的な検査を受けていれば、治ったことを確認することができます。
また、この病気に感染していると、HIVに感染しやすくなることがわかっています。HIVに感染していないかを検査を受けて確認し、きちんと問題ないかを調べることが重要です。

再度感染することもあるのでしょうか?

この病気は、一度完治した場合でも、再度感染する可能性があります。
治った方の血液中には一定の抗体がありますが、完全に予防できるわけではありません。そのため、一度治った方でも、感染者との性行為を行えば、再び感染する可能性があります。
性行為の際には適切な予防が必要であり、お相手の感染を治すことも大切です。

梅毒を放置するリスクを教えてください。

この病気は、症状が段階的に進んでいきます。発疹や腫瘍ができるのみで、軽度なものと印象を持っている方もいるかもしれません。
しかし、放置すると心臓などに重大な合併症を引き起こす可能性があるため注意が必要です。大動脈破裂痴呆、記憶障害や思考力の低下を起こす可能性があるのです。
そのため、完治したことを確認せずに、自己判断で治療を中断しないようにしましょう。

梅毒の予防方法を教えてください。

この病気の予防方法は、不特定多数の方との性交渉を避けることです。不特定多数との性行為を行うと、粘膜接触の機会が増えてしまい、その分感染のリスクが高まります。
また、性行為の際にコンドームを使用することも効果的な予防方法です。直接の粘膜接触を避けることができるためです。
しかし、コンドームは完全に予防できる方法ではありません。性器以外の粘膜や傷からの感染があるため、コンドームだけではそれらの感染経路を防げないのです。
過信しすぎることなく、異変を感じた場合には早期治療を行うことが、感染拡大を防止する方法のひとつです。

最後に、読者にメッセージをお願いします。

この病気は、近年感染者が増えている病気であり、感染経路は多岐にわたり、誰しも感染の可能性がある病気です。
潜伏期間があるなど、症状の度合いによっては感染が見つけられない場合があります。しかし徐々に症状が悪化し、最悪の場合は心臓などの合併症を引き起こす可能性があるため、異変を感じた場合には早期治療が必要です。
再発の可能性はありますが、早期治療を行えば確実に治せる病気のため、異変を感じた場合には専門の医療機関を受診しましょう。

編集部まとめ


梅毒は、昔の病気ではありません。現在も感染者が増えている病気であり、感染拡大を防ぐため、再感染を防ぐためには正しい予防と治療が大切です。

万が一感染しても、早期に治療することができれば、症状を悪化させず完治させることも不可能ではありません。

症状を見逃して、発見が遅れてしまうようなことを避けるためにも、正しい知識を身につけて感染と悪化を防ぎましょう。

参考文献

梅毒|吉祥寺まいにちクリニック

梅毒の解説|STD研究所

梅毒|新宿駅前クリニック

梅毒|東京都性感染症ナビ

梅毒の潜伏期間|最長でどれくらい?潜伏中もうつることはある?|GOETHEメンズクリニック

急増する梅毒 原因や感染経路とは?症状・予防・治療法を徹底解説|NHK健康ch

梅毒の末期症状|あおぞらクリニック

もしかして梅毒!?|東京都性感染症ナビ