「100人に1人は無精子症」。ダイアモンド☆ユカイ氏が語る不妊治療 - BLOGOS編集部
※この記事は2014年08月08日にBLOGOSで公開されたものです
8月1日、東京医科大学病院において、市民公開講座「頑張れ!妊活」が開催された。この講座内で行われたトークショーにダイアモンド☆ユカイ氏が登場。ユカイ氏は、著書「タネナシ。」で、自ら無精子症や不妊治療などについて語った経験を持っている。今回のイベントでは、自身の治療を担当した専門家を交えて、不妊治療の苦労を語った。「精子ゼロ」と言われて、本当に言葉がでなかった
杉山力一氏(杉山産婦人科院長):まずダイアモンド☆ユカイさんにお聞きしたいんですけど、不妊治療を始められたきっかけは?ダイアモンド☆ユカイ:ちょっとぶっちゃけて話してもいいですか?
2度目の結婚で、今の妻とバツイチ同士でお互い子供がいなかったので、「次はファミリーを持つべく結婚しよう」と。お互いにそういう気持ちで結婚したんです。
妻が30半ばで、俺も40過ぎていたんですが、妻が「どうせだったらちゃんと診察してもらって、妊娠に臨みたい」ということで、ついていったんですよ。近くの妊娠クリニックっていうんですか?そういうところに。
あくまでも俺は基本的に“つきそい”のつもりで行ったんです。診察したら妻は年齢よりも若くて健康体で、「大丈夫です」と。「あぁよかったなぁ」と思っていたら、先生に「あなたも検査してみませんか」と言われて。「俺?」みたいな。最初はそんな感じで、検査を受けたんですよ。
そしたら、結果が「精子ゼロです」と言われて。無精子症っていうんですか?そういう診断を受けたんです。
田中温氏(セントマザー産婦人科医院院長):皆さんぜひ覚えて帰ってください。無精子症には2通りあります。閉塞性と非閉塞性。閉塞性は、パイプカットで子供を作らないために男性の精管をわざと縛る。これが自然に起きた状態を閉塞性無精子症という。ダイアモンド☆ユカイさんは、それに当たります。これは触ればすぐわかります。
もしも閉塞性の場合には、妊娠率が非常に高いということを覚えてください。決してあきらめないということです。
杉山:不妊の原因が自分だとわかってどんなお気持ちでしたか。
ユカイ:もうね、まったく青天の霹靂というか。ロックンローラーだったんでね、自分の中では、不妊治療というものが、まったく関係ないものだと思っていたんですよ(会場笑)。
芸能人でも結構いたじゃないですか、72歳で子供をつくったりとか。自分もそういうタイプなんだろうなと。要するに男を売りにしてきてね、ギラギラしてたもんで、自分がロックンローラーだったんで、ヒョウとかトラみたいな存在だと、ずっと思い込んでいたんです。
でも「精子ゼロ」って聞いて、本当に言葉がでなかったですね。トラとかヒョウだと思っていた自分が、「あぁ俺猫だったんだなぁ」と。今これ笑って言ってますけど、その立場になってみないと、人って気持ちがわからないと思うんですよ。もうね、先生も「無精子症でも可能性がありますよ」と言おうとしていたと思うんですよ。でも、それも遮って、自分の中では、暗闇の真っ只中っていうか。2~3日口をきけない状態でした。男としてすべて否定されたというか。そのぐらいのショックでした。
杉山:うちの病院でも、いろいろな患者さんがいらっしゃるのですが、なかなか男性の検査は受けない。夫が拒否をしていて、「まずお前がやれ」と。そういうケースが多いのですが、吉田先生のクリニックではどうですか?
吉田淳氏(木場公園クリニック院長):うちは2人でいらっしゃる方がほとんどです。産婦人科ですが、男性の不妊症の治療もするので。もちろんカップルの病気ですよね、不妊症というのは。特に精液検査というのは痛みも伴わないわけですから、一番最初にやってもらいたい検査だと感じています。
杉山:田中先生のクリニックは、ご夫婦でいらっしゃる方が多いですか?
