「喉が詰まるように息苦しい」と感じることはありませんか?医師が原因も解説!
キュッとノドがつまる感じがして呼吸がしづらい時の正しい対処法。すぐにできる応急処置からすぐに病院に行くべき症状まで、Medical DOC監修医が紹介します。
「喉がつまって息苦しい」考えられる原因と対処法
夜間から起床後などに急に息ぐるしくなったり、常になにかが詰まっているように感じたりする。息が苦しくなる理由は物理的な要因から心因性のものまで様々。
まずは焦らず、呼吸ができるよう対処をしましょう。そして、なるべく放置せず受診するようにしましょう。
喉がきゅっと締まって呼吸がしづらい場合
息を吸ったり、吐いたりがしづらくなり、息苦しさを感じるものです。気道が狭くなることで症状が起こることが多いのですが、心因性のものや肺の過膨張によるものもあり、原因によって対応が異なります。
<気管支喘息・過換気症候群>
息が吸いにくいと感じる疾患としては、気管支喘息や過換気症候群などがあります。気管支喘息は、夜間から早朝にかけて突然に息苦しさや「ぜーぜー」と音が出るような息切れ、咳などが反復して見られる疾患です。
風邪などの感染症や喫煙などの刺激などをきっかけに、症状が悪化することもあります。喘息の発作時は、気道が狭くなることで息が吸いにくくなり、「ぜーぜー」と喘鳴が出現して強い息苦しさを感じ、経皮的酸素飽和度(SpO2)が低下します。
対応策としては、過去に診断をされており、発作時の吸入薬の処方を受けている場合には、その吸入をしてください。吸入薬が無効である、薬の処方を受けていない場合には、すぐに呼吸器内科を受診してください。
<アナフィラキシー>
蜂に刺されたりすることで発症するアナフィラキシーでも気管支喘息や過換気症候群と同様の症状が出現することがあります。エピペン®︎と呼ばれるアドレナリンキットをお持ちの場合には、大腿外側部に使用してください。エピペン®︎がない場合には、緊急で受診してください。
<過換気症候群>
過換気症候群は、精神的不安や極度の緊張などにより過呼吸の状態となって、呼吸ができない感じや息苦しさ、めまいなどを感じる疾患です。
また、過換気で血液がアルカリ性になることで手足のしびれや筋肉のけいれんが起きます。それにより不安が強くなり、症状が悪化することがあります。
対応策としては、安心させるように声がけをしながらできるだけゆっくり呼吸するように指示をしてください。
物が喉に痞えている場合
物が喉につかえるような息苦しさは、実際に気道の通り道が異物などにより狭くなっている場合や、自律神経の異常やストレスなどで異常な感覚がある場合にみられます。
また、強いストレスやうつ病などが原因となることもありますが、急性喉頭蓋炎やアナフィラキシーなど注意すべき病気の症状のこともあります。
息苦しさが軽く、のどの痛みや皮疹などのそのほかの症状がない場合には、入浴したり、音楽を聴いたりなど、リラックスをしながら安静に過ごすことで症状が軽減することがあります。規則正しい生活を心がけて、ストレスを避けることで症状が改善することがあります。症状が長期に続いたり、悪化したりする場合には、呼吸器内科や耳鼻咽喉科を受診してください。
強い喉の痛みを伴う風邪のような症状に続いて、息苦しさが出た場合には、急性喉頭蓋炎の可能性があります。喉頭蓋は、気道と食道を分ける蓋のような役割をしており、炎症で腫れることで気道をふさいでしまうことがあります。
物がつかえるような息苦しさに加えて強い喉の痛みがある場合には、耳鼻咽喉科を緊急で受診してください。また、蕁麻疹などに続いて息苦しさが出現する場合には、アナフィラキシーの可能性があるため、すぐに受診してください。
なにかが喉に張り付いている場合
喉がイガイガする、引っかかる感じがする、痰がのどにへばりついた感じがするなどの喉の違和感のことです。咽頭炎や扁桃炎などの炎症性疾患や癌などの腫瘍、甲状腺の病気、貧血、肩こり、喫煙、アルコール、糖尿病など、原因は多岐にわたります。
症状が軽い場合には、禁煙や節酒、うがい、市販薬の内服などにより症状が軽減する可能性があります。相談する際には、耳鼻咽喉科や消化器内科、呼吸器内科を受診してください。
痰が絡む感じ、喉が腫れている場合
痰が増えて喉に絡む感じや、喉が腫れてジンジンと痛い感じのことであり、咽頭や扁桃などの炎症や頻回の咳などで喉が荒れた場合におこる症状です。
風邪症候群の際にもよくみられ、症状が軽い場合には市販の風邪薬などを使用することで改善が期待できます。咳がひどくて喉がかれるような強い症状であれば、お湯を張った洗面器などで喉を加湿することも効果的です。
