国会における女性議員へのヤジはどのような質問の最中に起きたのか―上西小百合議員・総務委員会質疑書き起こし - BLOGOS編集部
※この記事は2014年07月04日にBLOGOSで公開されたものです
4月17日の衆議院総務委員会において、質問中の日本維新の会の上西小百合議員に対し、男性議員が「早く結婚して子供を産まないとダメだぞ」とヤジを飛ばしていたと新聞各紙が報じている。この総務委員会では、「地方自治法の一部を改正する法律案(186国会閣75)」「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(186国会閣66)」に関する質疑が行われていた。この時、上西議員はどのような質問をしていたのだろうか。質疑の様子を書き起こしでお伝えする。
なお、上西議員は、ヤジを飛ばした大西英男衆院議員からの謝罪を受け入れたことを共同通信が報じている。
総務省は人口減の状況をどのように捉えているのか
上西小百合衆議院議員(以下、上西):日本維新の会の上西小百合でございます。本日の案件は、正に地域の自立をどのように促していくのか、肝心要となる大切なものでございますので、20分しかございませんが、いくつか質問させていただきたいと思います。私ども日本維新の会は、先行して声を上げた大阪維新の会結党以来、一貫して都道府県を市町村という、加えて国もそうですが、それぞれ階層が異なる行政府、自治体が重複して似たような事務をして行政コストが増大することを「二重行政の無駄」と位置づけ、その解消策を様々提唱してまいりました。
とりわけ、都道府県並みの権限を持つ政令指定都市は“屋上屋を重ねる”ようなもので、「お金の無駄」「時間の無駄」「人の無駄」の典型例でございました。ですので、地下鉄、水道事業などの民営化で新たな財源を生み出し、大学や病院など大阪府と大阪市がなぜか重複した行政サービスを行っているものを徹底的に見直し、府と市がバラバラに進め、府と市の不一致で“ふしあわせ”と揶揄されていた戦略や政策を一本化する大阪都構想実現は、私どもの至上命題だと確信をしているところでございます。
昭和31年に政令指定都市制度ができ、2003年のさいたま市誕生までは、人口要件が100万人ないしは、近い将来100万人になると見込まれる都市という風にハードルが高かったものの、平成の大合併に際して、条件が緩和されたため、今では20もの政令市が誕生しております。なかには、人口要件をクリアするために周辺町村との合併を繰り返し、政令市でありながら過疎債の起債が認められるエリアを含んだり、棚田や渓谷美の観光資源をアピールしたり、投票率の低下も手伝って10万票に遠く及ばない得票での政令市の市長が誕生する。こういった現象が見られるのもめずらしくなくなりました。
私は、今のこうした現象に大変な違和感を覚えてしまうわけですが、新藤大臣のご所見をお聞かせいただけますでしょうか?
新藤総務大臣(以下、新藤):政令指定都市は、人口が集中して、県並みの機能と能力を持つ。こういう地域については、その独自性を発揮していただく、自治を確立するために設けられた制度です。ですから、そもそも二重行政というものを想定しておりません。
だが、結果として、それが二重行政になっているとするならば、それは解消しなければいけない。こういう論理展開をしているわけでございます。それから、よく大阪のことに触れていただきますので、これやはりですね、考えるべきだったんでしょうね。東京都が特別区が895万人の中で23区です。大阪市は267万人で24区です。で、先程千葉のお話がでましたが、千葉の9区とおっしゃっていましたか?16区ですか。
ですから、やはり大阪という地域がですね、別の委員の方から、公営バスの運転の方の収入が1400万になっているとか、確か生活保護ももっとも多い受給者がいらっしゃるといった指摘がありました。ですから、やはりそれぞれの地域に問題があったと思うんですが、それらの問題解消のために地域の方々、大阪の住民の方々が、住民の意志を受けて、必死にそういった改善を図ろうとしていること。これはとても素晴らしいことだと思います。 ですから、我々もそういうものに対応できるような大都市区域の法律を定めて、後は住民の意志に従って手続きが進めば、実現できるようになっているわけであります。
でも、それとですね、全国のすべての指定都市や都市問題を一概に一つにしては、私は言い切れないところがあるのではないかと思います。政令市の人口要件を70万人に落としましたが、これは合併特例期間のみでございまして、今現在100万人に戻っているんです。先程も言いましたが、人口減少社会においてですね、これから日本の全国の活力を維持するためには、地域にそれぞれの吸引力を持った、力の強い都市を作り、過疎化をとどめ、活性化をするために、広域的な連携、役割分担をしながら、この日本の国の中で、それぞれのいくつもの拠点をつくらなければならない。
それでなければ、都市問題は解決しないし、過疎問題は進むし、結果的に、その先に人口減少があれば、それは自治体を形成することが出来ない地域がどんどん増えてくると。2050年に2割の地域が無居住化するわけでありますから、こういったものに対応するための大都市という、そういう制度ですね、拡充しようとしているわけでございまして、私とすれば、これはそれぞれ必然性があって、整合性がとれているものだと考えています。個別の具体的な問題は、それは個別に解決すればいいものであって、制度としてはその一連の流れの中で、大阪には大阪の問題があるとするならば、それは大阪がきちんとですね、解決をしていくための努力をされておりますし、我々もそれはお手伝いをしたいと。こういう風に考えております。
