ブラジル空軍は2025年まで飛ばす予定だとか。

「軽さは正義」というポリシーを具現化

 1954(昭和29)年6月22日、アメリカのダグラス社(現ボーイング)が開発したA-4「スカイホーク」攻撃機が初飛行しました。

 本機の特徴は、航空力学を徹底的に考え抜いた軽量・小型の機体に、当時としては比較的高出力なジェットエンジンを組み合わせた点で、これは設計主任を務めたエド・ハイネマンの思想に基づくものといわれています。

 彼は、「小型かつ軽量な機体で空力的な洗練さを追求すれば、確実に高性能が得られる」という考えを持っており、そのコンセプトに基づいて設計したからこそ、空虚重量約4.5tの機体ながら、積載量(ペイロード)もそれにほど近い約4tという優れた兵装搭載量を有する機体に仕上がっていました。


1962年、空母「フォレスタル」の蒸気カタパルトにセットされたA-4B「スカイホーク」攻撃機(画像:アメリカ海軍)。

 機体を小型・軽量化したことは、生産運用コストの低減にも貢献し、実際、アメリカ海軍が想定した取得費用の5分の4程度に機体単価は抑えられていたといいます。

 また、機体の小型化は、空母搭載を前提にした艦載機ながら主翼の折り畳み機構が必要ないというメリットにもつながっており、爆弾倉などないため各種兵装は主翼下のパイロン(懸吊架)にぶら下げる構造であったものの、これにより機体を頑丈にすることができました。この堅牢性は、本機が傑作機になったひとつの要因にもなっています。

「ブルーエンジェルス」も認めた高い飛行性能

 A-4「スカイホーク」は整備性に優れ、信頼性も高く、取得コストと運用コストの双方も低かったことから輸出にも成功、新造と中古あわせて世界10か国で採用され、総生産機数は2960機にもなりました。

 飛行性能も優れていたため、ベトナム戦争ではアメリカ海軍所属機が北ベトナム軍所属のMiG-17戦闘機を、対地攻撃用ロケット弾で撃墜する戦果を挙げたほか、イスラエル空軍所属機もロケット弾や30mm機関砲でMiG-17戦闘機の撃墜を記録しています。


アメリカ海軍アクロバットチーム「ブルーエンジェルス」のA-4F「スカイホーク」。1974年から1986年まで使用されていた(画像:アメリカ海軍)。

 また、その優れた飛行性能は、アメリカ海軍のアクロバット飛行隊「ブルーエンジェルス」の使用機に選ばれるという快挙にもつながりました。

 加えて、軽量かつ機動性に秀でた機体ということで、「トップガン」の名で知られるアメリカ海軍戦闘機兵器学校でも、旧ソ連製のMiG-17を模した仮想敵機として用いられるなどしており、母国アメリカからは退役していますが、2022年現在もアルゼンチンやブラジルでは現役で運用され続けています。

 なお、前出のように運用コストが安く使い勝手に優れているため、正規軍以外に飛行訓練や標的曳航などを請け負う民間軍事会社などでも使用されています。