移住先として人気の高い静岡県。「認定NPO法人ふるさと回帰支援センター」が窓口相談者に対して行った移住希望地アンケートでも、2020~2021年の2年連続で第1位に選ばれているほどです。今回は、静岡県の特徴と魅力、県が行う移住支援、移住する際の注意点などを解説します。ぜひ参考にしてください。

参考:2021年移住希望地域ランキング|認定NPO法人ふるさと回帰支援センター

静岡県の基本情報

静岡県は太平洋側に面する本州のほぼ真ん中に位置します。公式サイトを参考に、人口や気候などの情報を紹介しましょう。

人口
2022(令和4)年3月1日時点での人口は、県全体で359万3,524人。うち、男性は177万592人、女性は182万2,932人です。最も人口が多い自治体は浜松市(78万4,676人)、次いで県庁所在地の静岡市(68万5,968人)、富士市(24万3,440人)の順となっています。

出典:令和4年3月市区町別推計人口|静岡県公式ホームページ

住民税
2022年4月現在、静岡県の住民税は以下のとおりです。

・県民税
 均等割:1,900円(標準税率1,500円+超過税率400円)
 所得割:課税所得金額の4%(静岡市と浜松市は2%)

・市町村民税
 均等割:3,500円
 所得割:課税所得金額の6%(静岡市と浜松市は8%)

県民税均等割の超過税率400円は、森林の保全を目的とした「森林(もり)づくり県民税」です。

なお、県民税・市町村民税の均等割には、「東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律」により、2023(令和5)年度まで500円が加算されています。

また、地方分権一括法により、2018(平成30)年度から政令指定都市のみ所得割の税率が変更されました。

出典:県民税|静岡県公式ホームページ
出典:個人市民税|静岡市

気候
県北部の山岳地帯をのぞけば、全体的に温暖な海洋性気候です。四季の変化ははっきりとしていますが、平均気温は16~18度ほどで比較的過ごしやすいといえるでしょう。平地では雪が積もることはほとんどありません。ただし、地域によっては4~9月の夜間早朝に大雨が発生することがあります。

出典:気候|静岡県公式ホームページ

静岡県の魅力

ここからは、移住希望先として人気の高い静岡県の魅力に迫ります。

暮らしやすい
静岡県は、年代や職業の構成比、物価、世帯当たりの消費支出など、さまざまなデータにおいて平均的な県です。マーケティングの世界では「日本の縮図」と呼ばれ、新製品を全国展開する前に静岡県で販売テストを行うケースが多いといわれています。平均的な県であるという性質から、どの地域からの移住者にもなじみやすいといえるでしょう。

豊かな自然
山・川・湖・海・鍾乳洞など、豊かな自然が魅力の県です。世界文化遺産に登録された富士山を筆頭に数多くの観光スポットがあり、休日のアクティビティには事欠きません。

国立公園や県立自然公園など大規模な公園も多数あるため、子どもがいるファミリー層にもおすすめです。穏やかな気候ながら四季の移り変わりがはっきりしているため、季節ごとの自然の美しさも楽しめます。

コンパクトシティな都市部
コンパクトシティとは、交通や商業施設などの生活機能と居住地が近くに集められた効率的な都市のことをいいます。

たとえば、県庁所在地の静岡市は、南アルプスの南端から駿河湾沿岸までの広大な面積を誇る自治体です。しかしながら、静岡駅周辺には行政機関や商業施設、宅地がまとまり、コンパクトに市街地が形成されています。2018(平成30)年には、静岡市に隣接する藤枝市も地方再生のモデル都市(※)に選ばれています。

※地方再生のモデル都市に選ばれると、公園や緑地事業などの社会資本の整備や街づくりのための支援を受けられ、全国のモデル事例になるような整備が進められます。

参考:地方再生のモデル都市|国土交通省

東京にも通勤可能
日本のほぼ中央に位置する静岡県は、首都圏や中京圏へアクセスしやすいというメリットがあります。たとえば静岡市から車で移動するなら、高速道路の利用で東京・名古屋まで2時間強。大阪へも4時間ほどでアクセスできます。

新幹線を利用するなら、東京まで1時間程度です。ちなみに、新幹線の停車駅は県内に6ヶ所(熱海・三島・新富士・静岡・掛川・浜松)あり、熱海や三島から東京駅までは1時間もかかりません。住む場所によっては、東京への通勤・通学も十分可能といえるでしょう。

