【漫画付き】子どもの病気は全部小児科に行けばいいの?
子どもの具合が悪くなったときに、何が原因か判断するのは親でも難しいです。子どもは自分の症状を上手に説明することができません。そのため何科に連れて行くのが正しいのか悩んでしまいがちです。今回は小児科医の澤田雅子先生に、子どもの具合が悪くなったときの対処法について話を伺いました。
監修医師:
澤田 雅子(澤田こどもクリニック 院長)
東京大学医学部小児科に入局。その後、国立小児病院新生児科、愛育病院小児科、国立小児病院腎消化器科にて、幅広く経験を積む。一時期はアメリカのボストンにて子育てに専念。帰国して小平記念東京日立病院や東大小児科アレルギー外来に勤務後、2003年に「澤田こどもクリニック」を開設。
小児科は子どもに異変が起きたときの窓口
編集部
子どもの具合が悪くなったら、すべて小児科に行くべきですか?
澤田先生
決してそういうわけではありません。例えば元気なときに目に指を入れてしまい充血した、転んで打った部分の痛みを訴えているなど、明らかに外傷が原因と思われる場合は眼科や外科など他の科に行くことをおすすめする場合もあります。
編集部
ではどういうときに小児科に行くべきですか?
澤田先生
鼻水が出ているとかのどが痛いだけといったささいな症状に思えたものが実は重大な病気の症状の一部である場合もあります。元気で食欲もあり、よく眠れていれば、深刻な状態である可能性は低いですが、子どもの病気は急速に悪化することも多いものです。総合的に判断する必要があるので基本的に小学生以下の場合はまず小児科に連れて行ってください。
編集部
もし連れて行って、小児科の症状ではなかった場合でも問題はないですか?
澤田先生
子どもの不調の原因がなにであるか見極めるのは、医師であってもとても難しい場合があります。先ほども述べたように、小児科は子どもの症状を部分的にではなく、総合的に判断します。わからない場合は判断の窓口として、まず小児科に連れて行ってください。他の科の方が適切であれば、近隣の病院を紹介してくれると思います。
編集部
子どもの症状で気をつけなければならないのは、どのようなものですか?
澤田先生
子どもの基本は元気・よく食べる・よく眠れているです。機嫌が良ければより安心です。こういう状態のときは問題ありませんが、水分があまりとれていなくてぐったりしたときは危険です。子どもの体の70%以上は水分でできているため、大人よりも脱水症状になりやすいのです。水分を飲めない、飲みたがらない、激しく吐いたり、大量に下痢をしている、おしっこがいつもに比べて極端に少ないという場合は脱水が急速に進んで危ないかもしれないので、すぐに病院に連れて行ってください。また顔色が悪く、ぐずっているときも要注意です。
小児科と内科の違い
編集部
もし近くに小児科がない、または混んでいる場合などは、大人がかかりつけの内科などに連れて行っても大丈夫ですか?
澤田先生
あまりおすすめはしません。小児科と内科で最も異なるのは、薬の処方の仕方です。子どもと大人では使ってよい薬が異なりますので、できれば子どもの薬を処方し慣れている先生に診てもらって処方してもらってほしいです。
編集部
子ども用ではない薬を飲むとどうなりますか?
澤田先生
大人は仕事を休めないために、薬で一時的に頭痛や熱などの辛い症状を押さえることがあります。同じ薬を子どもに飲ませると、症状が一時的に改善されたため治ったのだろうと思いがちですが、実際には全身症状はなにも改善されておらず、かえって長引く場合があります。また大人用の薬は子どもにとっては強すぎるため、副作用が出て、より悪化してしまうケースもあるのです。
編集部
子ども用の市販薬はどうですか?
澤田先生
こちらもあまりおすすめはしません。市販薬もやはり効果が強すぎたり、一時だけ症状を改善するものが多いんです。そのため本来の原因がわからなくなり、逆に病気を長引かせてしまうことがあります。やはり小児科で診察を受けて薬を出してもらう方が安心だと思います。
編集部
近くに小児科がない場合はどうしたらよいですか?
澤田先生
そのような地域では、近隣の子どもを診ることができる内科医がいることが多く、地域ではおそらく知られているはずなので、知り合いに聞くなどして、参考にするといいと思います。
編集部まとめ
子どもの場合、明らかな外傷を除き、判断に困ったときは小児科で診てもらうのがおすすめ。もし小児科ではなく他の科の方が適切であれば、紹介してもらえることが多いようなので安心です。また小児科がないときもすぐに内科などに連れて行かずに、子どもを診ることができるお医者さんを見つけましょう。大人と子どもでは体が違うということを理解しておくことが、早く元気になるための近道です。