「動脈硬化」を予防する食べ物はご存知ですか?

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血管の老化である動脈硬化は、さまざまな病気によって引き起こされる恐ろしい病気です。

その危険性は、多くの方が思っている以上に高く、年齢なども関係します。しかし、詳しい病気の内容やリスクなど知らない方は多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、動脈硬化がどのような病気かを詳しく解説します。動脈硬化のリスクや治療方法・予防方法などもご紹介するので参考にしてください。

動脈硬化の原因と症状

動脈硬化はどのような病気ですか?

動脈硬化とは、血管が老化することで、硬くなっている状態のことをいいます。通常、血管は弾力があり、しなやかな状態です。
若い方は、この状態を保てていますが、年齢を重ねると硬くなりしなやかさが失われてしまいます。
また、この病気を起こす原因は加齢だけではなく、さまざまな病気によって引き起こされます。そのため、血管が硬くなるだけでなく、最悪の場合は命にかかわることもあります。

動脈硬化の具体的な症状を教えてください。

この病気の具体的な症状としては、次のようなものが代表的です。

頭痛

めまい

手足に力が入らない

動悸・疲れやすい

この病気が現れる部位によっても症状は異なり、に現れた場合、頭痛・めまい・手足に力が入らないなどの症状が現れることがあります。
また、心臓で病気が起きた場合は、階段の上り下りなどで動悸がする・疲れやすくなるといった症状が現れる可能性が高いです。これらの症状は、健康診断などを受けていない場合、ある程度進行してから発見されることが多いです。
初期症状を自覚することはほとんどないため、これらの症状が見られた場合には、血管が狭くなるなどかなり悪化しているケースもあるでしょう。その場合は、血栓や潰瘍・血管の破れや閉塞の危険性も高くなります。

原因を教えてください。

この病気の直接的な原因は、血管の中にプラークと呼ばれるこぶができることです。通常、血液中に悪玉コレステロールが流れると、異物とみなして白血球の仲間がこれらを排除しようと働きます。
しかし、排除が行われた後に、その残骸が残ります。それらが血管の壁に張り付くことでプラークができるのです。プラークができると、血管の壁が分厚くなり、血液の通り道が狭くなっていきます。
これにより動脈硬化が起こるのです。そして、この病気には、プラークの生成などに間接的に関わる原因が多数あります。その間接的な原因は、次のようなものです。

加齢

生活習慣病

喫煙

この病気は、10代から徐々に進行するものであり、誰しもかかる可能性があるのです。しかし、生活習慣病にかかると、動脈硬化が悪化する進行速度を早める原因となります。
主な生活習慣病としては、高血圧・糖尿病・脂質異常症などが代表的です。これらの病気が複合的に関わることで、血管を傷つけ病気を進行させていきます。最初のうちは無症状で進行するため、気づかない内に重篤な状態までに陥っていることも少なくありません。
また、喫煙も血管を収縮させ、血流を悪くする原因の1つです。これにより、プラークの発生を助長します。

動脈硬化は足の血管にも起こると聞きましたが…

この病気の症状では、頭痛・めまい・疲れやすいなどの症状をご紹介しましたが、これは頭や心臓で動脈硬化が現れた場合に起こる症状です。そして、この場所以外にも足の血管で起こることがあります。
閉塞性動脈硬化症と呼ばれ、この病気が現れると足の先まで十分な酸素や栄養が行き届かなくなります。そのため、数百メートル歩くだけで痛みが伴い、歩けなくなるなどの症状が現れる可能性が高いです。
休憩すれば歩けはしますが、再び歩けなくなるほどの痛みが伴います。さらに、安静にしていても痛みを感じたり、しびれ・足の冷えなどを感じたりもします。足をひきずるような症状が現れる場合もあるため、注意が必要です。

動脈硬化の診断方法を知りたいです。

この病気の診断には、次のような検査を行い診断します。

血圧検査

血液検査

PWV検査

MRI検査

エコー検査

血圧検査では、高血圧のリスクなどを確認します。さらに、脂質異常症・高脂血症・糖尿病などの生活習慣病の有無を含めて確認ができる内容です。
PWV検査とは、血液の流れる速度を測定する検査のことです。速度を測定することで、この病気の程度を測ることができます。
MRI検査では、この病気がどの場所で発症しているのかを確認できます。脳・頸動脈・大動脈・冠動脈・下肢動脈などさまざまな箇所の調査ができるのです。
しかし、このMRI検査は専門の機材を必要とするため、どの医療機関でも行える検査方法ではありません。そのため、簡易的で評価できるエコー検査で頸動脈を検査する方法もあります。
頸動脈は、脳動脈や冠動脈などとも相関関係があるため、その異常も発見できます。これらの検査方法を用いることで、この病気を発症しているかどうかやどの程度進行しているかを診断するのです。

動脈硬化のリスクと治療方法

動脈硬化を放置するリスクはありますか?

