※この記事は2014年03月28日にBLOGOSで公開されたものです

集団的自衛権の行使容認に関する憲法解釈の変更や、関連法の整備について議論がなされている。自民党は総裁直属機関「安全保障法制整備推進本部」(本部長は石破茂幹事長)の設置を決定、さらなる検討を行うとしているが、党内でも慎重な意見は根強いとも報じられている。

そのような中で27日、外国特派員協会で福島みずほ(社民党)・山本太郎(新党ひとりひとり)の両参議院議員が会見を行った。
なお、当初は両議員に加え、近藤昭一(民主党)、主濱了(生活の党)の両衆議院議員を含めた4人で会見を行う予定だったが、衆議院で法案の緊急上程があり、衆議院議員の二人は急遽不参加となった。

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福島みずほ議員の発言

みなさんこんにちは。参議院議員の福島みずほです。こういう機会を与えて頂いて本当に嬉しく思っています。

安倍総理が集団的自衛権行使の容認を、憲法解釈だけで、閣議決定だけでやるかもしれない、そのことの問題点を今日は発信したいと考えています。私は集団的自衛権の行使を考える超党派の議員と市民の勉強会を作り、これまでに4回実施し、これからもやっていく予定です。これには民主、社民、共産、結いに加え、山本太郎議員や糸数慶子議員など、さまざまな議員が参加しています。

日本国憲法下では、外国が攻めてくればそれに反撃できるという"個別的自衛権の行使"はできます。しかし、自国が攻撃されていないにもかかわらず他国防衛のために武力行使をする"集団的自衛権の行使"は、戦後60年間、一貫して違憲とされてきました。 これまで集団的自衛権の行使が援用されたケースはご存知のとおり14件です。ソビエト連邦によるハンガリー侵攻、チェコ侵攻、アフガン侵攻、アメリカのベトナム戦争やニカラグア侵攻などです。いずれも大国が他国防衛を理由に侵略を行ったケースではないかと言われることが多いです。

第二次安保法制懇談会の結論を経て、安倍総理は集団的自衛権を解釈改憲で閣議決定するという方向性が強いと言われています。しかしこれ、違憲のことがなぜ合憲になるのか、違憲のことがなぜ内閣で決定できるのか。憲法を破壊し、9条を削除することを総理が勝手にすることを決して許してはならないと思います。

また、安倍内閣は"武器輸出三原則"ーつまり武器輸出の原則禁止から、原則解禁踏みだそうとしています。私は日本は素晴らしい、いい国だと思っています。戦後、日本製の武器が世界の子どもたちを殺さなかったのは、戦後の本当に素晴らしい財産だと思っています。 世界で戦争をしない、世界に武器を売らないという戦後政治の否定をしようとしている。戦後の自民党政治すら、安倍内閣は否定しようとしている、その重要な局面に達しています。

国民投票法改正法案が国会に出されて、これが可決すれば、今の政権は解釈改憲で集団的自衛権の行使を認めた後で、今度は明文改憲をするという、その両方をやろうとしているのだと考えています。

今大事なこと、私たちがやろうとしてることは、できるだけ世論に働きかけることで、そして自民党や公明党の中にも、集団的自衛権の行使を少なくとも解釈改憲で認めることおかしい、という人達はいらっしゃるので、そういう人達にも働きかけます。野党でも、勉強会のほか、閣議決定で認めることは問題だとしている民主党ともできるだけ共闘して、とにかく総理が閣議決定で解釈改憲をしない、ということに全力を上げたいと考えています。

4月の上旬には日比谷音楽堂で大きな市民集会があります。秘密保護法の採決の時のように、またあの時以上に、多くの市民が国会を包囲して、総理が解釈改憲で閣議決定できない状況をとにかく作りだしていきたいと思います。今日はその一環で世界に発信することで、私たちが何を考えているかを少しでも伝えたいと考えました。どうもありがとうございました。

山本太郎議員の発言

こんにちは。参議院議員1年生、山本太郎です。雨の中。このような場を頂き、わざわざ来て頂きまして、ありがとうございます。

とにかく安倍政権になってからいいことあったかって。安倍政権になって、この国に住む人々にとってなにかいいことがされたかという話なんですけど、ほとんどされていないというのが現状なんですよ。

安倍政権に変わってから、どんなことが行なわれたか。生活保護は引き下げられる。それだけじゃない。消費増税、それだけじゃない。国家戦略特区。他にも日本版NSC、特定秘密保護法、派遣保護法改悪、生活保護の受給者がもっとそれを受けられないようにしていく。

