日本なら信号機が故障していると断言できます。

クルマ発展の歴史と関係あり

 イギリス ロンドンの街なかでは、「赤と黄が同時に点灯」する信号機を見かけます。日本にこのような表示は一切ありませんが、実はヨーロッパの国や地域では一般的な表示です。どのような意味を持つのでしょうか。


イギリスの信号機(画像:写真AC)。

 そもそも同時点灯するのは、赤信号から青信号(イギリスでは緑信号)に切り替わる直前。つまり「赤」→「赤・黄」→「青」と表示が変わります。同時点灯の時間はおおむね1秒ほどです。

 同時点灯の意味は「間もなく青信号になる」というものです。間もなく発進するんだと心の準備ができるという点では親切にも思えますが、この時点で停止線を越えて進んではいけません。

 ではなぜ青になるタイミングを知らせるのか――これはクルマの歴史と関係があります。

 そもそも同時点灯について、冒頭でヨーロッパでは一般的な表示と述べましたが、これは1978(昭和53)年に発効したウィーン条約を各国が批准しているためです。条約には、信号機や道路標識など交通に関する規定も設けられ、表示方法や意味などが国を越えて統一されています。

 ヨーロッパ、特にイギリスやドイツなど西欧は19世紀後半から20世紀にかけて第二次産業革命が起こり、世界に先駆けて工業化が進展した地域です。クルマも普及していき、しかしそれに伴う交通事故も増え、交通整理の必要性が出てきました。ただ、当時のクルマは現代に比べて操作が複雑で、当然オートマチックでもありません。停止している状態から動かす発進の操作は特に時間を要したといい、青信号になる前に、ドライバーに発進準備を促したのです。

 日本のクルマはほとんどがオートマチック車ですが、イギリスでは現在もマニュアル車が主流だそう。信号機がかつての名残で赤と黄が同時に点灯すれば、発進前に余裕をもってギアチェンジできそうです。