ビタミンって何種類あるの?「食」の三択コラム
「おとなの週末Web」では、食に関するさまざまな話題をお届けしています。「『食』の三択コラム」では、食に関する様々な疑問に視線を向け、読者の知的好奇心に応えます。今回のテーマは「ビタミン」です。
文:三井能力開発研究所代表取締役・圓岡太治
ビタミンの名称が提唱されて100年
「Vitamin」(ビタミン)という名称が提唱されたのは、1920年。当時知られていたのはまだ3種類(現在のビタミンA、ビタミンB1、ビタミンC)だけでしたが、その後ビタミンD、ビタミンE、…と、次々と新たなビタミンが追加されていきました。さて、2022年現在、正式にビタミンとして認められている化合物は何種類あるでしょうか?
(1)13種類
(2)18種類
(3)23種類
ビタミンA、B1、C……
答えは(1)の「13種類」です。
その13種類のビタミンとは、以下のものです。
(1)ビタミンA
(2)ビタミンB1
(3)ビタミンB2
(4)ビタミンB6
(5)ビタミンB12
(6)ビタミンC
(7)ビタミンD
(8)ビタミンE
(9)ビタミンK
(10)葉酸
(11)ナイアシン
(12)ビオチン
(13)パントテン酸
「ビタミンP」「ビタミンU」は?
そもそもビタミンってなに?
ビタミンは、生命に必須の栄養素で、人間が体内で合成できない、あるいは必要量を合成できない有機化合物です。ビタミンが不足すると、『夜盲症』や『脚気』(かっけ)など、さまざまな欠乏症が現われます。
おもに人間の活動のエネルギー源となる「3大栄養素」(たんぱく質、炭水化物、脂質)に、体の調子を整える働きのある微量栄養素である「ミネラル」(無機質)と「ビタミン」を加え、「5大栄養素」と呼ばれます。5大栄養素は人間が健康を維持するのに欠かせない栄養素で、食べ物から採り入れる必要があります。
ビタミン名が連続したアルファベットで表されないのはなぜ?
Vitaminという名前が付けられる際、その後も同様な微量栄養素が発見されることを想定し、Vitamin A、B、Cのようにアルファベット順に名づけることが提唱されました。その後数多くの研究者たちによって、ビタミンだろうと考えられる成分が報告されましたが、「重要な栄養分であるがビタミンの定義に合わない」、「後で再現できない、正体不明」、「すでに報告されたビタミンと同じ」などといったものが、除外または統合されました。
ビタミンB群については、最初に報告されたビタミンBが混合物であることが分かったため、ビタミンB1・B2・B3と分類し、その後報告された性質が似た成分にも数字を付けていきました。欠番があるのは、上記と同じ理由で除外、統合されたものがあるからです(参考[1])。
ビタミン様物質
「ビタミンP」は、かつてはビタミンと思われていましたが、その後数種類のフラボノイド(植物に広く含まれる有機化合物)からなる混合物であることが分かりました。また、かつて「ビタミンU」とされたものは、現在では「キャベジン」と呼ばれています。これらはビタミンの定義に合わないことから、現在ではビタミンから除外されていますが、ビタミンと似た重要な働きをする「ビタミン様物質」と呼ばれるものの一種です。
(参考)
[1] 日本ビタミン学会ホームページ
https://www.vitamin-society.jp/