「大荒れ」もある小倉記念。穴党記者は2週空いた馬場が合う伏兵の大駆けに期待
2週間の中休みを経て、夏の小倉開催が再開。今週は、サマー2000シリーズ第3戦のGIII小倉記念(小倉・芝2000m)が8月14日に行なわれる。
一昨年には、3連単で137万4190円という高額配当が飛び出したハンデ重賞。過去10年の結果を振り返っても、1番人気は2勝、2着1回、3着1回とそこまでの信頼は置けず、波乱含みの一戦と言える。
そして今年も、前走のGIII鳴尾記念(2着。6月4日/中京・芝2000m)で連対を果たした名牝ジェンティルドンナの子となるジェラルディーナ(牝4歳)や、GIII愛知杯(1月15日/中京・芝2000m)、前走のGIIIマーメイドS(6月19日/阪神・芝2000m)で2着と好走したマリアエレーナ(牝4歳)あたりの人気が予想されるが、ともに重賞は未勝利。それでいて、牡馬換算で56kgとなる54kgのハンデを課せられ、絶対視はできない。危険な人気馬となる公算が高く、"荒れる"可能性は大いにある。
そうした状況にあって、日刊スポーツの奥田隼人記者もひと筋縄にはいかないレースと見て、伏兵の台頭も想定し、こんな見解を示す。
「穴馬を探すにあたって、そのヒントは3週前に同じ小倉の中距離で行なわれたGIII中京記念(7月24日/小倉・芝1800m)にあると考えています。
レースは6番人気のベレヌスが先手を奪うと、そのまま後続を抑えて逃げ切り勝ちを決めました。当時は小倉開催4週目でしたが、芝の状態はよく、全体的に時計も速い印象があります。そのため、ある程度前でレースを運ぶことがアドバンテージになっていました。
そしてその後、小倉開催は猛暑対策として2週間の中休み。依然として芝の状態はいいと考えられます。ゆえに今回も、前に行けるタイプから穴馬を探すのが鉄則ではないか、という見立てです。
ただその一方で、そういった小倉の馬場傾向は当然各ジョッキーの頭に入っていると考えられます。それによって、前有利の馬場を意識した騎手心理が働けば、各馬が早仕掛けとなり、結果的によどみのないペースになることも想定されます。
そうなった時に台頭してくるのは、後方でじっくりと構えている末脚自慢の馬。こうしたタイプの穴馬の激走にも注意を払っておく必要があるでしょう」
小倉記念での大駆けが見込まれているシフルマン
そうして、奥田記者は前に行く馬をより重視。先手を奪うことが有力なシフルマン(牡6歳)に目をつけた。
「シフルマンは、前走の都大路S(5月14日/中京・芝2000m)で2番手から抜け出して快勝。初のオープン勝ちを決めました。安定して先行できる脚質で、今回の狙い目とマッチします。
3歳時にはGI菊花賞(京都・芝3000m)にも出走した素質馬ですが、その後はずっと足踏み。3勝クラスを勝ち上がるまでは、12戦を要しました。
それでも、オープン入り後は果敢に重賞にもチャレンジ。強豪相手に経験を積んで、着実に力をつけてきています。管理する中尾秀正調教師も、『ここをステップに、秋には大きなレースで(の活躍を)期待している1頭』と意気込んでいました。
小倉の舞台は、3走前のオープン特別・関門橋S(2月6日/小倉・芝2000m)での経験が一度あるだけですが、その際には逃げて2着と好走しました。鞍上もその時と同じ西村淳也騎手。中京記念ではベレヌスを勝利に導いていますし、今回も同様のレースができれば、残り目は十分にあると思いますよ」
やや成績にムラがあるものの、今年に入ってからは3戦1勝、2着1回。ハンデも背負い慣れた56kgとなれば、重賞での躍進があっても不思議ではない。
"荒れる"夏のハンデ重賞。今年は先手を奪って気分よくレースを運べそうなシフルマンが、オイシイ配当をもたらしてくれるかもしれない。