この国の一番弱い人達に手を差し伸べなければいけない国家が、それを放棄する方向にどんどん進んでいく、その上集団的自衛権にまで手をつけるのかって。…(通訳の方を向いて)すみません、燃えてしまいました(笑)。


"集団的自衛権が無ければこの国を守れない"という詭弁を繰り出して。本当にそうですか?って。もちろん国連憲章51条で、個別的自衛権と集団的自衛権の二つの自衛権は認められている。でも、日本は先の大戦の反省から、集団的自衛権の権利はあるけど手を付けません、ということは守ってきたんですよね。個別的自衛権だけで成り立っていることはもう明らかな事実なんですけど、でも、それを手に入れたい。一体何のためなのか。どうして、そこまで手を伸ばそうとしているのか。

それは安倍政権がやってきたことを見れば一目瞭然なんですよね。誰のための政治をしていますか?決して、この国の人のためではなく、大企業、多国籍企業、そういったところに対して自分たちが貢献できる政治を続けているということなんです。今までの政策や決めてきたことの内容を見れば一目瞭然、たとえば、まだ妥結されていませんが、TPPひとつとってみても分かる話じゃないですか。結局、この国を切り売りしますよという話なんです。この国の人達は誰も豊かにならないよって。結局、国民の税金で作ったインフラを破格の値段で売り渡したりだとか、地方が豊かになるように行なわれる公共事業も、海外の企業が入ってきて入札できるように、規制や緩和を企業のために最大限やっているのが安倍政権だと思います。

今まで50年、60年ずっと守り続けてきた武器輸出にも規制緩和を持ち込もうとしている。国内の企業だけでも2,500社の企業が武器を作るのに関わっていると言われていますが、この緩和を許してしまえば、この国は一体どこへ行くんだよと。とにかく企業に儲けさせる。他国との緊張を高めて、軍備増強につながっていく。戦争になれば戦争産業、軍事産業がより肥えて、より豊かになっていく状況になるわけですよね。
たまたま権力者になった人が、50年も60年も守り続けられてきた平和国家の礎を一夜にしてひっくり返そうしている、本当にもうブラックジョークにもならないなって思うんですよ。

結局閣議決定されてしまって、周辺法の採決になってしまえば、今の国会では与党が圧倒的ですから、押し切られる可能性が高いわけですよね。だとしたらどうすればいいのか。この国に住む人々のひとりでも多くに危険性を知って頂く必要があると思うんです。秘密保護法の時のように、全国で凱旋をやって、マイクを握る。

この、「集団的自衛権必要ナシ」、シンプルですよね。この国は個別的自衛権だけで成り立ってきたんですから。発言や行動で緊張感を高めようとしてるのが安倍政権の姿だと思います。秘密保護法の採決のときには、福島さんにも飛び入りで参加頂きましたし、今回も、一人でも多い政治家の方に参加いただいて、たくさんの市民の方に耳を傾けていただいて。

今度、鹿児島の2区で選挙があります。徳田虎雄さんの息子さん(徳田毅氏)が衆議院を辞められたので、4月27日に補選が行なわれます。そこで候補を出そうと思っています。とにかく安倍政権のやっていることにノーだろ、無茶やり過ぎだろうと。鹿児島2区という土地柄に、それは関係ないだろうという意見もありますが、十分に関係あるんです。たとえば集団的自衛権に関しても関係があります。奄美群島に自衛隊を配備するよということになってくれば、思い切り関係ある話ですよ。
他にも政権の暴走…川内原発再稼働の話もあります。先日の九州電力のシミュレーションをご覧になった方はわかると思うんですけど、桜島が噴火したら、九州のほとんどの地域に火砕流がやってくるのに、川内原発の周りだけ火砕流が来ないことになってるんですよ。神でも宿ってるんですかね?…(通訳の方を向いて)また長くなりましたね(笑)ありがとうございました。
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ー福島議員から「安倍政権は戦後政治の否定をしようとしている」とおっしゃいましたが、私からすれば、これはむしろ戦後政治そのものの姿ではないかなと思います。三島由紀夫は「自衛隊は違憲だ」と言っていましたけれども、現行憲法を厳密によく考えてみれば、軍隊は持ってはいけないとなっていますから、「自衛隊は軍隊じゃありません」と言い続けてずっときた、それが戦後政治の姿で、安倍総理が解釈改憲をしようとしているのも戦後政治の姿そのものだなと思います。
ロシアにしても北朝鮮にしても中国にしても、我が国の周辺は戦前くらいかなり危険な要素を孕んでいます。個別的自衛権も当然ですが、やはり集団的自衛権も、やむを得ず解釈改憲を認めざるをえないのではないでしょうか。


