トム・ハンクス主演映画「ターミナル」のモデルとなった男性が死去、人生の最期を空港で迎える
フランス・パリのシャルル・ド・ゴール国際空港に1988年から2006年までの18年間にわたって住み続けて映画「ターミナル」」のモデルとなったイラン人男性が、2022年11月12日(土)に空港内で死去したことがフランス・パリ当局によって発表されました。
Man who lived in Charles de Gaulle airport for 18 years dies there | France | The Guardian
Iranian who inspired 'The Terminal' dies at Paris airport | AP News
https://apnews.com/article/d13124fc1f2f1c3d3c3609904373573b
イラン国籍のメヘラン・カリミ・ナセリ氏は、1975年にイギリス留学からイランに帰国しましたが、反体制運動に参加していた罪で国外追放を受けました。その後ナセリ氏はベルギーの難民認定を受けるも身分証明書を投棄したことで無国籍になり、最終的に1988年からパリのシャルル・ド・ゴール国際空港に定住することになりました。その後、1992年にはフランスの裁判所が「ナセリ氏は難民として合法的に空港に定住しているため、空港から排除することはできない」という判決を下しています。
2004年には、ナセリ氏に影響を受けて作成されたトム・ハンクス主演、スティーブン・スピルバーグ監督の映画「ターミナル」が公開されました。また、ナセリ氏の境遇は映画「ターミナル」以外にもさまざまな映画やオペラに影響を与えたとされています。これらの作品のヒットを受けてナセリ氏にはベルギーやフランスから市民権を提供されましたが、いずれも拒否し、2006年まで空港内で過ごしていました。
シャルル・ド・ゴール国際空港内でのナセリ氏は、ほとんど第一ターミナルの赤いベンチで過ごし、時々空港スタッフから与えられる食事券を除いて、寄付や贈り物は拒否したとされています。
その後は2006年に手術のために病院に入院し、空港近くのホテルやホームレスの人々のための救護施設を映画の権利料で過ごしていましたが、ナセリ氏はここ数週間で再び空港での生活に戻っていました。
しかし、2022年11月12日の正午頃、ナセリ氏は空港のターミナル2階で心臓発作を起こし亡くなりました。警察と医療チームは「彼を懸命に治療しましたが、救うことはできませんでした」と述べています。