この病気を放置すると、非常に重篤な病気を発症するリスクが高まり、重い障害を残す可能性があります。また、最悪の場合、命にかかわることもあるでしょう。
この病気は、先述したように、全身における動脈で発症する可能性がある病気です。その中でも、脳動脈や冠動脈に起こりやすく、放置すると脳梗塞・脳出血・狭心症・心筋梗塞などの原因となる可能性があります。
脳梗塞などを起こした場合、身体が動かせなくなるなどの重度の障害を残す可能性があるでしょう。また、会話ができなくなるなどの機能が損なわれることもあります。
万が一、冠動脈が詰まるようなことがあれば、心臓に障害を受け、命に関わる可能性もあるでしょう。このように、放置するとリスクが非常に高いため、異変を感じた場合は迅速に治療を進める必要があります。

動脈硬化の治療方法を教えてください。

この病気そのものを根本的に治す治療方法はありません。治療のやり方としては、間接的な病気や身体を改善していくこととなります。
間接的な治療方法としては、次のような方法があります。

食事療法

運動療法

薬物療法

まずは、食事療法です。コレステロールを多く含む食品や動物性脂肪の多い食品は、この病気の発症と進行のリスクを高めるため、摂取しすぎないように調整します。
例えば食物繊維が含まれる食品は、血中のコレステロールを下げる働きがあります。野菜や果物は積極的にとるようにしましょう。また、アルコールは適量に抑えることも重要です。
運動療法は、ウォーキングや水泳など、適度な運動を行うようにしましょう。足腰の弱い方などは、椅子に座ったままできるストレッチなどでも問題ありません。運動によって筋肉が増えれば、基礎代謝が上がり、糖や脂肪の代謝を良くする効果もあります。
薬物療法は、動脈硬化と密接に関係する高血圧・糖尿病・脂質異常症などを、薬によって治療するといった方法です。
これらの疾患を改善することが、動脈硬化改善にも大きくつながるため、しっかりと薬を使って治療を進めます。

動脈硬化の治療には入院が必要なのでしょうか?

軽度な初期症状の場合は、入院の必要はありません。しかし、先述したような閉塞性動脈硬化症など、重症化している場合には入院が必要な場合もあります。
例えば、閉塞性動脈硬化症の場合、手術内容によっても入院期間が異なります。カテーテルによる治療であれば、大腿動脈からカテーテルを挿入して治療するため、入院期間は約3日です。
しかし、狭い部分の血管でカテーテル治療ができない場合は、バイパス手術などを行います。その際には、全身麻酔を行うため、入院期間は約1週間程必要です。

動脈硬化の注意点と予防法

動脈硬化は完治する病気ですか?

先述したように、この病気そのものを治す方法は、現在解明されていません。そのため、完治は難しいです。
薬の服用によって血流を改善したり手術によってつまりを取り除いたり、動脈を人工のものに換えるなどの治療法がありますが、これらは完治ではなく、あくまでも悪化した血流や体質を改善させる治療方法です。

動脈硬化を予防する方法・食事で気を付けることはありますか?

この病気を予防するには、生活習慣病を発症、悪化させないために適度な運動や食事のバランスを考えることが大変重要です。しかし、運動や食事で予防する際には注意点がいくつかあります。
まず、運動において、すでに病気が進行している場合には激しい運動は避けましょう。いきなり激しい運動を行うと、身体への負担が増えて危険です。普段の生活を見直したうえで、息が上がりやすいなどの症状がある方は、医師と相談しながら運動を考えましょう。
食事においては、先述したような食物繊維を含む野菜や果物を摂取することが大切です。しかし、基本的な味付けや食べる量にも注意しましょう。味付けは薄めで、量は少なめを心がけることが大切です。

生活習慣の改善が大切なのですね。

生活習慣の改善は非常に大切です。食生活、運動などで、身体は作られています。生活習慣病などを患っているような方は、生活習慣を改善するだけで、この病気の発症リスクを大きく下げることにつながります。
また、この病気は早期発見が難しいです。見過ごしてしまい、気づいたときには重症化しているケースも多いのです。
普段から生活習慣が改善されていれば、こういった重症化も予防することができるため、非常に大切となります。

家族が注意しなければならないことを教えてください。

この病気は、コレステロールの値が高いことで発症リスクを高めます。そして、このコレステロールが高くなるのは、加齢や生活習慣の悪化といった理由だけではありません。
遺伝的に、もともとコレステロール値が高い方もいるでしょう。そのため、身内にこの病気で悩んでいる方がいるのであれば、その家族も注意をしなければなりません。
家族性高コレステロール血症と呼ばれる病気でもあるため、家族の方も食生活や適度な運動を行って、普段から注意しましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

動脈硬化は、生活習慣の乱れ・加齢・喫煙などから引き起こされる病気です。
重症化した場合、重篤な病気を引き起こす可能性があり、命にも関わります。恐ろしい病気であるため、早期発見と治療が非常に大切です。
しかし、健康診断など以外では、気づきにくい病気でもあります。そのため、普段から食生活や運動に気をつけて、発症や悪化を予防することが大切です。
動脈硬化が起こると拡張期血圧が上昇します。家庭で血圧を測定し、下の血圧が高いのであれば動脈硬化が起こっているかもしれないので受診すると良いでしょう。
医師との相談のもと、適切な治療内容や予防方法に取り組みましょう。

編集部まとめ


動脈硬化は、普段の生活習慣・加齢・喫煙・遺伝性とさまざまな要因から発症するリスクのある、恐ろしい病気です。

また、この病気そのものの明確な治療方法はなく、密接にかかわる生活習慣病を改善するための治療や血管の手術でしか対処はできません。

最も効果が高いのは、この病気が発症しにくい体づくりをすることです。そのためには、食事や運動など正しい対処法を知り、医療機関との相談のうえで改善に取り組みましょう。

参考文献

動脈硬化とは?原因となる心臓や脳の病気や予防方法について解説|朝日生命ネットほけん

動脈硬化とは|まるこハート内科クリニック

動脈硬化について|健診会 滝野川メディカルクリニック

動脈硬化の怖さを知ろう|SBS静岡健康増進センター座談会 教えて!健康

脂質異常症の診断と症状 動脈硬化の危険因子と動脈硬化による疾患|”生活習慣病”オンライン

動脈硬化とは?生活習慣病との関わり|岡本医院 循環器専門医 糖尿病専門医

心臓血管外科の病気:閉塞性動脈硬化症|徳洲会グループ

閉塞性動脈硬化症(バイパス術)|足利赤十字病院

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