「頭・頭皮にニキビ」ができる原因はご存知ですか?医師が徹底解説!
頭にニキビがある時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
森田 知世(医師)
2東京女子医科大学卒業後、広島大学病院皮膚科、県立広島病院皮膚科などに勤務。現在は大阪市内の美容皮膚科、皮膚科に複数勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医の資格を有する。
「頭・頭皮のニキビ」で考えられる病気と対処法
ニキビといえば顔にできるイメージですが、頭や頭皮にできるニキビもあります。今回は頭・頭皮のニキビについて解説していきましょう。
頭・頭皮にニキビがあるときに考えられる原因と治し方
ニキビは皮膚のアブラである皮脂の分泌が過剰になることで毛穴が詰まり、皮膚の常在菌のアクネ菌が増えて感染を起こしている状態です。ニキビの特徴的な症状としては、皮脂が詰まった面ぽう(コメドとも呼ばれます)、菌が増えて炎症を起こした赤ニキビ、炎症がさらに広がり膿が詰まった黄色ニキビ、その後炎症は落ち着いたが痕にのこる瘢痕(はんこん)、色素沈着などです。ニキビ(尋常性ざ瘡)は顔、背中、胸で起こりやすいですが、頭皮もまた、皮脂分泌が盛んであり、ニキビができやすい場所です。ニキビ以外にも、フケが増える脂漏性皮膚炎、アクネ菌以外が原因となる毛包炎、毛膿炎、かぶれで起こる接触性皮膚炎、化膿性汗腺炎なども起こりやすく、ニキビとの鑑別が必要になることもあります。
頭皮のニキビは皮膚に合わないシャンプーの使用やすすぎが不十分になると、症状が悪化します。まずは十分にすすいでシャンプーや整髪料が残らないように頭皮の環境を整えましょう。軽い頭皮のニキビは1週間~10日程度で自然に良くなります。ホームケアでも症状が改善しない場合や悪化傾向にある場合には、皮膚科で治療しましょう。
頭・頭皮にニキビができて痛いときに考えられる原因と治し方
頭皮のニキビで痛みがある場合には、感染により強い炎症があることを意味しています。その場合には抗菌薬の塗り薬や場合によっては飲み薬が必要になります。痛みを伴う場合には、皮膚科を受診しましょう。受診まではあまり刺激をしない方がよいですので、強く洗髪したり触ったりするのを避けましょう。
頭・頭皮にニキビができてかゆいときに考えられる原因と治し方
頭のニキビでかゆい場合にも、炎症があるかニキビ以外のかゆみを起こす脂漏性皮膚炎や接触性皮膚炎などの可能性があります。皮膚科で診断と治療ができますので、かゆみがある場合には、病院を受診しましょう。
ストレスで頭・頭皮にニキビがあるときに考えられる原因と治し方
強いストレスなどでホルモンバランスが崩れると、主に男性ホルモンのアンドロゲンが増えて皮脂が増えてしまいます。皮脂が増えることでニキビができやすくなります。ストレスが原因の場合には、まずはストレスをためないような生活を心がけましょう。バランスの取れた食事や良質な睡眠、適度に運動をすることもストレス発散につながります。
それでもニキビが改善しない場合には、ニキビがあることでよりストレスがたまる原因になることもありますので、皮膚科を受診して治療をしましょう。
頭・頭皮に大量のニキビができたときに考えられる原因と治し方
頭皮に大量のニキビができる場合、頭皮環境が著しく悪化していたり、頭皮以外の病気があったりする可能性があります。まずは皮膚科でご相談ください。
ニキビ以外にも、体調不良があったりする場合には内科でご相談いただくのもよいでしょう。皮膚以外の病気でニキビがでるものとしては、クッシング症候群や多嚢胞性卵巣症候群などがあります。ニキビ以外にも症状がある場合には必ず病院で相談しましょう。
すぐに病院へ行くべき「頭のニキビ」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
痛みやかゆみがある場合は、皮膚科へ
ニキビの初期のコメドだけであれば、皮脂を十分に洗い流したり食生活を改善したりすることでよくなることもあります。ただし、菌が増殖して炎症がある場合には痛みや痒みなどのニキビ以外の症状が出てきます。その段階ではセルフケアだけではなかなか改善しません。皮膚科に受診し正しい診断をして、治療を行いましょう。
受診・予防の目安となる「頭のニキビ」のセルフチェック法
・頭のニキビが数個で痛みなどがない場合→まずはセルフケア・頭のニキビが広範囲にある場合
→皮膚科を受診・頭のニキビで痛みや痒み、フケなどがある場合
→皮膚科を受診・頭のニキビに加え、体調不良がある場合
→内科を受診
「頭のニキビ」症状の特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「頭のニキビ」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
粉瘤(ふんりゅう)
粉瘤(アテローム)とは皮膚の下に袋状の構造物ができて、その中に垢や皮脂が溜まってできる腫瘤のことです。皮膚が盛り上がって数mm~数cmのしこりができます。中央に黒い開口部があり、圧迫するとなかからドロドロした貯留物がでてくることがあります。
ニキビは毛穴に一致して起こりますが、粉瘤は毛穴とは必ずしも一致せずどこでも起こりますが、顔、首、背中、耳の後ろは好発部位です。
粉瘤が菌に感染して炎症を起こすと、痛みを伴います。炎症を抑えるため副腎日知るステロイドを粉瘤内に注射したり、抗菌薬を投与したりしますが、改善が乏しい場合には皮膚を切開して膿を出す治療が必要になることもあります。皮膚科や形成外科で治療を行うことができますので、粉瘤を疑う症状がある場合には病院で相談しましょう。
「頭のニキビ」におすすめの対処法・市販シャンプーは?