田中:若い人はカップルというのが圧倒的に多いですよ。男性が奥さんを連れてくるような場合も多いです。一緒に来て、一緒に(検査)するというのが一般的です。時代は変わってきていますね。
杉山:確かに、まず男性を検査して、男性に原因があれば、体外受精をやるケースがほとんどだと思います。もしどうせ体外受精やるのであれば、奥さんの負担をなるべく少なくして、初めから体外受精だと妊娠率も成功率も高いですし、時間も精神的なことはまぁありますけれども、ダイアモンド☆ユカイさんはどういう風に、体外受精に気持ちを切り替えられたのですか。
ユカイ:俺の場合は、2~3日、口がきけないような状態で。落ち込んで、先生の話も聞かなかったんですよね。で、ある時ネットを見たんですよね。
そこで無精子症というのがズラーっと出てきたんですが、「無精子症でも子供を授かる可能性がある」と書いてあって、「あぁそうなんだ」と。それが今は「顕微授精」とか言われているものなんですけれども。ただ、無精子症だった場合に、どういったことをするか?というのを読んでいったら…陰嚢を切開して…。
陰嚢というのは伝わりづらいと思うんですが、要するに男性の大事なところがあるじゃないですか。ゴールデンボールです(会場笑)。なんていうんですか袋ですよね。あれを切開して、その中から精子を取り出して、女性の卵子と顕微授精して、子宮に戻すという作業なんですけど。
まず陰嚢を切開する、ゴールデンボールを切っちゃうということ。それ自体、恐怖の塊なんですよ。ネットで見たところ、その手術が、「ものすごい痛みを生じる」と書いてあったんですよ。時にはサッカーボールのように大きくなってしまうと。ちゃんと画像もついてるんですよ!。これは俺ズボンはけなくなっちゃうなと。そのぐらいのショックでね。まぁネットだったんでいろんなことが書いてあって、全部鵜呑みにする必要はなかったんですけど。
意を決して、死刑を宣告される人のような感じで、手術を受けたんですけど、実際はなんてことなかったんです。外科の手術にちょっと足したぐらいの、痛みもたいしたことなかったし、一日で帰れるし、やってみたら「なんだこんなもんか」と。蓋を開けてみたら、顕微授精は、女性の方が大変だと。ホルモン注射とかいろいろあるみたいで1日ではすまされないというか。
不妊治療は、肉体的、精神的、金銭的の三重苦
杉山:たくさん不妊のクリニックがある中で、わざわざ北九州まで(※ユカイ氏の治療を担当した田中氏の病院の所在地は北九州市)ユカイ:最初は、近所のクリニックで行ったんですよ。その時は…、失敗しました。
金銭的にもすごくかかるんですよね、顕微授精って。男の不妊治療、手術もあるし。妻も、更年期障害みたいな状態になって、精神的にもイライラしたりとか。肉体的、精神的、金銭的の三重苦でね、それで「着床しませんでした」ということで、お互い口をきけないぐらいショックでした。それでも、もう一度挑戦したんです。2度目も失敗して、その2度目の失敗を機に、「やっぱり難しいんだな、これ」と思って、あきらめたんですよ
俺も「もう、いいや」と。失敗したことで、夫婦関係もギクシャクして。お互いに離婚するだのしないだのというところまできました。その時に「もうあきらめよう」と。お互いに子供がいない2人の生活も考えようと。いっぱい話し合って、しばらく落ち着いて旅行とかに行っていました。その時に妻が「もう一度挑戦させてください」と。
どうせやるんだったら、男性不妊の第一人者のところに行きたいと。ダメでもあきらめがつくし、「じゃあ、北九州まで旅行がてら」という気楽な気持ちでいったんです。それが田中先生のセントマザー産婦人科医院でした。
杉山:その時のお2人どんな印象でしたか?