上西:今、大臣の方から「力の強い拠点を作る」ということが必要であり、そして個別に生じた不具合に関しては、それぞれの地域が解消していけば良いということで、それを政府が後押しをしてくださる。こういったご意見をいただきました。ありがとうございました。
またですね、それに関しまして、この今回の法案では、中核市に昇格する要件も30万人から一気に20万人に減らされることで、中核市、これも相当に増えると思うんですけれども、今少し政令市に関しては、ご説明をいただいたわけですが、やはり私としては、中核市、こういったものを誕生させるメリットというのがよくわからないわけでございます。
ですので、その中核市のあり方、今の二重行政に関する新藤大臣のご所見いただきましたが、特に事業を一本化する調整会議、これの果たすべき役割をどのように想定されているのかをお聞かせいただけますでしょうか。
新藤:中核市の人口要件は減らされるのではなくて、ハードルを下げることによって、中核市になっていただける市が増えると。ですから、窓口が広がるということであります。しかし、その中でですね、指定都市と都道府県の役割というものがございます。ですから、そういう正に委員が一番最初にいった大都市問題の中の課題の一つである二重行政、これらを解決するためにですね、この事業を一本化するための調整会議というものを設けようではないか、このようになったわけでございまして。
制度を中核市につきましても、特別市と統合するんですから数は増えてきますね。ですから、そういうものに対しての調整機関が必要だと。セーフティネットとしてですね、そういったものを設置しようと考えたわけでございます。
上西:ありがとうございます。それでは次に移らせていただきたいと思います。日本の領土であります、島根県竹島の領有権をめぐり、国際司法裁判所へ提訴しようにも、敗訴が明らかなためか、韓国が応じないために国際的な正当な判断を仰げないのは、提訴には当事者双方合意が必要だからです。
今まであった総務大臣が任命した学識経験者による自治紛争処理委員の調停が国際司法裁判所の同様に当事者同士の合意が必要だったのに比べると、今回の調整会議で意見が一致しない場合は、知事か市長のいずれか一方の申し入れで総務大臣が勧告をして決着をすることとなり、これは大きな進歩だと思っています。
しかし、裏返せば国の、中央の権限がより強まってしまい、地方分権の逆行、これが進んでしまうような危惧をいだいております。また、私としては、二重行政解消策として、市を解体し、都に広域行政を一本化する、大阪都構想の方に軍配を上げたいと思っております。
政府案では、話し合いだけをしてもタイムリーな施策が出来ない上に、二重行政の改正にはまだまだ不十分だと思えてなりません。橋下徹大阪市長の大阪都構想は広く報道されていますので、新藤大臣もご承知のことだと思いますし、先程から大阪都構想についても触れていただいておりますが、再度、今私が申し上げたことを踏まえ、大阪都構想をどのようにご評価されているのか、聞かせてくださるでしょうか?
新藤:大阪都構想につきましては、以前にですね、大阪市の抱える独自の問題というものがあったと。それを、その地域固有の課題を解決するために、そのようなお考えで進め、それが地域住民の、有権者の賛意を経て進めるべきかどうか、ということになっているわけでございます。
私どもとすれば、そういう国内において、有数の、有力な都市において、そういった問題が発生し、それらを念頭に置きながら、この大都市における特例を設けるような、そういう法律も制定されたわけでございます。ですから、地域の実情に応じた大都市制度の特例を設けることを目的とする、大都市地域特別区設置法、これらに基づいてですね、大阪都構想というものが進められるのではないかと。このように思っております。
それは何よりも、私どももお手伝いさせていただきますが、大阪の問題解決のためにはなんと言っても地域の住民の、皆様の知恵と住民から選出された首長と議員の皆さんがしっかりとした議論をしていただきたい。このように考えております。
上西:ありがとうございます。大阪市の抱える独自の課題を解決するためには、やはり地域がしっかりと立ち上がる。そして、有権者の支持を得た地域の課題を解決させるために、大臣の方からもご支援をいただけるということでご声援をいただきました。
次に参りますが、一昨日、総務省より2013年10月1日の人口推計が発表され、総人口が前年より約211万7000人も減少し、しかも65歳以上の人口比が25%を超え、14歳以下の人口のシェアは12.9%で過去最低であった旨のショッキングなデータが発表されました。
学者たちから「人口減少時代が到来する」との話を聞いても、まず疑っていた人たちも今やその現実を体感する時代となってしまったわけですが、そのような趨勢を念頭に入れながら、各市町村の事務を大都市が無闇やたらに補完をして、一極集中だけを加速するようなことがないようなご配慮をお願いしたと思いますが、総務省は人口減の状況をどのように捉え、どのような対策を講じていらっしゃるのか、お聞かせいただけますでしょうか?