福島:やはり今の日本国憲法から集団的自衛権の行使はどんな解釈をしても導くことはできないと考えています。とりわけ自民党政権下における解釈でも、集団的自衛権の行使はできないとされてきたので、今も取りえないと考えています。ソビエトの脅威が言われていた時期もそうでした。日本が攻められる場合は個別的自衛権があるわけですし、やはり集団的自衛権を認める必要はないと考えています。

ー1947年、現行憲法が書かれた時には、自衛隊は念頭になかったのではないか。自衛隊そのものが違憲ではないか、事実上軍隊に当たると考えるひともいる。社会党も90年代まではそういう立場をとってきた。自衛隊そのものを軍だ、違憲だと認めるのでしょうか。

福島:社民党の中で社民党宣言を作ったときに随分議論をしました。周辺事態で自衛隊が外国に行っていることは違憲状態であるが、自衛隊そのものが違憲かどうか、それは結論を出していません。今は自衛隊が違憲かどうかがポイントではなく、集団的自衛権の行使を解釈が認めることに問題ありということで、明文改憲をやるべきだとしている人の中にも反対だと言っている、自衛隊を違憲と考えようが合憲と考えようが、解釈改憲は問題だ、という人達とできるだけ手を結びたいと考えています。

ー集団的自衛権の行使の賛成派・反対派の議論が噛み合っていないように思います。安全保障の環境が以前と変わり、解釈を変える必要があるんだ、「憲法守って国を守れなくていいのか」というのが、変更賛成派の人達。つまり、憲法よりも安全保障なんだというのが賛成派。一方、安全保障ではなく憲法が大事なんだというのが賛成派。それぞれちゃんと説明しなければならないのではないか。
もし、小学生や中学生になぜ憲法が大事なのかと聞かれたら、何と答えますか。


福島:憲法は国家権力をしばるものです、と。

憲法尊重・擁護義務は国務大臣、裁判官、公務員、天皇、摂政にかかってるわけで、"憲法を守れ、安倍総理"、と。総理大臣だって自分の勝手にはできなくて、憲法に従わなければならない。国家権力が戦争をしたい、あの人けしからんから逮捕したい、あいつの表現の自由は認めたくないと思っても、それはできないですよと。国家権力を縛るものが憲法だから、今の日本国憲法では、海外での武力行使はできませんよとしているわけだから、安倍さんがいくら最高権力者でも、いくら必要性があると思ったとしても、憲法には従わなければならない。

最高権力者、国家権力が、オールマイティーでなんでもできる、という世の中だったら、それは専制君主でしょ。基本的人権なんて保証できないでしょと。基本的人権なんて保証されないでしょ、と。これでどうでしょうか。

やはり安倍内閣は、自分たちを縛っている鎖を一挙に、ばっと外そうとしているのだと思います。

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山本:中学生にですか…。そうですね、憲法っていきなり言っちゃうと難しいと思うんですが、僕でも理解できたので中学生にも理解できると思うんですけれども、今まで起こった事故と照らし合わせながら話していきたいと思います。

例えば、この国には地震が多いよねって。この国には原発があるけど、危ないと言われるのはなぜ?中には放射能が入ってるんだよ。でも、放射能は五重の壁に守られているから安全だって言われてきたよ。でも、それが壊れたのが福島原発事故、今も止まってない。放射能が漏れ続けているよ。空に、海に。

この国の権力者は、これからもたくさんの地震があるって考えられているのに、原発をまだまだ続けようとしているんだよ。エネルギーは足りているのに。

でもね、僕たちには、ひとりひとり、健康で安全に暮らせる権利が与えられているんだ。それを約束したのが憲法なんだよ。そして、この暴走する権力者を止めることができるのも憲法なんだよ。だからこの憲法は大事なんだよ。

これは被曝の問題で1キロあたり100ベクレルの話にもつなげていけると思うんです。
原発の敷地内から出る低レベル放射性廃棄物だよ。それを事故があった後、国民に食べていいって言い出しているんだ。それを安全って言っているのは、この国の権力を持った人達なんだよって。考えてみて。
同盟国のアメリカはどう?2011年に日本製の農産物8件を輸入停止にしたんだ。でも、2013年、2年経って、それを14件まで広げたんだよ。この意味、わかるよね?

国民の命、健康、安全を守るという考え、そういうもののリスクと経済を天秤にかけて、経済を取ってしまうような権力者を縛るものが憲法でもあるんだよ。でも、たまたま今の権力者は、その憲法もひっくり返そうとしているんだよ。 わかりますよね。中学生でも。