ニキビができた時のシャンプーで重要なのは、シャンプーをしっかりして皮脂や増えた菌を洗い流すことです。シャンプーは皮膚への刺激が少ないものやノンコメドジェニックという、コメドができにくいシャンプーがおすすめです。
どのシャンプーを使っても洗い流しはしっかり行いましょう。シャンプーの成分が残ってしまうことで、皮膚に刺激となり症状が悪化する場合があります。十分に洗い流しましょう。
炎症が起こって赤みがあったり、痛み・痒みがあったりするニキビの場合には、できるだけ刺激を避けた方が良いでしょう。シャンプーも低刺激のものを選び、ゴシゴシ擦ったりする刺激は避けてください。
ニキビができた場合、無理に潰すと痕や色素沈着が残りやすいので、やめましょう。病院でコメドや炎症があるニキビを圧迫して中の皮脂や膿をだす面ぽう圧出をすることがあります。病院でやる圧出と自己判断で潰す方法は全く違います。ニキビを潰して治療したい場合には必ず病院でご相談ください。
繰り返しできる「頭のニキビ」正しい予防法は?
頭のニキビでも顔などにできるニキビと生活で気を付ける点は一緒です。
まずニキビは皮脂分泌が過剰になるとできやすいため、皮脂を適切に保つために日常生活でできるポイントをお伝えしましょう。
まずは分泌した皮脂は定期的な洗髪で洗い流しましょう。1日1-2回のシャンプーで、できれば低刺激でノンコメドジェニックなものを意識してください。シャンプーが頭皮に残るとニキビが悪化してしまいます。シャンプーをする際は十分に洗い流しましょう。お湯が熱すぎると皮膚へ刺激になることがあり、大体38~40℃が良いでしょう。整髪料は頭皮につかないように使うか、使う場合も刺激が少ないものを選び、洗髪時に十分に洗い流してください。
残念ながら、何か特定の栄養素を食事やサプリメントでとることで、ニキビを予防する効果があるとわかっているものはありません。ただし、ビタミンCやビタミンB2、B6などは過剰な皮脂分泌を抑え、皮膚のターンオーバーを正常化させる効果が期待されます。バランスの取れた食事を心がけましょう。
脂質や糖質の摂り過ぎはニキビを悪化させるといわれますが、こちらは、現時点では明らかな科学的根拠はありません。絶対食べてはいけないというよりも、バランスの取れた食事のために糖質や脂質を抑えて食物繊維やビタミン類を積極的にとりましょう。
ストレスや睡眠不足はニキビを悪化させる可能性があります。ストレスをためないために、質の高い睡眠が大切です。寝る前のスマホの使用は睡眠の質を低下させることが知られています。寝る前にはスマホは使わず、できるだけ同じ時間に布団に入りましょう。朝日を浴びると体内のリズムが整いやすいので、朝には起きて日光を浴びましょう。
「頭のニキビ」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「頭のニキビ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
頭の吹き出物は皮膚科で治療できますか?
森田 知世(医師)
ニキビの診断や治療、その他の原因検索は皮膚科が専門になります。
頭皮にニキビがたくさんできて痛いのは何が原因でしょうか?
森田 知世(医師)
ニキビが感染して強い炎症を持っているのが原因かと思います。抗菌薬治療などが必要です。
後頭部にニキビがあるときはどうやって洗ったら良いですか?
森田 知世(医師)
シャンプーの成分などが後頭部や生え際に残りやすく、ニキビができやすいです。十分にすすぎましょう。
頭のニキビは薄毛の原因になるのでしょうか?
森田 知世(医師)
頭皮の皮脂分泌が過剰な場合や、ニキビで頭皮が荒れている場合には、薄毛や脱毛の原因になることはあります。
まとめ
頭にできたニキビについて解説しました。軽い症状の場合にはホームケアでも対処可能ですが、赤みや痛み、痒みがある場合には基本的には皮膚科で治療が必要です。記事を読んで気になることがあれば、お気軽に病院でご相談くださいね。
「頭のニキビ」で考えられる病気と特徴
「頭のニキビ」から医師が考えられる病気は13個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
皮膚科の病気
脂漏性皮膚炎
毛包炎
毛膿炎
接触性皮膚炎
化膿性汗腺炎
粉瘤稗粒腫
脂腺増殖症
酒さ
酒さ様皮膚炎
紅色汗疹
内科の病気
クッシング症候群婦人科の病気
多嚢胞性卵巣症候群
軽い症状の場合には様子を見ることも可能ですが、赤みや痛み、かゆみがある場合には皮膚科を受診した方が良いでしょう。
「頭のニキビ」と関連のある症状
「頭のニキビ」と関連している、似ている症状は10個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
頭皮のできものおでこ ニキビおでこのブツブツニキビが痛い首 ニキビ頭皮の乾燥
頭皮のべたつき
フケ
薄毛
脱毛
「頭のニキビ」の他にこれらの症状がある場合、「蕁麻疹」「尋常性ざ瘡」「毛嚢炎」「酒さ様皮膚炎」「化膿性汗腺炎」「クッシング症候群」などの疾患の可能性が考えられます。
様子をみても改善しない場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。