「人が怖い」と感じる原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

写真拡大

人が怖いと感じる症状が続くと、対人関係や日常生活に支障が出て心配になりますよね。
ここでは、人が怖いと感じる症状の原因や治し方についてMedicalDoc監修医が紹介します。

「人が怖い」症状で考えられる病気と対処法

誰しもが緊張する場面で程度の差はあれ、不安感やそれに伴う身体症状を自覚したことはあるはずです。自分や身の回りの人だけでは判断に困るとは思いますが、自分で対応できる程度であれば大きな問題はありません。日常生活に支障をきたす場合には、専門科での治療が必要です。
「人が怖い」症状で考えられる病気は、社交不安障害、また一部、社交不安障害の概念と重複しますが対人恐怖、そして対人恐怖の中では自己臭恐怖、自己視線恐怖、醜形恐怖などが挙げられます。また、統合失調症などの精神病圏の病気であっても、被害妄想の症状が強ければ、人が怖いと感じることがありえます。
今回は、このような「人が怖い」症状とその原因、対処法などについて説明していきます。

人と会うことや話すことが怖い症状の特徴と原因・治し方

人と会うことや話すことが怖い症状とは、人前での会話、字を書くこと、知人同士との会食、飲食、よく知らない人との面談などの場面で不安、恐怖が強く、そのような場面を避けようとしてしまう状態を指します。仮に、どうしても避けられない場合は、不安から来る身体症状として、顔が赤くなる、心臓の鼓動が速くなる、手のふるえ、声がでない、うわずること、汗をかく、お腹の調子がわるくなって胃痛、下痢などをするなどさまざまな症状がみられます。このような場合、社交不安障害が疑われます。

社交不安障害

自分でできる対処方法は、一旦その場から離れる、深呼吸をする、水を飲むなどが挙げられます。これらのセルフコントロールで対応できる場合は、病気といえるレベルまでは達していないと思われます。セルフコントロールでは難しく、それらの場面を避けるようになり、もしくは苦手な場面でうまく対応できなかったことがトラウマとなり、自信がなくなり、外出も少なく自宅にこもりがちとなり、働けないとなる場合もあり、ここまで症状がつよくなると病気であると捉えて、治療を検討する必要があります。
主な診療科は、心療内科・精神科です。治療内容は認知行動療法、薬物療法などを行います。受診時の注意点として、そもそも社交不安があり、人が怖いという訴えがありますので、初対面の医師に上手に症状や困っていることを伝えられないことも多いかもしれません。あらかじめ自分の症状などをメモにまとめて、診察時に医師へ渡すと良いでしょう。

周りの人の視線が怖い症状の特徴と原因・治し方

周りの人の視線が怖い(視線恐怖)症状とは、「自分の視線が他の人に不快感を与えるのではないか」「変に思われるのではないか」と心配し、どこに視線をむけたらいいかわからなくなって、結果として外出することも辛くなり、対人関係を避け、社会的に孤立してしまう状態を指します。人によっては、サングラスをかけることで、幾分か外出しやすくなる人もいます。
また、上記の社交不安障害と同じようにさまざまな身体的反応として、不安、恐怖感から、動悸、発汗、息苦しさ、腹痛なども起こることがあります。
自分でできる対処方法としては、親しい家族、友人などに不安の内容を伝えたうえで、まずは身近な人から視線を合わせることから始めましょう。身近な人から、不快感などは感じていないと言葉にしてもらうことで、徐々にならしていくのも大事かもしれません。視線恐怖の原因は、明らかになっていません。
主な診療科は、心療内科・精神科です。抗うつ薬などの薬物療法も行いますが、認知行動療法や心理教育、疾患教育を行います。社交不安障害、視線恐怖ともに治療可能な病気であることや、そもそも人に気を使うことができるということは長所でもあることを伝えます。また、できないことよりもできていることに目を向けさせるなど、治療者と患者さんとの関係構築を目指していきます。

特定の人が怖い症状の特徴と原因・治し方

特定の人が怖いという症状は、これまで説明してきた社交不安障害や視線恐怖などでも同様の訴えにつながることもあります。それ以外の病気として考えられるのは、統合失調症などの精神病です。
統合失調症は、誰もいないのに自分に話しかけてくる声が聞こえてくる、命令する声が聞こえる、複数の人が自分のことをバカにしている会話が聞こえるなどの幻聴や、他人が自分のことをバカにしているに違いないといった被害妄想などの症状を認める病気です。
その中でも、被害妄想の対象がある特定の人に向けられた場合は、その人のことを怖いと感じてしまいます。妄想の場合、周りの人がそんなことはないよと説明しても、その考えを修正することはとても困難です。妄想に左右されて危険な行動をおこしてしまうこともあり、その場合はすぐに病院を受診する必要があります。
主な診療科は心療内科・精神科で、抗精神病薬を中心とした薬物療法によって治療が行われます。