田中:レッドウォーリアーズを全く知りませんでした。ただ、職員は何人か知っていて。僕は、レッドウォーリアーズと聞いて、プロレスラーだと思った(会場笑)。プロレスラーが来たかと思って、ちょっとビビッていたら、なんてことなはない。ものすごく物静かなおとなしくて、礼儀正しい青年でしたよ。だから、「やりましょう」ということで、僕は普通の患者さんと同じように対応しました。
ユカイ:でも、田中先生ねぇ、会ったときにギラッチな感じでねぇ。なんていうか触診とホルモンの値でだいたい、精子がいるかどうかわかるって言ってましたよね。
で、 こう田中先生に握られちゃったわけですよ(会場笑)。その時に「大丈夫、絶対できるぞ」と。すごい前向きな言葉を聞いて。あきらめてたんですけれど、なんかわからないけれど、田中先生に握られて「大丈夫なんじゃないかな、俺」ってそんな気持ちになりましたね。
杉山:僕も 20年前、田中先生のところで勉強させていただいたんですが、いきなり外来で旦那さんがパンツを降ろすって産婦人科医にとっては本当にショックで。 僕も「杉山君、ちゃんと旦那さんも診なさい」と言われて。僕は普段、体外受精の場合、女性しか診ない。精子は検査して、もし異常があったら、吉田先生の病院に全部お願いをしてしまうんです。僕は産婦人科の医者で、ゴールデンに触ったことがないです。
ユカイ:今でも?ダメですよ。これからは触診の時代ですよ!
杉山:でも、産婦人科医で旦那さんのパンツ降ろすって結構きつい。吉田先生、どうですか?
吉田:下げてもらうのが当然だと思います。例えば温泉とか銭湯にいって気になるのはペニスじゃなくて睾丸の大きさですね。「おぁいい睾丸してるなぁ」と。「これは20ミリだな」とか「これは8ミリ」だなぁとか見たらわかりますよ。もちろん触ったりはしませんけれども(会場笑)。
そちらはすごい気になるようになりました。でも、もともとお産が好きで産婦人科になったので、一番最初は抵抗がありました。実をいうと。
杉山:そうですよね。ユカイさんは、ゴールデンを触られたのは田中先生が初めてですか?
ユカイ:初めてじゃなかったんですよね。前にもほかの病院に行ってるので。ただ、ああいう風に力強く触ってきたのは田中先生でしたね。
「2人で産むんだ」という決意が重要
杉山:来場者の方の中にも今おそらく妊活中の方もいらっしゃると思うんですけれども、なかなか男性がこういう話を聞いたり、病院にいって具体的な説明をされる機会が少ないので、勉強会というのをして、1対100とか200 で説明しています。吉田先生は、そういう勉強会ですとか、旦那さんが病院に来やすいような工夫はしているのですか?吉田:うちももちろん同じように勉強会を隔週の土曜日にやっているんですけれども、その時にはほとんどの方がカップルでいらっしゃいますし、昔はやっぱり不妊症の治療をしていたときに、「精子しか診なくて、旦那さんの顔を見ていない」ということが非常に多かったわけです。
例えば、 人工授精なんかでも持参で持ってらっしゃる方が多い。それってやっぱり変だなと思っていました。田中先生がさっきおっしゃられたように、 「この2人の子供をつくるんだぞ」という意欲ですよね。「妊娠させてやる」というようなギラギラするような感じ。それってやっぱり重要なんだと思ってます。
杉山:やはり男性の検査は難しいところがあります。僕たちは外来で奥様にお話をする際に、精子を見ると、旦那さんの気持ちを考えずに、それこそ「ゼロです」とか「ちょっと量がすくないので、体外受精した方がいい」とか簡単に言うのですが、実際それをどうやって奥様が帰ってから旦那さんに伝えるのか。もしかしたら、言えない人もいるかもしれないし、その辺の男性のフォローというのはどのようにすればいいですか?
