『バッドガイズ』尾上松也&安田顕インタビュー「アクションにワクワクしながらも、優しい作品」2人が好きな“悪役キャラ”は?
全世界で600億円超の興行収入をあげ、日本でも興行収入34億円超の大ヒットを収めた“見た目は赤ちゃん、中身はおっさん”の『ボス・ベイビー』など、数々の大ヒットキャラクターたちを生み出してきた ユニバーサル・スタジオ×ドリームワークス・アニメーション。 彼らが構想6年をかけて生み出した最新作『バッドガイズ』が全国公開中です。
“天才的スリ”にしてカリスマ的リーダーのミスター・ウルフを演じた尾上松也さん、ウルフの親友で“金庫破り”のスネークを演じた安田顕さんのお2人に、お話を伺いました!
――本作大変楽しく拝見させていただきました!お2人は作品をご覧になっていかがでしたか?
松也 話全体もテンポがいいですし、映像の展開も早くてアクションみたいなシーンも沢山あるのですが、優しいというか。そして楽しい音楽でワクワク盛り上げてくれる。これは「ドリームワークスあるある」だなって。
安田 子供の時って、強盗集団とか悪い感じのものに惹かれたりするじゃないですか。それを人間じゃないキャラクターも出てくるファンタジーの世界で描いているので、最後まであっという間に感じますね。とても楽しい作品です。
――松也さんのウルフ、安田さんのスネーク、ご自身の声とキャラクターがマッチしている作品をご覧になっていかがでしたか?
安田 不思議でしたね。意外と僕、ヘビっぽく見えているなとか。ヘビって長いんだな、とか。今、当たり前のこと、当たり前に喋っちゃいました。(笑)
松也 あはは(笑)。安田さん、もう生まれた時からヘビだったのではと思うくらい、ヘビでしたね。
安田 あはは(笑)。嬉しいです。
松也 キャストの皆さんが、本当に素晴らしく役にハマっていて。僕は他の方の声がほとんど入っている状態で収録したのですが、焦りましたもん。みんな、良すぎて。
安田 いや、ウルフも相当に良かったですよ! ウルフは主演ですしね。ニュアンスを掴んで、相手との相槌も必要だから。
映画のオープニングがウルフとスネークから始まりますが、まだ自分のアフレコがこなれてきていない時だったので、後から「冒頭は大事だから取り直させてくれないか」ってお願いしたんです。でも実際の映像を見たら、「あ、しっくり来てる」と思ったんです。
松也 オリジナルが英語ですので、意訳や日本では言わないギャグのテイストに合わせて吹き替えをするのはとても難しくて。やり直した部分もありますが、本当に2人でかけあっている仕上がりになっていたので良かったです。
――どのキャラクターも愛すべき魅力を持っていますよね。ご自身が演じたキャラクターの魅力をどんなところに感じますか?
松也 ウルフは、とにかくみんなの中心であり、いちばん物事に対して真っ直ぐで、思ったことに対する行動力に長けているキャラクターだと思います。誰もがあるような善と悪の狭間みたいな葛藤を持っている存在かな、と。もともと、極悪人では無いのですが、そこから善に目覚めていく変化は、本国の監督さんから「そこを注意して表現してほしい」という注文がありましたので、一番意識をしました。
――心の中の変化を声で表現するというのは難しいと思うのですが、とても素敵でした。スネークはいかがですか?
安田 安田顕という人間が生身では決して出来ない蛇のアクション。自分では実現できない蛇の動きに自分が命を吹き込めているのが、すごく嬉しかったです。ファンタジーの世界に入れたんだ、といいますか。
――スネークはクネクネとその体を生かしたアクションをしていましたものね。安田さんから見て、ウルフのキャラクターの魅力は、どんなところにありますか?
安田 やっぱり隣の芝生は青く見えるっていうか…。みなさんのキャラクターが、それぞれ出来あがっていて、すごいと思いました。特に松也さんがやられたウルフと私のスネークの関係性は、物語にとってすごく大事なので。ウルフは色々なキャラクターと接しないといけないけど、スネークにとってはウルフがすごく重要で。その関係性の微妙なラインを、松也さんはキャラクターの表情に寄り添いつつ出しているなと思いました。
僕が本国から言われた「ただの悪さだけじゃなくて裏側にある寂しさを表現して」って言われたものを、うまくできているなって。自分でいうのもアレですけど(笑)。そんなスネークの寂しさが、松也さんのウルフによってさらに際立っていたなと。
――松也さんからご覧になったスネークの魅力はいかがですか?