新藤:正にですね、この人口減少社会といいますか、人口減少は国家的な課題ですね。これをどのように克服して、我々はそれに対応していくのか。非常に重要な問題だと思います。端的に言って、かつて年間で確か250~60万人生まれた時がありました。新生児が。いまそれが100万人を切ろうとしているわけでございますから。
その子達が20年後、30年後、社会の主力になった時に、どのような国ができているのか。これはもう言わずもがなでございますし、労働力の減少という意味でも最大の課題です。そして、私たちが2050年には、というお話をさせていただくんですけれども、さらにリアリティを感じるためにはですよ、東京オリンピック、2020年の時には、300万人減るといわれているんです。横浜市ぐらいの地域がなくなるんです。そして、2030年では、1000万人減少する。東京都にいるような方々がいなくなってしまう。そういう状態があるんです。かつ、人口が5万人以下の自治体が全国で7割なんです。1718自治体のうちの7割が5万人以下なんです。
残りの3割の地域に8割の人口が集中している。したがって、そこに都市問題が発生し、かつ過疎の問題が発生し、過疎は残念ながらとどまることを知らずにさらに進んでいっている。だから、私たちがやるべきは、まず全国に拠点となるべき力の強い都市をつくって吸引力を発揮して、人口の一極集中を少しでもとどめて、分散多極化を測るということ。それから、それにしても都市と地方の数の問題は残りますから、過疎地であっても元気になれるような、そういう1718自治体があるならば、1718通りの元気プランをつくろうではないか。これが地域の元気創造本部を私が設けた最大の原点であります。
そこでは持続的可能性、そして自立というのがキーワードになって地域の資金を活用しながら自分たちの工夫によって、自分たちなりのですね、特徴をもった事業を起こそう。それによって仕事もお金も回していく。それから、その仕事に参加することで、人が増えていく、定住性を高める。こういったことで過疎を食い止め、そして自立ある、個性をもった地域をつくらなければならない。それは人口減少社会に向かうニッポンに対して、有効な策であると。こういうことではじめております。
上西:ありがとうございます。全国で、そういった拠点となる力の強い自治体を作り、そしてですね、一極集中を防ぐ。本当にこれが実現したならば、本当に過疎かも解消され、素晴らしいことだとは思います。
※ここでヤジが飛ぶ(動画上30秒あたり)
(苦笑しながら)頑張ります。
―不規則な発言は注意してください。(※議長から)
そしてですね、地域の自主性、これを高めるためにそれぞれの地域、1718通りの地域が、それぞれの工夫、そしてそれを生かすために、政府がしっかりとバックアップをしていく。これですね、いろいろ今国会も政府から様々な法案が出されましたが、もっとですね、私から意見をいわせていただけるのであれば、もっと地域が本当にそれぞれの地域の力を最大限発揮できるように、しっかりと地域が予算を自分でどのように使うのか、というのもしっかりと決められるような自主性をもっと行かせるような形にしていくように新藤大臣にはお願いをさせていただきたいと思います。
続いて、ちょっと時間がありませんが、総合区についてお尋ねをいたしたいと思います。政令市になると、市内が区に分けられ、区役所において転入・転出の手続き、住民票や証明書などの発行諸々の窓口業務が行われているわけですが、今回の改正法では、総合区への格上げをして、人事や予算編成の一部を任せ、権限が強化された特別区。総合区長が置かれることとされています。総合区長がそれだけの権限を有する事は理想に大きく近づきつつあると思うのですが、私はやはりそうした形の区長が、市議会の同意によるものではなく、住民が直接、公職選挙で選ぶべきものだと考えております。
政令市によれば、人口が数百万人にもおよび、一つの県以上にサービスが求められるわけですから、区分は当然、地方分権の意味からも責任者を明確にして、強い権限を与えるのは当然のことではないかと思っております。そこで伺います。人口が大きく、都市機能や行財政能力が高いところならば理解はできるのですが、前にも述べましたような一次産業従事者の比率が高かったり、異常事務処理があまり見られない地域や行政区の設置、区の事務を処理する体制に乏しいところまでをそれに含める必要があるのでしょうか?
条文を読む限りはっきりしないのですが、部分的に総合区を設けたり、随時総合区を追加したり、またはまったく設けることをしないこともできると解釈をしてよろしいのでしょうか?
門山自治行政局長:お答えいたします。総合区の設置につきましては、「条例による」ということにしておりまして、この場合、指定都市の一部の区域に設置することも可能でございますし、全域に設置することも、あるいはまったく設置しないということも、いずれも可能という仕組みになっている、しようとしているところでございます。
これはやはり政令指定都市も人口規模ですとか、面積、沿革等におきまして、それぞれでございます。それぞれの指定都市の多様性を踏まえまして、それぞれの指定都市が地域の実情に応じて柔軟に導入することが出来ると。こういう仕組みにしたということでございます。
総合区を導入しようとする指定都市におきましては、それぞれの指定都市、実情に応じた形での総合区が導入されますように、充分ご議論いただきたいというのがこの制度の考え方でございます。
上西:わかりました。指定都市が柔軟に総合区をどのように設置するのか、対応ができるということで、しっかりと今後も地域の力が生かせるようなそういった対応をお願いをして私の質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
・出典:衆議院インターネット審議中継 総務委員会(2014年4月17日)
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