田中:奥さんは伝えにくいと思いますよ。特に仲がいい夫婦はかえってね。非常に辛いと思います。現実的にはね、一緒に来た方がいいですよ。一緒に来て、共に聞く。子供というのは、女性一人でも生まれないし、男性一人でも生まれないわけですから。「2人で産むんだ」という決意を、その涙を流しながらしてもらうと。そういう意味では2人で来ていただきたい。
ただし、「道はあるんだよ」と。これを示してあげることが大切だと思います。
杉山:最近、EDも非常に多くて、僕たちが外来で奥様が「実はEDなんです」と聞くと、「人工授精すればいいですよ」と簡単に言ってしまうところがあるんですけれども、吉田先生、EDについてお薬とか人工授精以外で何か工夫しているところがあれば、教えてください。
吉田:非常に気を付けているのは、ご夫婦が何を望んでいるのか、プライオリティーはなんなのか、ということです。子供だけ作って、夫婦生活はなくてもいいと奥さんは思っているかもしれないし、そうではなくて夫婦生活をもちたいと思っているかもしれない。そこをまず気を付けるようにしています。
最近はリビドラとかいろんないいお薬でているわけですけれども、それは頭に効くわけではないんですね。ペニスそのものに効くわけです。だから、脳が興奮しないと薬は有効ではない。雰囲気づくりというのは非常に重要だよ、という話をします。
夫婦生活が長くなって来れば、甘いものがないというのは僕もよくわかるのですが、その中でちょっと雰囲気を変えてみたり、家をリフォームというのはあれかもしれませんが、いろんなことをちょっと工夫しつつ、やっていくのが重要なのかなと思っています。
杉山:少し話は変わりますが、一般的に不妊治療というと、精子が正常であれば、タイミング法、それから人工授精、最後体外受精というように進んでいくんですけれども、そういう順番通り進めるということについて、何かアドバイスがありますか?
田中:誰もが皆さん、自分が結婚する前に、自分に子供ができないと思って結婚しないでしょう。ところが、7~8組に1組は子供がいないという厳しい現実が待っている。
不妊症治療というのは、痛み、負担、辛いです。長期戦です。最初から言います。だから、不妊治療は苦しくない、痛くないとか、フレンドリーとか。あれは嘘だと思います。不妊症治療というのはつらいです。それはもう覚悟してください。その代わり2人で力をあわせて、戦略を立てる。まず適切な診断を立てる。それに対して、適応な治療を立てる。それはもう主治医との信頼関係ですよ。
だから、一番大事なのは、自分が信頼できる、「あ、この人ならば、たぶん作ってくれそうだ」。医者の方も「あ、このカップルはなんとかしなきゃいけない」というようなお互いの気持ちが行きかうような、そういう主治医を見つけることが、一番近道だと思います。
子供ができないことは、女性として何か足りないということでは決してない
杉山:今日の第一セッションで漢方や食事について、いろいろ講演いただいたんですが、最近不妊症にも、ストレスをなくす、よく寝る、運動するというのを聞くんですけれども、吉田先生はその辺はどうお考えになっていますか?吉田:やはり心技体だと思います。基本はやはり栄養です。体にどういうもの摂るかということ。今さっき、ビタミンDが入った卵の話も出ていましたけれども、やっぱり基本的に体の中にどういうものを入れていくのかということ、人間の体は栄養でできているわけですから、非常に重要だと思いますし、適度な運動もぜひしていただきたいと思います。
また、やっぱりなるべく仲よく夫婦生活の回数を多くしてもらわないと、という話をいつもしています。
杉山:ダイアモンド☆ユカイさんも、治療中に何か心がけたことはありますか。
ユカイ:僕らは2度失敗した時に、ショックで、自分自身も一回あきらめたんですよ。田中先生が言ったように不妊治療自体は大変なものでしたやっぱり。金銭的なもの肉体的なもの精神的なもの含めて、夫婦関係もギクシャクしてきてしまったし。