咽頭炎や扁桃炎などでもみられますが、食物アレルギーの初期症状にもみられることがあります。放置した場合には、腫れがひどくなって声が出しにくくなることもあるため、症状が1週間以上続く、あるいは悪化する場合は、耳鼻咽喉科を受診してください。
また、痛みが強く、息苦しさを伴う場合には、緊急で受診してください。
痛みを伴う場合
息苦しさに加えて喉や首に痛みを伴うもので、痛みのために食事をしたり水を飲んだりすることもつらくなる症状のことです。
痛みが軽度で問題なく食事を取れるような場合には、加湿したり、飴やトローチをなめたりしつつ、市販薬で症状を抑えることで改善が期待できます。咽頭炎や扁桃炎、急性気管支炎などの炎症性疾患やアルコールや胃液などの刺激物による障害などが原因として考えられます。
症状が強く悪化している場合には、耳鼻咽喉科を受診してください。
注意すべき疾患としては、扁桃周囲膿瘍、急性喉頭蓋炎、咽後膿瘍、口腔底蜂窩織炎、化膿性血栓性内頚静脈炎があり、これらの疾患は急激な気道狭窄や感染症の重症化によって致命的になることがあります。
なかでも、扁桃周囲膿瘍、急性喉頭蓋炎、咽後膿瘍は腫脹した組織による気道の閉塞で窒息してしまう恐れがあり、固形物が摂取できないほど喉の痛みが強い場合や、運動時に息切れをしてしまうほど息苦しい場合には、緊急で受診してください。
息が吐きにくい場合
息が吐きにくいと感じる場合には、慢性閉塞性肺疾患が考えられます。
慢性閉塞性肺疾患は長期の喫煙によって空気の通り道である気管に炎症が起きて狭くなることで実際に空気の交換を行う肺胞という組織が壊れてしまう疾患です。
息苦しさの他に、慢性的な気道の炎症により痰が増えたり、咳が出たりします。口をすぼめて呼吸することで少し息苦しさが改善する場合がありますが、対応策として最も重要なことは禁煙です。
風邪などの感染症にかかったときには、急激に息苦しさが悪化することがあり、その症状の強い場合には緊急で受診してください。また、症状が軽くても改善しない場合には、呼吸器内科を受診してください。
喉が詰まる感じに息苦しいとき、飲んでも良い市販薬はある?
喉の症状や息苦しさがある場合には、そのまま様子を見れば良いのか、薬を服用するのが良いのか、病院受診するのが良いのか悩ましいもの。実際には、症状の程度によるところなのですが、服用する際に気を付ける点はおさえておきましょう。
飲んでも問題のない市販薬
服用する薬には制限がありませんが、のどがつかえる感じが強い場合には、粉薬やシロップ薬の方が服用しやすいでしょう。錠剤の服用が困難なほど症状が強い場合には、すぐに医療機関を受診してください。
飲んではいけない市販薬
過去にアレルギー症状がでたことのある薬剤は服用しないでください。
すぐに病院へ行くべき「息苦しい」症状
ここまでは息苦しい症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
「ぜーぜー」して息切れする症状の場合は、呼吸器内科へ
「ぜーぜー」と喘鳴があり、軽く体を動かしただけでも息切れをする場合には、気管支喘息が疑われます。すぐに呼吸器内科を受診してください。
蕁麻疹や腹痛なども伴う場合は、内科、アレルギー科へ
蕁麻疹や腹痛などとともに息苦しさが出現する場合には、アナフィラキシーが疑われます。すぐに内科やアレルギー科を受診してください。
喉の痛みや飲み込みづらさも伴う場合は、耳鼻咽喉科へ
喉に強い痛みがあり唾液すらも飲み込むのがつらく、息苦しさも伴う時には急性喉頭蓋炎や咽後膿瘍などが疑われます。すぐに耳鼻咽喉科を受診してください。
胸の痛みを伴う場合は、呼吸器内科へ
胸部に痛みがあり、息苦しさが徐々に悪化する場合には気胸が疑われます。すぐに呼吸器内科を受診してください。
「喉がつまって息苦しい」場合に考えられる疾患と特徴
考えられる病気は15個ほどあります。各病気の詳細はリンクからご覧ください。
関連する病気
気管支喘息慢性閉塞性肺疾患過換気症候群扁桃周囲膿瘍急性喉頭蓋炎
咽後膿瘍
口腔底蜂窩織炎
化膿性血栓性内頚静脈炎
アナフィラキシー逆流性食道炎
咽頭炎扁桃炎溶連菌感染症間質性肺炎
気胸まとめ
息苦しさという症状は、ストレスなどの心因性の素因や糖尿病などの基礎疾患、喉の酷使、感染症などさまざまな要因で出現し、多くは対症療法のみで改善します。
しかし、息苦しさが強く軽く体を動かしただけでも息切れが出現してしまう場合や、喘鳴が出現した場合、強い喉の痛みがある場合などは緊急で治療を行う必要があります。
このような場合には、医療機関に受診するようにしてください。