子育て支援が充実している
静岡県では妊婦や子育て中の世帯を対象に、「しずおか子育て優待カード事業」を行っています。これは、県内の協賛店舗や施設で優待カードを提示すると割引などのサービスが受けられるという、子育て支援事業の一つです。

さらに、各市区町村でも独自の子育て支援を行っています。代表的なものには、18歳以下の子どもが病院を受診した際に医療費の自己負担分の一部を補助する「こども医療費助成」や、私立幼稚園の入園料・保育料を補助する「就園奨励費補助金」などがあげられます。

静岡県の子育て情報や支援制度については、子育て支援ポータルサイト「ふじさんっこ子育てナビ」に詳しく紹介されていますので、ぜひチェックしてみてください。

参考:ふじさんっこ子育てナビ

静岡県が行っている移住支援

静岡県と各自治体が行う移住支援制度の一部を紹介します。

・静岡県移住・就業支援金制度
東京圏から移住して起業・就業・テレワーク継続などを行う人に、最大100万円を支給

・富士宮市:富士宮市移住・定住奨励金
県外から移住して住宅を取得・賃借した世帯に、最大180万円の奨励金を支給(年齢の制限あり)

・静岡市:中山間地域移住報奨金
「中山間地域空き家情報バンク」を通して対象地域に移住した人に、最大100万円の報奨金

・浜松市:ハマライフ住宅取得費等補助金
市外から移住した人の住宅取得費用(購入・改修・賃貸など)を最大100万円まで補助

上記のほかにも自治体それぞれに、移住者に対して独自の支援を行っています。静岡県移住・定住情報サイト「ゆとりすと静岡」に情報がまとめられているので、参考にしてみてください。

参考:静岡県公式移住・定住情報サイト ゆとりすと静岡

静岡県に移住するときの注意点

暮らしやすいとされる静岡県ですが、生活するうえで注意すべき点がないわけではありません。ここでは、静岡県に移住する際の注意点を解説します。

東海地震の発生が懸念される
地震や台風など自然災害の可能性は全国どこの地域にもありますが、静岡県では東海地震(南海トラフ地震)がいつ発生してもおかしくないといわれています。

県全域が「南海トラフ地震防災対策推進地域」に、沿岸部21市町が「南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域」に指定されていることからも、その切迫度が伝わるのではないでしょうか。

さらに18市町は「首都直下地震緊急対策区域」に指定されています。災害の備えを強化するのはもちろん、ハザードマップなどを確認してから移住先を決めるとよいでしょう。

人口が減少している
県全体で人口減少傾向にありますが、特に都市部での人口減少が加速しています。2020年10月からの1年間で最も人口が減ったのが、県庁所在地であり政令指定都市でもある静岡市でした。

人口減少の弊害はいくつもありますが、特に大きな問題といえば空き家の増加でしょう。放置されて老朽化した空き家には倒壊や放火などの危険性があり、全国的な社会問題になっています。

ただ、このような空き家問題を解決するために、静岡県では転居費用の一部補助などを行っているため、移住費用の節約ができることは大きなメリットでしょう。好みに合う空き家が見つかれば、よりお得に移住できるかもしれません。

※参考:あなたの静岡新聞「加速する人口減少 静岡県の施策は?」

車がないと不便
都会と違って静岡県では車がないと生活に不便です。主要駅周辺はそれほど困ることはありませんが、小さな駅ではバスの本数も少なく、帰宅が夜遅くなった場合はタクシーを利用するしかありません。

そのため、家族一人一人が自分用の車を持つことが一般的です。買い物やレジャーにも車があったほうが便利であるため、運転免許を取得しておくことをおすすめします。

まとめ

静岡県は温暖な気候で暮らしやすいといわれています。豊かな自然に恵まれつつも、大型商業施設や美術館・博物館なども多く、東京・名古屋にアクセスしやすい便利な県です。

単身者にも子育て世帯にもおすすめの移住先ですが、快適に生活するには車を準備したほうがよいでしょう。移住支援制度を利用して移住にかかる費用負担を軽減させるなど、今回紹介した情報をぜひ役立ててください。