ゴルフ初心者が上手くなるにはレッスンに行くべき?実際に体験してみた

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ゴルフをやってみたいけど、最初の一歩をどう踏み出せば良いか分からない――。そんなゴルフ初心者の方も多いのではないでしょうか。

スイング一つを取っても覚えることは多そうだし、道具もたくさん必要で、経験の浅いうちに高い買い物をするのは勇気がいるもの。だからこそ、ゴルフを始めたいけど始められないという声はよく聞かれますよね。

そんなときに行ってみたいのが、ゴルフレッスンやゴルフスクール。でも、実際にどんなメリットがあるのでしょうか。

この記事では、実際にゴルフ初心者がレッスンを受ける様子をレポート。その中身を通じて、レッスンやスクールが最初の一歩に適している理由を考えてみます。

プロ選手も指導するコーチがゴルフの基本をレッスン

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今回、ゴルフレッスンを体験するのは才藤歩夢選手(以下、才藤選手)。才藤選手は、近代五種競技で活躍するアスリートですが、ゴルフは完全な“初心者”。

アスリートというより、純粋にゴルフを始めてみたい一人としてレッスンを受けます。

レッスンするのは、内藤雄士ティーチングプロ(以下、内藤プロ)。丸山茂樹さんなど、さまざまなプロ選手のコーチを務めてきた方です。

まずはレッスンに入る前に、才藤選手のゴルフ知識や経験などを、内藤プロが改めて確認していきます。

はじめに才藤選手のゴルフレベルを確認

内藤プロ:今日はよろしくお願いします。才藤さんは、どうしてゴルフを始めようと思ったんですか?

才藤選手:もともと父がゴルフ好きだったのと、高校の友達にゴルフ部出身が何人かいて、みんなと一緒にプレーできたら楽しそうだなと思ったんですよね。

内藤プロ:良いですね。ちなみに、ゴルフ経験はまったくないですか?

才藤選手:打ちっぱなしの練習場に3回ほど行ったことがあります。ただ、かなり前のことなので、ほとんど初めてに近いと思います。

内藤プロ:では、まさに“今日からゴルフを始める方”ということでレッスンしていきましょう。そういう方は、最初から我流でゴルフを始めるよりも、レッスンやスクールに行ったほうが間違いなく良いと思いますよ。

初心者がレッスンに行くとどんなメリットがある?

才藤選手:やっぱり最初はきちんとレッスンを受けたほうが良いですか?

内藤プロ:そうですね。ゴルフって道具を使う特殊なスポーツなので、その使い方を最初に正しく覚えないといけません。クラブの握り方、振り方、体の使い方。

私が見ている限り、我流で始めてすごくきれいなスイングになることってほぼないんですよね。

何より、我流でやった方は、後ですごく後悔していることが多いんですよ。最初に自分で身に付けたことは簡単に変えられないので、直すのにとても苦労する。伸び悩んでしまうんですね。

才藤選手:だとすると、まずはレッスンで教えてもらったほうが良さそうですね。

内藤プロ:あとは、クラブを無料で貸してもらえるのもレッスンやスクールのメリットですよね。ゴルフはたくさんのクラブが必要ですが、最初から高いお金を出して買うのは大変です。

まずはクラブを借りて、いろいろ試しながら自分に合う物を探すほうが安心ですよね。

才藤選手:確かに、私もクラブの種類などまだ全然分からないので。

内藤プロ:ゴルフって、最初のうちは分からないことが多いんです。クラブ以外にも、ゴルフ場に行くといろいろなルールやマナーがあったり。

一度覚えれば簡単ですが、最初はコーチに教えてもらったり、一緒にラウンドを回ってレッスンしてもらうと、うまく覚えられるのかなと。

同じレッスンやスクールに通う方とも友達になれますし、まずは通いやすいところに行ってみるのがおすすめですよ。

才藤選手:思った以上に気軽に行ける場所なんですね。

内藤プロ:そうですね。服装も、今日は取材なので才藤さんはかっこいいウェアを着ていますが、レッスンや打ちっぱなしなどは動きやすければトレーニングウェアで構いません。ゴルフウェアを用意する必要もないですよ。

いよいよレッスン。まずは「グリップ」と「構え」から

ということで、いざレッスンを開始。ここからはその模様をレポートしていきます。

内藤プロは、クラブの握り方、構え、腕の振り方、体の使い方の順でレッスンを行っていきます。

ステップ1:クラブの握り方(グリップ)はどうすれば良い?

