A4一枚の申請書が夢を叶えるチケットに 日本財団「夢の奨学金」が目指す未来 - BLOGOS編集部PR企画

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※この記事は2017年08月01日にBLOGOSで公開されたものです

さまざまな事情で家族と暮らせなくなってしまった社会的養護出身者たち。彼らの多くは高校卒業とともに施設を退所し、社会に放り出されてしまう。

しかし、中にはより専門的な職業や、高度な教育を希望する若者もいる。彼らを支援するために日本財団が運営しているのが「夢の奨学金」だ。

「貧困の連鎖を断ち切って、新たな世界に入って欲しい」

「夢の奨学金」は「"あったらいいな"を形にする奨学金」をコンセプトに、未来の奨学生たちのロールモデルを生み出すことを目的とした給付型奨学金だ。

現在の事業担当者でもある日本財団の芳川龍郎さんは、この奨学金の生みの親でもある。芳川さんは設立の経緯をこう語る。

芳川龍郎氏(以下、芳川):社会的養護のもとで暮らす若者達は血縁者から虐待を受けていたケースが多く、その親もまたその親の世代である祖父母から虐待を受けていたり、祖父母の世代から貧困の状態が続いていたりと、親の状態に問題があります。そのような祖父母の世代からの「貧困の連鎖」を断ち切るためには、教育をしっかりと受ける機会をつくり、貧困につながらない職に就くこと、自立を促すことが大切だと思い、笹川会長に直接事業提案できる場を活用し事業を提案しました。

事実、厚生労働省の調査(平成28年「社会的養護の現状について」)によると、養護施設や里親などの社会的養護出身者の大学や専門学校への進学率は約23%となっており、 一般の若者の約77%という数字と比べると、大きく差がついてしまっている。

この原因のひとつに、社会的養護出身者にとって、進学することがイメージしづらくなっている状況がある。また、それぞれが入所した施設の考え方にも影響を受けやすい。

多くの若者はその施設の考え方に影響を受けるため、就職を勧める考え方が強い施設では「高校卒業後は働いたほうが幸せなんだ」という若者が多くなり、進学への意識が高い施設だと「高校時代から毎月いくらかずつ貯めて将来の進学に充てよう」という若者が多くなるそうだ。

芳川さんはそういった施設の状況に左右されず、若者たちの「学びたい」「自己実現したい」という意欲を尊重したいと思い、この奨学金を企画した。

芳川:やる気も能力もあるのだけど、チャンスだけがないという人を応援しようという奨学金なんです。親のことは親のこととして、新たな世界に入ってもらいたい。

A4一枚の申請書が、夢を叶えるチケットに

課題もある。全国児童養護施設協議会の調査によると、社会的養護出身の若者は大学に進学しても、約25%が中退してしまうというのだ。

芳川:バイト漬けにならないと生活ができないし、実家がないので困ったときに身を寄せる場所もない。 バイトを休む=お金がない=追い込まれる、という状態が簡単に成立してしまうんです。風邪も引けない状況下にあります。

「夢の奨学金」では、金銭面以外の部分でも支援をするため、授業料だけでなく、生活費と住居費も支援したうえで、 ソーシャルワーカーのサポートも受けられる体制を整えた。そのぶん、奨学生となるためのハードルも高い。

芳川:この奨学金では、はっきりとした人生プランを持った若者を応援するつもりです。 申請書にはあえて罫線もなにもない、大きな空白があるだけのA4用紙を一枚用意しています。 これにしっかりとした人生プランが書けるなら、心配なく大学まで行ける。奨学生にはこれからの養護施設出身者のロールモデルになっていってほしい。

A4一枚の紙に数行だけの文章を書いてくる希望者も多いというが、採択されるのは、やはり自分の夢や人生プランをA4いっぱいに書いてあるものだという。

現在の奨学生には、大学進学だけでなく、メークアップアーティストや、日本料理の職人を目指している人もいる。また、「夢の奨学金」は高校3年生のみを申請対象にしているわけではなく、高校を卒業して就職した社会人も対象となっている。18歳の施設退所時は就職の道しか無かったが、資格を取得しキャリアアップのため専門学校に通い、「保育士になりたい」という目標を掲げて奨学生になった人もいるそうだ。

社会的養護出身者を悩ませる「保証人」問題

もうひとつ、社会養護出身者たちの頭を悩ませているのが、賃貸契約などの際に必要となる「保証人」だ。「実親は頼れないのでダメ。祖父母は亡くなっている。里親はサインをしてくれない。そうなったとき、誰が保証人になるのか」芳川さん自身、彼らの保証人になれないか所属先に相談したこともあった。

芳川:今の日本では、家を借りるときも、就職するときも、ありとあらゆる場面で血縁が関係し、それが問題となってくる。彼らはなにも悪いことをしていないのだから、今後はそういった部分もサポートできるように制度を考えていきたい。

芳川さんは、「親のような気持ちで若者たちに向き合っている」と話してくれた。そのエネルギーは一体どこから湧いてくるのだろうか。

芳川:若者たちが目標をみつけ、実現に向けてもっと学びたいという意欲をみると、本当に嬉しいんですよね。”夢を叶えてほしい”と、全面的に応援したくなるんです。

「日本財団 夢の奨学金」概要

事業目的 ・社会的養護の下で育った人の自立支援
・自己実現につながる大学・専門学校への進学、もしくは職人になることを応援し、社会で活躍するロールモデルをつくる
特徴 ・給付型
・卒業までの入学金
・授業料全額+生活費+住居費支給
・学部学科の制約なし
・ソーシャルワーカーが併走
・中退者・既卒も可 選考基準 ・明確かつ現実的な人生プランが示せる
・後輩が憧れ、目指せるロールモデル性を備える
・決めたことは行動に移す実行力がある
・視野が広く、人間性が豊か
・人生プラン実現への強い情熱を持っている

「日本財団 夢の奨学金」は2017年8月1日から第3期生の募集を開始する。受付は8月31日まで(消印有効)。詳細は、「夢の奨学金」ホームページに募集要項があり、申請書はホームページからダウンロードできる。お問い合わせは、日本財団コールセンター(03・6229・5111/平日9:00-17:00)。

公式サイト:日本財団 夢の奨学金