あきらめて、お互いに、子供のいない2人の生活みたいなものを話し合い始めた。それで旅行に行ったりして、ある意味でリラックスしてたのかもしれないですね。その時、妻が「もう一度だけ挑戦してみたい」といって挑戦したら、授かったんです。もしかすると、1回目、2 回目というのは、思いが強すぎたという要素もあったのかなという気もしますね。リラックスして、それでだめだったとしても、夫婦は夫婦であるわけだし、いろんな道を、お互いに話し合ったということが、今考えるとよかったんじゃないかなと思います。
杉山:1回あきらめてみるということも…
ユカイ:僕らの場合は、そうだったんですね。田中先生の病院も北九州という遠いところだったので、旅行がてらに行って、本当にリラックスした状態でね、検診出来たというか。よくストレスと環境ホルモンとかいろいろ言いますよね。ストレスっていうのは、今現代の病気の中で、病気と言ってしまっているのですが、かなり大きな割合を占めるんじゃないかなと。俺はそう思います。
杉山:不妊治療自体がストレスですからね。それをフリーにするというのは本当に難しいかなと。
ユカイ:ずっとそれだけしか見えなくなっちゃうんですよ。不妊治療をやっていると。そういったときに気分転換みたいなものがあって、もう一度立て直す治療に行ったときに、もしかしたらそういった作用があるのかもしれないなぁと。
杉山:確かに一緒に旅行するとか、そういったことも一つのきっかけですし、例えば、家の雰囲気を変えるとか、思い切って引越しするとか、仕事を変えるとか、まぁ仕事は変えられませんけど(会場笑)。吉田先生はどうですか?その辺のリラックス方法があったら教えて下さい。
吉田:やっぱり不妊症は、先が見えないんですよね。例えば、勉強すれば資格が取れるとか。そんなもんじゃないんですよ。いつ結果がでるかわからないし、結果が出ないかもしれない。
患者さんになかなかそこまで僕は言わないんですが、決まった人生って絶対にないんですね。これだけやったら絶対こうなるという確証のある人生はないと思っているんですけれども、その努力をしている過程というのが非常に重要なんだと思います。
でも、なんとか皆さんに妊娠してもらいたいなぁと思うので。旅行はお金がかかりますから、「ちょっとでいいから公園でも散歩してみてくれない」とか、「ちょっと買い物にいくだけでも気分が変わると思うので」という話はするようにしています。
杉山:田中先生はどうですか?
田中:僕はね、みんなに、特に女性に言うんですよ。子供ができないことは、女性として劣っていたり、何か足りないということでは決してない。そんなこと思う必要まったくないんです。ご結婚されても、お子さんをつくらない人もたくさんおられますし、最初から「私は人生これで行くんだ」と結婚しない人もいる。それもいいと思うんですよ。ただ、今治療したいんだったら、ベストをつくしてください。我々もベストを尽くす。
そして、もう一つはね、あなたがたは今は一人もお子さんがいない。あなたがたの同年代で子供1人、2人いると、もうプライバシーも何もない。この時間を有効に使う。趣味だとか楽しみだとか。何かあるでしょう。一人で楽しめるものを是非今やってください。そうすると、例え子供ができなくても何かが残る。旦那は先に死にますから(会場笑)。後の人生どうやっていきていくか。やっぱり“何か”がほしいでしょう。それを是非作ってほしい。絵でもいい、音楽でもいい、園芸でもいい、何でもいいですよ。これのチャンスにしてほしいと僕は言います。
杉山:僕の周りでも結婚していない女性が多いですけれども、自立もされて、仕事もしている。旦那もいらないけど、子供がほしいっていう人も多いんですけれども、そういう女性をどう思われますか?
