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「旅先で旨いものを食べたければ、タクシードライバーに聞くのが一番」と言います。今回は、B級グルメに精通する現役タクシー運転手・荒川治さんが、前回に引き続き、東京・板橋区の二郎系ラーメンをご案内します。

 ラーメン二郎や二郎系ラーメンと言えば、「二郎はラーメンではなく二郎という食べ物」なんて言葉もあるように、その唯一無二の味わいに魅せられた“ジロリアン”と呼ばれる熱狂的なファンに愛されるラーメンです。かくいう私も二郎の大ファンであり、また二郎だけでなく二郎系ラーメンと呼ばれるお店を食べ歩くのが生きがい。ちなみに私の人生の中で最も好きな二郎系ラーメンは、大山にある『自家製麺No11』です。

 さて今回は、2021年7月にオープンした西台『ラーメン緑山(みどりやま)』にご案内したいと思います。ここの味は『自家製麺No11』に近い系統で、初来店で好きになり、何度も通っています。場所は都営三田線の西台駅から徒歩15分ほど。やや不便な場所にもかかわらず、いつも行列ができている人気店。聞くところでは、オーナーは駒沢や登戸で大人気のラーメン店『蓮爾(はすみ)』のご出身のようです。

 さて、こちらのラーメンのラインナップは3つ。ノーマルの「ラーメン」(790円)。それに玉ねぎと魚粉を入れた「たまラーメン」(890円)、エビ油入りの「エビラーメン」(990円)。そして、それぞれの“つけ麺バージョン”もあります。

券売機に手書きの説明が貼ってあります

 基本の「ラーメン」は麺量が350g。少なめ250g、半分175gのオーダーもできますし、麺をガッツリ食べたい人は、100円の大盛り券で500gにすることも可能です。私が訪れた時は、ノーマルの「ラーメン」少なめ(760円)で、コールはニンニク、背脂、野菜ちょい増しにしました。

 ちなみに店内は、二郎系とは思えないお洒落なカフェ風。デートにも使えそうな雰囲気です。待つことしばし。供されたのがこちら。

「ラーメン」少なめ。ニンニク、背脂、野菜ちょい増し

 野菜ちょいマシなので、思いのほか上品な量。もやしとキャベツの比率が7:3のクタクタ系なので、ここは野菜マシマシでもいいかもしれませんね。豚はひと口サイズのバラ豚で、口に入れても豚の繊維が気にならない絶妙な柔らかさ。

豚はひと口サイズのバラ豚

 そして味を左右する最も重要な要素の一つ、スープ。見た目は乳化を超えた“ド乳化”ですが、ひと口すすってみると意外とクドくなく、クリーミーで穏やかな味わいです。正直言って、この味は私にはどストライクでした。

コク深いクリーミーなスープ

 そしてこのお店の一番の美味しさの決め手は、やっぱり自家製麺です。ワシワシ、ゴワゴワの太麺で、この濃厚スープと相性がめちゃくちゃ良いんですよ。

自家製の太麺がめちゃくちゃ美味しい!

 食べ終わってから家に帰るまで、口の中に残る旨味が心地よく、幸せな気分になれました。みなさんもぜひ食べに行ってみてください。

(撮影◎荒川治 文◎土原亜子)

●プロフィール

荒川 治
東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。

●SHOP INFO

店名:ラーメン緑山

住:東京都板橋区西台2-39-5
営:11:00~14:00
  17:00~20:00
休:月・水