日本人の約8割が不足!! なぜ今「ビタミンD」が大注目? 栄養士が勧める5つの理由
今、「ビタミンD」は世界的なトレンド! 米国では、ビタミンDのサプリメントの売れ行きが目覚ましく伸びています。
しかし、日本ではまだあまり注目されていません。ビタミンDの働きとは? どんな食べ物に含まれている? と聞かれると、案外答えられないかも……。
実際、日本では成人の約8割がビタミンD不足であることが判明。2020年版の「日本人の食事摂取基準」では、ビタミンDの摂取量が大幅に引き上げられ、1日5.5マイクログラム(摂取量)から8.5マイクログラム(目安量)になりました。
なぜ、世界的にビタミンDが注目されているのでしょう? その理由をチェックすると、感染症やメンタル対策、花粉症ケアなど、今の時代に欠かせないビタミンDの働きが見えてきます。
文/藤岡操(フードコーディネーター・栄養士)、メイン写真/bit24-Stock.Adobe.com
ビタミンDが注目される理由【1】感染症予防&免疫の暴走を防ぐ!
近年の研究で、ビタミンDによって結核やインフルエンザなどの感染症を予防、重篤化を回避する働きが認められています。また、免疫の暴走を調整する作用、がんや花粉症との関係も解明されつつあります。
新型コロナウィルスとビタミンDの関係についての研究も多数行われており、「国際オーソモレキュラー医学会ニュース」(https://isom-japan.org/)では、ビタミンDを強化した人の重症化率、死亡率が低くなったという結果も複数報告されています。
実験時の条件差などがあるため、まだ確かとは言えませんが、予防や重症を防ぐためにビタミンDを強化し、血中ビタミンD濃度を高くすることを推奨する論文も出ています。
ビタミンDが注目される理由【2】コロナ禍でビタミンD不足が加速!
ビタミンDは食事で摂るほか、紫外線を浴びることにより体内で合成されます。ビタミンDは主に魚介に含まれているため、肉食が増えた今の時代においては、食事からの摂取量が減少。さらに、コロナ禍で通勤や外出の機会が減り、紫外線を浴びる時間も激減。おまけに日本はUV大国。日焼け止めを塗る人が多く、紫外線をカットし続けた影響でビタミンD不足が加速傾向にあります。
日本人の約8割がビタミンD不足と言われていますが、実際はもっと多いのかもしれません……。
ビタミンDが注目される理由【3】ストレスケア&うつ病予防に期待!
近年、ビタミンD不足とうつ病の関係が注目されています。ビタミンDは脳や腸など体内の炎症を軽減し、それによって“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンの生成をサポート。その結果、うつ症状や不眠の改善、ストレス軽減などが期待されています。
ビタミンDとうつ病の関係はまだ研究段階にあり、賛否両論ありますが、朝、太陽の下で紫外線を浴びることでセロトニンの分泌が促されること、紫外線を浴びることでビタミンDが増えることは正真正銘事実。適度な日光浴を習慣にするのがおすすめです。
ビタミンDが注目される理由【4】ビタミンD不足で骨密度と筋力が低下!
ビタミンDが不足していると、カルシウムが吸収されにくくなり、骨密度が低下。さらに、ビタミンDは体内でのタンパク質合成にも欠かせないので、不足した状態が続くと筋肉量が減り、筋力も低下してしまいます。
筋トレをして、タンパク質を充分摂っているのに筋肉がつきづらい人は、ビタミンD不足の可能性が。また、高齢になり、ビタミンD不足によって骨折をしたり、筋力低下で外出の機会と紫外線を浴びる時間が減り、ますますビタミンD不足するという悪循環に。体づくりは日々の積み重ね。早めの対策と継続が大切です。
ビタミンDが注目される理由【5】ビタミンD不足で認知機能低下の可能性も!
認知症、アルツハイマー病の予防に食生活や栄養が関係していることは、多くの研究より報告されています。
そのうちのひとつとして注目されている栄養素がビタミンDです。血中ビタミンD濃度が高いほうが認知症の発症リスクが低いという結果が出たことから、ビタミンDと認知症の関係に注目が集まっています。
ただし、これもまだまだ研究段階。日頃の食事でビタミンDを意識して摂ることは大切ですが、サプリメントなどで過剰に強化するのは控えましょう。
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免疫やメンタル、筋肉にビタミンDが関わっていることがわかりますね。
ビタミンDを強化するには、日光浴と魚介類、きのこを食べることが先決。鮭、青魚、カレイ、ウナギが狙い目です。きのこに含まれるビタミンDは魚介類に比べて少なく、吸収率も低いので、油と一緒に摂って吸収率を高めるのがおすすめ。
鮭ときのこをオリーブオイルでソテーしたり、和え物やサラダにジャコやしらすを取り入れるなど、毎日コツコツ取り入れましょう。