最終便が出たあとの東海道新幹線京都駅。その裏側を現役駅員の案内で巡る「真夜中の京都駅バックヤードツアー」が開催されました。初の試みに、客も興奮を隠せない様子でした。

集合は23時10分。いざ、真夜中の京都駅へ!

 JR東海が展開する「推し旅」キャンペーンの一環として、2022年6月25日に「真夜中の京都駅バックヤードツアー」が開催されました。23時10分という深夜に集合したあと、参加者は約2時間かけて、普段立ち入ることができない、京都駅の“裏側”を楽しみました。


フレキシブルな表示の例。「ツッコミが追いつかない」という興奮の声も(鶴原早恵子撮影、一部加工)。

 プログラムのメインのひとつは、新幹線ホームからの「確認車」の見学です。確認車は、新幹線の始発前に40km/h前後で走行し、人の目とモニターとで線路の安全の最終確認を行う車両。見た目はややコンパクトな印象を受けますが、新幹線の運行の可否を判断する、重要な役目を担っています。

 確認車は始発前、駅が閉鎖されている午前3〜4時頃に走行するため、なかなか間近で見る機会がありません。参加者は写真や動画を撮ったり担当者に質問したりして、熱心に見学していました。

 もうひとつのメインは、営業終了後のコンコース見学。ここでは主に電光掲示板についての説明が行われました。普段は新幹線の行先や発車時刻、停車駅等が表示されていますが、特別な時や非常時にはフレキシブルに内容を変更できます。

 たとえば災害時はコンコースの柱に設置されたサイネージと組み合わせ、避難経路などの迅速な情報提供を行います。列車の行先や停車駅を変更せざるを得ない事態にも対応できるとのことで、実際にはありえない「のぞみ204号 三河安城行き」といった行先や停車駅も表示されました。これには参加者も大興奮。楽しそうに写真や動画を撮っていました。

「アットホームさ」人気呼ぶ

 このほか見学したのは、終業後シャッターが下りたきっぷ窓口や改札口のほか、警護の対象になるような人が利用する“特別な待合室”など。なかには安全上の理由から撮影ができないエリアもありましたが、参加者はきっぷ窓口の裏側や誰もいないホーム、コンコースなどに降り立ちました。

 営業終了後の新幹線の駅に見学者を受け入れるのは、JR東海にとっても初めての試み。注目度も高かったようで、ツアーの告知をしたところ、定員20名に対し関西以外の地域からも含め約200名の応募があったそうです。


普段の京都駅新幹線ホーム(画像:写真AC)。

 また、ツアーには企画段階から駅員も参加。当日の案内もすべて現役駅員が担当しています。駅長も登場し、駅を挙げて参加者を歓迎する手作り感ある雰囲気が印象的でした。

「推し旅」企画にはこのほかにも、のぞみ30周年を記念した駅係員業務体験ツアーなども紹介されています。バックヤードツアーの企画については現在のところ予定はないそうですが「今回のツアーが好評であれば、今後同様の企画についても考えたい」(JR東海)とのことです。