ユカイ:怖いですね(笑)。でも、今仕事に長けている女性が増えてきて、夫婦共稼ぎというのが普通になってきて、女性の方が優秀だったりするんですよね。周りを見渡してみても。東京は初婚が30でしたっけ?子供を産むのが30でしったっけ?
杉山:初めて子供生むのが日本はちょうど30歳です。
ユカイ:仕事している女性が、だいたい落ち着ける年齢って30過ぎてからなんですよね。そこから、子供を作ろうと思うと、だいたい35近辺になっちゃうんですよ。35過ぎると高年齢出産じゃないですか。35から例えば40だと考えると、その5年の間、俺みたいな無精子症の人と、まったくそういう知識もなく、ただ頑張っていて、それで5年間を無駄にしちゃう可能性があるんですよね。
だから、男性も検査を受けて、正しい知識の中で。だからといって、必ず授かるものでもないんですけど。自分が、知らないでそこに飛び込んで行って、そういうことがあったので、無精子症に関しても知らない人がたくさんいると思うんですよ。だから、どんどんこれは広めていって。夫婦ともに悔いのないように生きてほしいと。
男性も恥ずかしがらず検査を受けるべき
杉山:最後に吉田先生、田中先生に今日ご来場の皆様に不妊治療の中でアドバイスがあれば一言ずつお願いしたいと思います。田中:まず一番大事なのは正確な診断です。
もう一つは自分の体の変化。特に基礎体温をつけてほしい。基礎体温をつけることによって、自分で自分の体への関心度が高くなると、それだけでもわかるんですよ。「あ、排卵するぞ」というのが意外とわかるんです。そうなってくると妊娠率が高くなる。
ですから、僕が言いたいことは、いいドクターを見つけること、それから適切な診断をつけて、それにふさわしい治療をすること。それと、ぜひ皆さん基礎体温をつけてください。それともう一つ、基礎体温をつけるのは、同じ時間帯だと思っている人がいますが、あれは間違いです。目が覚めたときに測ってください。だから三交代で昼間に目が覚める方はお昼でいいですよ。
吉田:僕が患者さんによくお話ししているのは、ステップアップ。例えば、タイミング療法から人工授精にする。人工授精から体外、顕微鏡受精をするという時に、必ず2人でよく相談してほしいと思います。
2人の方向性、ベクトルがずれていると最悪、離婚ということもあります。本当にいい卵が凍結できているのに、「破棄してください」といわれると、非常に辛い思いをする。大ゲンカになってもいいから、2人で「僕はここまで望んでいる」だとか、「私はここまでいいと思っているんだ」というところをやっていただいて、2人の不妊治療の方針を立てていただきたいと思います。それと同時に、もう一つ必ず言っているのは、ステップアップもあればステップダウンもありますよ。ずっと体外、顕微だけやらなきゃいけないということはないですよと。
場合によっては、人工授精にしてもいいし、タイミングにしてもいいんじゃないですかという話をするようにしています。
杉山:最後にダイアモンド☆ユカイさんから会場の皆さんに温かいメッセージを
ユカイ:今日は本当にどうもありがとうございました。不妊治療って大変なことの方が多いと思うんですよね。僕らの場合も、2度失敗して、夫婦関係がぎくしゃくして、離婚寸前に追い詰められたりとか。夫婦お互い尊重しながら、前に進んでいったので、たくさんいろんなことを夫婦で話し合って、語り合って、それで一つ一つ乗り越えていってほしいと思います。
あと、男性不妊。これは知らない人もまだたくさんいるんで。100人に1人は無精子症だってこと。男性の人も恥ずかしがらないで、検査は受けてください。別にたいしたことないです。陰嚢、陰嚢だとわかりづらいですね、ゴールデンボールを切るのも痛くないですから。皆さん、悔いの残らない人生を是非とも送ってもらいたい思います。どうもありがとうございました。
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