松也 本当に皆さん、素晴らしかったですし、先程も言いました通り、自分が主人公で、「大丈夫なのかな…」と思っていたのですが。その中でもスネークとウルフって特別に絆が強いところがあると思うので。僕は安田さんの声を聞きながら、「秘密を隠し持っているスネーク」というキャラクター像がスッと入ってきたことが、とてもありがたかったです。
初めて吹き替えをなさったとは思えない表現力は、さすがだなと感動しました。いや、もう本当に他のアニメーションのキャラクターを山ほどやって欲しいと思うくらい魅力的な声でしたね。
安田 嬉しいです。毎回、毎回、思うんですけど…。その役柄の見た目になりたい。今回であれば蛇に整形したいなと…。
松也 蛇に整形するって(笑)! 今後、蛇以外できなくなるじゃないですか!
安田 あはは(笑)。
――蛇以外の役柄も拝見したいので整形されずに良かったです(笑)。ウルフとスネーク以外で、お気に入りのキャラクターはいらっしゃいましたか?
安田 僕は署長。署長はね、良いですよ。
松也 あれですよね。スピンオフで、署長は何故こうなったのか追っているんですよね?
安田 いや、やってないです(笑)。でも、大事ですよね。署長の存在って。僕は普段のドラマとか舞台だと、この署長くらいの出方が多いんです。こういう人ね、作品には大事なんですよ。主人公を追いかけて「ルパンルパンルパンルパ〜ン!」って言う人(笑)。
松也 あはは(笑)。ウルフ的に言えばですね、フォクシントンでしょうね。ウルフとフォクシントンのどうなの?この2人どうなの?!という雰囲気は放っておけない。綺麗だし、可愛いし、かっこいいし。
安田 確かに魅力的! あとはピラニア役の河合郁人さんが歌い上げるシーンがありますけど、あそこは名シーンですね。
――先ほど安田さんから「子供の時って悪いものに惹かれる」というお話もありましたが、好きな悪役、ヴィランズのキャラクターはいますか?
安田 今って、敵側が主人公になっているドラマも出来上がってますもんね。パッと思い浮かぶのは、やっぱりジョーカーかな。あとはあれ…。『スパイダーマン』の悪役の方、好きですよ。
松也 あはははは(笑)。誰だ!誰なんだ!?たくさんいます!
安田 ウィレム・デフォーがやってる…。
松也 グリーンゴブリンですね! 僕は、いっぱいいるな…。『スターウォーズ』のダース・モールかな。
安田 ベイダーじゃなくてモールなんですね。
松也 ベイダーも好きですけど、モールとクワイ=ガン・ジンの一騎打ちが、とても好きです。あと、『アンタッチャブル』のロバート・デニーロもとても“こわカッコいい”ですね。本当に好きな悪役、ヴィランズの話は尽きません。
――お2人がドラマや映画で悪役を演じることもあると思います。
松也 僕は好きですね。やってはいけないことをやっていいよと公共の面前で言われているわけですので、楽しんじゃいますね。普段、見せないようにしているバッドな部分を全開にして良いと言われるのは楽しい。役柄に対して「何故そうなったか」を考えると奥深かったりもしますので。
安田 僕ももちろん演じるのは楽しい! どう考えても酷くて、こいつというヤツだとしても、演じる自分だけは、どこかで肯定しようとします。こいつのやっていることを何処かで肯定しないと報われないなと思うから。どんなに悪いヤツでも、自分だけは肯定しようと考えている自分が好き(笑)。紐解いて、紐解いて。必ず肯定できる理由があるから。
――最後に、お2人が『バッドガイズ』で特に注目してほしい部分を教えてください!
安田 気軽に楽しめるけど、実は結構、深いなというところです。ご家族で老若男女で観ていただきたい。そうやって、皆さんに沢山みていただければ「USJ」でアトラクションが出来たりするかも。そうすれば、自分で声を吹き込んだアトラクションに乗るっていう楽しみができるので、そのためにもぜひ、お願いします。
松也 最高ですね!ショーとか、アトラクションとか。ユニバーサルスタジオの関係者さん、いないかな?(周り見渡す)
安田 あはは(笑)。
松也 安田さんがおっしゃったように、とても見やすくお子さんにも親しんでいただけるようなテンポ感もありながら、大人でもふとした時に考えさせられるストーリー展開です。共感いただける部分がたくさん盛り込まれていますので、ご家族で観ていただけましたら嬉しいです。ぜひ映画館で楽しんでください!
撮影:オサダコウジ
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