才藤歩夢選手 着用アイテム
ゴルフグローブ(片手)

最初に内藤プロが教えるのは「クラブの握り方」、いわゆる「グリップ」です。

クラブのグリップ部分にはロゴマークなどの文字があり、これを中心として正面に来るように握るのが基本です。右打ちだと左手をグリップエンド側で持ち、右手を左手に付けるようにして握ります。

この中心線を基準に、左手の親指は中心線より右に、右手の親指は中心線より左に置くのが基本で、さらに右手の親指と人差し指が作るVの字の先が自分の右肩を指すようにします。

握り方は、右手の小指を左手の人差し指と中指の間に乗せる「オーバーラッピング」や右手の小指と左手の人差し指を絡ませる「インターロッキング」、野球のバットのように10本の指で握り、右手と左手の重なる部分のない「ベースボール(テンフィンガー)」などがあります。

内藤プロは、「どれを選んでも良いし、やりながら自分に合う握り方に変えれば良い」とのこと。才藤選手は、試し打ちをした結果「インターロッキング」を選びました。

ゴルフのグリップは、簡単なようで正しい位置を覚えるのが難しいもの。そこで内藤プロが持ってきたのは、初心者が基礎を覚えるのに便利な「スナッグゴルフ」というツールです。

才藤歩夢選手 着用ウェア
後ろ平ゴム切替えロゴサンバイザー
バックウーリーベアプリントシャツ
ポリエステルストレッチ裏起毛スカート
シーズンロゴジャカードニーハイソックス
BMZスパイク ゴルフシューズ(コウノエベルト)

グリップが五角形になっており、決められた面に親指を置くだけで正しいグリップが身に付くのだとか。才藤選手もこのクラブを握り、グリップの形を確かめました。

ちなみにこのスナッグゴルフ、クラブの先(フェース)が大きく、使うボールも通常より大きいため、初心者でもボールに当てやすいのが特徴。そしてこれが、ゴルフ上達のメリットになるのだとか。

「初心者の方は、どうしてもボールに当てようという意識が強くなってしまいます。実はそれが正しいスイングを覚える妨げになるんですね。

このクラブとボールは当てやすいので、意識が当てるほうへ行きづらくなります。その意味でも使いやすく、初心者には良いツールですね。」(内藤プロ)

こういった特殊なツールで練習できるのも、レッスンのメリットかもしれません。才藤選手も打ってみると、まだ不安定ながらも、ボールをとらえる場面がありました。

ステップ2:構えはどうすれば良い?

グリップの次は「構え」を学びます。ということで、まずは試しに才藤選手が一度構えてみます。すると、このタイミングで内藤プロからゴルフ上達の“キーポイント”が語られました。

「ゴルフで上達するには『うまそうに見せる』ことがポイントです。うまそうな構えやスイングはきちんと理論にかなっていて、それができれば実際にうまくなるもの。才藤さんの構えも、ある部分を変えると一気にうまそうに見えてきます。」

では何を変えるのでしょうか。内藤プロが注目したのは腕。才藤選手の構えは肘が外を向き、右腕が伸びて脇が空いています。これを修正して、肘を自分の体側に向け、右腕を曲げて脇を締めます。

さらに背筋を伸ばして、股関節から折るように前傾。すると「ほら、さっきよりうまそうに見えてきた」と内藤プロ。才藤選手も感触をつかんだ様子。最初の構えと比べてみると、なんとなく違いを感じます。

ちなみにこのレッスンの終盤、才藤選手にスイングで意識していることを聞くと、こんな風に答えていました。

「一番気にしているのは、右肘を曲げることですね。何も考えずに構えると伸びてしまうので、きちんと曲げて脇を締めるように。そのほうがうまく打てることも多かったので。」

このほか、構えのポイントとして内藤プロが語ったのは、構えたときの右肩と左肩の位置。両肩を結んだラインが、ボールを飛ばす方向と同じ方向になるのが理想。

大抵は右肩が出すぎて、両肩を結んだラインがボールの飛ぶ方向より左を向くケースが多いようです。

「スイング」や「体の動かし方」を覚える方法とは

グリップ、構えと学んだら、次は「腕の振り方」をレッスンしていきます。

ステップ3:腕はどうやって振れば良い?

腕の振り方を教えるうえで、内藤プロが次に持ってきたのが大きなボール。これを才藤選手が両手で持ち、横にいる内藤プロに下手で投げてみます。

「今ボールを投げたときの腕の動きが、スイングでの正しい腕の振り方なんです。この動きを体で覚えて、スイングでも再現してみましょう。」(内藤プロ)

何球かボールを投げた後、今度は逆にしたクラブを左手に持ち、右手と左手は組まずに距離を保ったまま、先ほどのボールを投げる動きを再現しました。

その後、クラブは逆向きのまま両手をつけて振り、最後にクラブを正しい向きにしてスイング。「ボールを投げるイメージでスイングしてみましょう」と内藤プロがアドバイスします。

腕の振り方レッスンはこれで終わり。内藤プロからの説明は必要最低限でしたが、「情報を与えすぎても難しくなるので、体で覚えながら楽しくやるのが一番」と内藤プロ。

才藤選手も、気付けば自分から進んでスイングするようになっていました。

ステップ4:スイングのとき、体全体の動かし方は?

