「視聴者の関心は宮迫より上原だろ」松本人志がフジテレビに苦言 - 渡邉裕二

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※この記事は2017年08月23日にBLOGOSで公開されたものです


フジテレビ「ワイドナショー」（毎日曜前10時）でコメンテーターを務めるお笑いコンビ〝ダウンタウン〟の松本人志が芸能界の〝闇〟の部分に一石を投じて話題になっている。

発端は、８月15日に自らのツイッターに投稿した「しゃべっても。謎の事情でカットされ。。。」。

松本は、この投稿の真意を20日放送の「ワイドナショー」で明かした。

上原多香子の不倫問題をカットしたフジテレビ

それによると、女性週刊誌「女性セブン」が報じたダンス・アイドル・グループ〝SPEED〟のメンバーだった上原多香子の不倫騒動に関連し、松本が８月13日放送分で触れた発言シーンが番組の編集上カットされたという。要は、フジテレビが取った対応に対して納得がいかなかったのだ。

当初、上原の不倫騒動について「この話題には触れないでほしい」と番組担当者から、番組の意向を聞かされたものの、松本は収録で「サスペンスと色んなことが入り乱れているから、もうちょっとハッキリしてから、もう一回扱った方がええのかもね」と、当たり障りのない発言をしたと言う。

ところが、放送直前になってから担当者から「カットしたい」。

事情を聞くと「フジテレビでは上原さんの件は扱わないことになった」と説明されたというのだ。当然、松本は「何じゃそれは」と思ったという。扱わない理由として「（騒動を扱っているのが）女性セブン1誌だけ」で「（騒動に対して）上原本人がコメントを出していない」と言うことだった。もちろん、その裏には所属事務所から「上原の問題は扱わないで欲しい」との申し入れもあったそうだが、松本は納得がいかなかったようだ。


と言うのも「扱わないで欲しい」と言っている一方で、16日に放送した同局の情報番組「とくダネ!」では「（上原の不倫騒動を）扱っていた」こともあって、松本は「何じゃそりゃ！でしょ」と不満を爆発した。

松本の隣でコメンテーターとして出演していたヒロミも困惑した表情で「VTRだけ流して、コメントなしの方法もあった」なんてフォローしていたが、松本は、その意見にも納得できなかったのか、

「僕は、この番組はそうじゃないようにしていきたい。この番組のファンの人って、そういうことから逃げない『ワイドナショー』をやって欲しいと思っているはずだし、そうやってきたと思うんですよ。そこは貫かないと絶対に損だし、この番組にとってもよくない。フジテレビにとってもよくない」

とまくし立てた。その上で、

「僕はフジテレビを愛するがゆえに言っているのに、何故かフジテレビ側から足を引っ張られているという、何か不可解な…。こういうのは本当にやめてもらいたい」

と吐露した。

ジャニーズや大手事務所のスキャンダルには「忖度」

確かに、今回のことに限らず、これまでもジャニーズや大手プロダクションに所属するタレントのスキャンダルに関しては〝忖度〟らしきものがあって、メディア側に自主規制のようなものがあったことも事実だ。ただ、自主規制と言いつつも、実際には「無言の圧力」に近いものが多いかもしれない。

が、しかし、その一方ではメディア側のご都合主義も多々ある。

確かに視聴者のニーズが高かったかもしれないが昨年のベッキーの不倫騒動は異常過ぎた。それに比べ、上方落語の大御所・桂文枝と演歌歌手の紫艶の20年にもわたる不倫問題は、あまりにも呆気なさ過ぎた。もちろん、紫艶の〝売名疑惑〟もあったが、この騒動の扱いには正直言って「何で？」と疑問も残った。


もちろん、次から次に〝不倫疑惑〟が出てくるのでメディア側も「取捨選択」が必要なのだろうが、今回のように、メディアの扱いに対して「視聴者の関心はこっちだろ」と出演タレント側から指摘されたケースなんていうのは前代未聞だろう。そう言った意味でも意味が大きい。とにかく番組出演者である松本が真っ向から指摘したのである。

同番組は収録である。毎週金曜日の夜に収録したものを日曜日に放送している。そう言ったことから「フジテレビとして放送は出来ません」と突っぱねることも出来ただろうに、松本の意見をノーカットで放送したのは、さすがに苦渋の対応だったに違いない。過去の誤報騒動より現場は衝撃的だったはずである。もちろん、一部のスタッフには「松っちゃん、よくぞ言ってくれた」と思う人もいたかもしれないが…。

松本の思いも分かる。毎週、番組の中で発言した一言一言が、番組終了後にはネット・ニュースに書かれる。松本は、そう言った現状を無視できなかったのだろう。もしかしたら、ネットに関しては番組スタッフ以上に過敏だったのかもしれない。

昨今は、坂上忍が代表されるように、芸能記者やメディアに対して平然と批判する。そればかりか事務所に対しても契約の不満をぶつけ、独立を匂わすケースも増えつつある。

「自分の意見を堂々と主張する」。そんな時代になったのかもしれないが、実は、それは「テレビ」というメディアが作り出してきたことでもある。そういった意味では「ワイドナショー」は皮肉なことかもしれない。しかし、松本が指摘するように同じ局の情報番組で、「局として扱わないことになった」と言いながら、あっちは扱っても、こっちはダメというのでは納得は出来ないはずだ。

さてさて、今回の松本の指摘でフジテレビは今後、タレントの不倫問題に限らず、スキャンダルに対して一体、所属ブロダクションとの関係も含めどう向き合い、対応していくのだろうか。実に楽しみである。