すぐに病院へ行くべき「人が怖い」症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

社会的生活に支障が出ている場合は、心療内科・精神科へ

どんな人も不安を感じるものです。また、多少なりとも他人に対して苦手意識やその人に対する恐怖感を持つことはあるでしょう。その中でも、過度の不安に伴って、動悸がする、手が震える、声がうわずる、お腹の調子がわるくなるなどの身体症状が強く出てしまうことがあります。これは社交不安障害が考えられますが、症状が強く出た結果として、学校や仕事に行けない、他人と会う場面を避けてしまうなど社会的生活に支障が出てしまうことがあります。このようなときは病院受診をすぐに検討しても良いでしょう。
社交不安障害のような不安に伴う病気の場合、初対面の人に会うことが怖いため、病院受診できず数年以上経過し、自宅にひきこもりがちになることも少なくありません。ご本人だけでは受診が難しい場合には、家族など周囲の方がサポートしていただければと思います。

「人が怖い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「人が怖い」症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

社交不安障害

社交不安障害とは、他人の注目を浴びるかもしれない状況または行為をする状況に対して、怖いと感じて、「自分が恥をかくのではないか」「恥ずかしい思いをするのではないか」と怖れる状態をいいます。
この病気の原因は、明らかになっていません。しかし、脳の扁桃体という部分の過活動が社交不安障害の症状と関係があることや、脳の神経伝達物質であるセロトニンの低下なども影響があると考えられています。
治療には、SSRIとよばれる抗うつ薬を投与します。また、不安が強い場合には、一時的に抗不安薬を投与することもあります。
社交不安障害を中心とした不安に関わる病気は、他の病気の合併も多いことが知られています。どうしても他の人との接触を避け、自宅にこもってしまうことで自分に対する自己評価が低くなり、自責感、罪悪感などからうつ病の合併、今感じている不安を少しでもやわらげたいという願望から、アルコール、薬物等へ逃げてしまい、依存症疾患の併発なども挙げられます。このような病気の併発がある場合や、過度の不安に伴って身体症状が強くて生活にしょうがある場合には、早めに心療内科・精神科を受診した方が良いでしょう。

「人が怖い」症状が続くときに飲んでも良い市販薬は?

市販薬は、ドラッグストアや薬局などで入手できる薬であるため安全性に配慮されています。基本的には、症状が軽めの段階で使うことが推奨されます。症状があてはまっており、症状が軽度であれば、市販薬を服用することも考慮しても良いでしょう。
治療薬としてあげたSSRIなどの抗うつ薬や抗不安薬は医療機関での処方に限られているため、市販薬にはありません。ただ、精神安定効果を期待して、半夏厚朴湯をはじめとした漢方薬が市販されており、これらの薬が効く患者さんもいます。
ただし、漫然とした服用では効果には限度があることや行動療法などの非薬物療法を組み合わせた方が効果的であることなども考えられることから、心療内科・精神科を受診して医師の管理のもと薬物療法を行うことが勧められます。

「人が怖い」症状で医師が考えられる病気

「人が怖い」症状から医師が考えられる病気は1個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

社交不安障害

社交不安障害

誰しもが感じる不安や緊張の程度を超えて、対人場面で過剰な不安や緊張が誘発されるために身体症状が強く出てしまい、日常生活に支障をきたす病気です。
統合失調症:「幻覚」と「妄想」が特徴的な症状として現れる、こころや考えがまとまりづらくなってしまう病気です。いやがらせをされているなどといった被害妄想の症状が強い場合に、対人場面で支障をきたすことがあります。

まとめ

人が怖い症状がみられたときに考えられる具体的な病気、不安について説明しました。不安にまつわる病気や症状は今回取り上げた病気以外にもさまざまあります。最近は、いろいろな不安や恐怖に関連する病名が話題になることも多くみられます。しかし、広い意味では不安障害のひとつであり、根本的には原因や治療内容、対処方法も同様であることが多いと言えます。