4つ目のステップは、体の動かし方。ここでも内藤プロは「体で覚えるやり方」として、ボディドリルという練習を教えます。

具体的には、クラブを横向きで胸の上に当て、手をクロスして支えます。その状態でスイング時の体の回し方を実践するという方法。左肩が足元のボールを指すまで回転し、その後、逆回転します。

「意識するポイントは、最後のフィニッシュ時に右足で地面を蹴り、つま先立ちの状態で終えること。すごくかっこよく見えますし、実際に良いスイングになりますよ。」(内藤プロ)

4つのステップを踏まえて、才藤選手も改めてボールを打ってみます。スイングは力強くなり、ボールもしっかりとらえるようになってきました。

「まだ空振りもしますけど、ちょっとずつ打てる感覚になってきた気がします」と笑顔です。

最後に、ドライバーを打ってみることに。ここもあまり細かいレクチャーはせず、上の4ステップを振り返ってからスイングします。

すると、会心の当たりも飛び出し、内藤プロも驚く上達ぶり。才藤選手も楽しくなってきたのか、自分からどんどん打っていきます。

「しっかりボールが飛ぶと、楽しくなりますね。ドライバーは当たったときの感触もすごくて、早く次のボールを打ちたくなります。」(才藤選手)

まさにゴルフの楽しさを才藤選手が味わったところで、今日のレッスンは終了。一気にスイングの基本形を身に付けました。

レッスンを終えての感想。そして今後の練習は?

レッスンの後、実際にやってみての感想を2人に聞いてみました。

才藤選手:はじめはレッスンで教えていただくのが近道だと思いましたね。

「右肘を伸ばさないように」とアドバイスをいただきましたが、自分一人でやっていたら絶対に右肘を伸ばしていたし、それが悪いことにも気付かなかったと思います(笑)。レッスンの良さがよく分かりました。

内藤プロ:そう言ってもらえるとうれしいですね。僕としては、才藤さんの上達が早くてびっくりしましたよ。

才藤選手:ありがとうございます。私は左利きなのですが、今日は右打ちでレッスンを受けるということで、実は少し不安でした(笑)。でも、問題なくできて良かったです。

内藤プロ:これから長くゴルフを楽しむことを考えたら、まずは右打ちで覚えたほうが良いと思います。

例えばみんなと練習場に行くと、左打ちの打席はわずかしかなくて、友達と離れ離れになったりするんですね。また、ゴルフの楽しみの一つは「クラブ選び」ですが、女性用の左クラブは本当に種類が少ないんです。

なので、まずは右打ちで練習してみるのがおすすめです。もし違和感があれば、左打ちに変えれば良いですから。

才藤選手:分かりました。ちなみにこれからは、どんな練習をすると良いんですか?

内藤プロ:今日やったことがスイングの基本なので、それを自分のものにしてください。グリップや構え、ボディドリルは家でも練習できるので、日々少しずつやっていただければ。そして、もし途中でスイングが分からなくなったら、確認のためにまたレッスンを受けるのも良いと思います。

才藤選手:分かりました、頑張って続けていきたいと思います。今日はありがとうございました!

 

ゴルフを始めるとき、きちんと基本を教えてもらうと上達の近道になるかもしれません。そのほかにも、無料で道具を使えたり、仲間を作れたりと、教えてもらうメリットはたくさん。

ゴルフの「最初の一歩」が分からない方は、レッスンやスクールを利用してみるのも良いのではないでしょうか。

<プロフィール>

内藤 雄士(ないとう ゆうじ)
日本プロゴルフ協会ティーチングプロ

日本大学ゴルフ部在籍中にアメリカにゴルフ留学し、最新のゴルフ理論を学ぶ。帰国後、ゴルフ練習場ハイランドセンター(杉並区・高井戸)にラーニングゴルフクラブを設立し、レッスン活動を始める。1998年、ツアープロコーチとしての活動を開始。これまでに丸山茂樹プロのPGAツアー3勝など、契約プロゴルファーの多数のツアー優勝をサポートしてきた。現在は日本プロゴルフ協会ティーチングプロとしての活動に加え、さまざまなゴルフ媒体への出演、PGAツアーを中心としたゴルフ中継の解説、一般財団法人丸山茂樹ジュニアファンデーションで理事を務めるなどジュニアゴルファーの育成にも力を入れている。

才藤 歩夢(さいとう あゆむ)

近代五種競技の選手であった才藤浩氏を父に持ち、幼少の頃より競技を始める。五種のなかで得意とするフェンシング競技単体においても、国内トップクラスの実力を誇る。また、華やかな容姿を活かして、ファッションブランドのほか、さまざまなイベントやメディアに多数出演している。マイナビ所属。

撮影協力/ハイランドセンター
文/有井太郎

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