※この記事は2011年04月08日にBLOGOSで公開されたものです

　石原都政１２年間には実現していないが、お台場カジノ構想、お台場でのＦ１レース開催、銀座でカーチェイスの映画撮影ができる環境づくりなど、夢のあるエンターテイメント政策が掲げられていた。こうした独自政策は、選挙において“争点”になりにくいことから、あまり紹介されることはない。しかし、なかには目からうろこが落ちるような斬新な政策がある。そんな政策は都民にどんなメリットをもたらしてくれるのだろうか？　未曾有の大震災による危機を跳ね返し、次世代の東京を創造する可能性を秘めた政策にはどんなものがあるか、見ていきたい――


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　４月２日、若者が行き交う秋葉原の街頭にひとりの候補者が現れた。手にタンバリンを持ち、音楽に合わせて踊る奇抜なスタイルで選挙活動をするマック赤坂候補だ。その選挙スタイルが話題を集めているが、マック赤坂候補は社会から排除されている弱者に対してうつ病対策・自殺者対策を真剣に考え、街頭演説で力説している。また、一度失敗した人への再チャレンジできる社会づくりも提唱。実は単なる派手なパフォーマンス候補者ではない。

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　選挙ポスターや選挙公報に「攘夷」と大きな文字で主張を鮮明にしている古川圭吾候補も派手なパフォーマンス候補とのイメージが先行している。実際、掲げている政策には“東京都の土地を、外国人が買えないように法制報整備する”とあり、タカ派の国粋主義者のように映る。ところが古川候補はカンボジアで働いていたときに諸外国には外国人土地取得規制があることが知り、そこから日本でも同様に土地取得制限の必要性を感じたという。古川候補が単なるタカ派の国粋主義者ではないことは、海外法人の東京進出は東京にとってもメリットがあるので進出したい海外法人には割安で土地を貸すような長期賃貸制度を創設することも謳っている点だ。外国人の土地取得規制は、外国人排斥を目的としているわけではないと説明する。

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　渡邉美樹候補も海外の法人対策を掲げている。グローバル化するビジネス界において、アジアの拠点としてポテンシャルを上げるために東京を経済特区にして法人税を減税。どんどん東京に海外法人を呼び込む環境整備を提案している。

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　グローバル化を意識しているのはなにも経済政策ばかりではない。谷山雄二朗候補は幼いころに海外生活をしており、そのときに受けた外国人差別や外国人に日本人が委縮してしまうことを身をもって感じた。そうした経験から、海外でも戦える人材の教育をする都立インターナショナルスクールを１０校開校させることを公約している。リンク先を見る

　東国原英夫候補も海外を意識した政策を掲げている。東国原候補は宮崎県知事時代に宮崎ブランドを全国区にした実績を持つ。観光庁の統計では日本全体で年間８６０万人の訪日外国人観光客を東京だけで年間１０００万人にし、観光産業を振興することに奮起している。

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　経済活性化を別角度から訴えているのは雄上統候補だ。カリフォルニア在住時に赤信号でも安全を確認できれば自動車は右折できることに驚いた雄上候補は、渋滞による経済損失を憂う。渋滞を解消することで物流がスムーズになり、経済が活性化するという。また、雄上候補は食料品の消費税を廃止することで庶民の生活を向上させて経済活性化を図る政策も主張している。

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　杉田健候補は医療や介護、教育といった労力のわりに賃金が低い労働従事者にワンコイン程度の現金を直接給付して労働意欲の向上を図るというワンコインサポート制度を提唱する。ワンコインサポート制度を導入することで行政の事務作業は増えることになるが、行政が実質的に労務管理をすることになるので、サービス残業廃止にもつながるとのこと。そのほか杉田候補は、ＥＵで規制されている電磁波が日本ではいっさい調査がされていない実態についても行政が基準値を作成するか、もしくは法整備を検討するために動かなくてはならないと声を大にする。

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　労働者の雇用安定が経済を活性化させると訴える小池晃候補は、雇用創出のために約２４４兆円あると試算されている企業の内部留保に着目。これらを使って雇用が増えれば、景気刺激にもなる。また、小池候補は東京都内には東京ドーム１３０個分の国有地が塩漬けになっていることを行政のムダと指摘し、経済の活性化のために有効活用を検討するという。

リンク先を見る　行政のムダ削減でユニークな政策を掲げているのが姫治けんじ候補だ。姫治候補は建物管理の仕事をしている経験から、行政のゴミの分基準があいまいであることを指摘し、ゴミ分別に都民に多大なストレスを与え、行政不信を招く原因になっているという。また、基準があいまいであることからリサイクルがうまく進まず、環境行政にムダが生じてしまうことも問題視。ほかにも姫冶候補は東京スカイツリーの周辺は東京大空襲で１０万人の戦災者が出た地域であり、この地に慰霊堂を建設して恒久平和・戦争反対の施設を建設する政策を掲げている。

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　――選挙に当選するには地盤・看板・鞄が必要だといわれるが、各候補の独自政策を見てみると、斬新な視点やこれまでに培った経験やスキルで東京を発展させようという意気ごみが伝わって来る。しかし、立候補者全１１人のうち、都知事になれるのは１人しかいない。果たして、今後の４年間のリーダーにもっともふさわしい人に都民は誰を選ぶのか？　４月１０日、その審判が下る。

（寄稿：小川裕夫）

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