タクシー業界には、ドライバーのあいだで通じる隠語が数多く存在。今回はその隠語の中でも「怖い」ものを紹介します。

夜に告げられるとホントに怖い隠語がある

 どんな業界にも、その道の人だけに通じる隠語があるものです。タクシー業界も様々な隠語がありますが、なかには、ちょっと“怖い”言葉もあります。


タクシーのイメージ(画像:写真AC)。

「大きな忘れ物」

「大きな忘れ物」とは、「大きな事件を起こした逃走中の犯人」という意味です。この言葉は、たとえば警察からドライバーに向けた無線の中で使われます。

「本日午後〇時ごろ○○(場所名)からタクシーをご利用になった方の大きな忘れ物です」

 続けて、その「お客様」の年齢や身長、衣服の特徴などを告げ、「該当車両は連絡ください。忘れ物は無線室で保管しています」といった要領で無線が終わります。

 これは、殺人事件や強盗事件などの大きな事件が○○で発生したことと、その犯人の特徴を伝えています。無線を通じて街中のタクシードライバーに犯人の目撃情報の提供を呼び掛けるほか、ドライバーへの注意喚起という側面もあります。

「カバンの忘れ物」

「大きな忘れ物」に似た隠語で、「カバンの忘れ物」もあります。これは、ドライバーが無線を通じて外部へ呼びかけるのです。

 実は、「カバンの忘れ物」は、不審者を乗せた時に運転手が送るSOSサインです。タクシー乗車中「忘れ物」という言葉を聞いたら、ちょっと注意したほうがいいかもしれません。

「お化け」

「この駅はお化けが出るんです」。

 ドライバーが気づかぬうちにいなくなる客が出る……という意味ではありません。大きな駅でもないのに、タクシーが妙に多く集まっていたら、その「お化け」が出る駅の可能性があります。

 実は「お化け」は、「意外な場所と時間帯から、長距離利用してくれるお客さん」という意味。お化けと遭遇した時のような物珍しさ、驚きの意味が込もった隠語です。

「ゾンビ」

「お化け」と似た隠語に「ゾンビ」というものがあります。

 これは、大規模イベントの終了後や金曜日の深夜などに、タクシーが捕まらない客があちこちで手を上げている状態を指します。お客を乗せてしまったら素通りするしかないわけですが、賃走を終えてすぐ戻れば、またお客を乗せられる可能性も。ドライバーにとっては少なくとも“怖い”意味ではなさそうです。