部屋に突然現れるアダンソンハエトリ 出会ったらどう対処すればいい?
自宅では、突然小さな蜘蛛に遭遇する場合もあります。蜘蛛にはいろいろな種類がありますが、特に自宅に発生しやすい蜘蛛はアダンソンハエトリです。この記事では、アダンソンハエトリの概要を説明したうえで、追い出し方や発生しないようにするための予防法を紹介します。
アダンソンハエトリはどんな蜘蛛?
そもそもアダンソンハエトリとは、どんな蜘蛛なのでしょうか。ここでは、アダンソンハエトリの概要を解説します。
アダンソンハエトリとは?
アダンソンハエトリは、ハエトリグモの一種です。ハエトリグモ科のオビジロハエトリグモ属に分類されており、体長は5~9ミリ程度。昼間に活動しますが、とても小さいため気付きにくいです。主に室内に生息していて人に慣れているため、机や壁の上を這っているところを目にするケースがあります。アダンソンハエトリは、日本をはじめとして世界中に生息しています。
オスとメスの違いがはっきりしている
アダンソンハエトリは、オスとメスで特徴が異なります。そのため、それぞれをはっきり区別することが可能です。このような特性は「性的二型(せいてきにけい)」と呼ばれています。
オスは全体が黒色ですが、白い帯状の模様があります。一方、メスは全体が茶色で模様はほとんど見えません。オスとメスが一緒にいる場合、メスの周囲をオスが徘徊していることもあります。これは、アダンソンハエトリの求愛行動だと考えられています。
アダンソンハエトリの名前の由来
アダンソンハエトリという名前は、フランス人の博物学者であるミシェル・アダンソンに対する献名として付けられました。献名とは、生物に名前を付ける際に人の名前をもとにすることです。
アダンソンハエトリと命名したのは、フランスの昆虫・鳥類学者であるビクトル・オードワンです。そのため、名前の由来となったミシェル・アダンソンは、直接アダンソンハエトリと深い関わりがあるわけではありません。
アダンソンハエトリは益虫
蜘蛛は、一般的に人へ利益をもたらす益虫と捉えられています。アダンソンハエトリも例外ではありません。ここでは、アダンソンハエトリが益虫である理由を解説します。
アダンソンハエトリは巣を作らない
蜘蛛は糸を出して巣を作るため、それを嫌がる人が多くいます。しかし、アダンソンハエトリは徘徊性の蜘蛛であり、基本的には巣を作りません。ほかの蜘蛛と同じく糸を出せますが、巣を作るためではなく移動時の命綱として活用しています。
ただし、アダンソンハエトリも、時期によっては巣を作る場合があります。巣を作るのは、産卵のためです。よって、巣を作るのは基本的にメスですが、オスも巣を作るケースがあります。アダンソンハエトリが産卵のために作る巣は、袋状になっているのが大きな特徴です。ほかの蜘蛛のように大きな巣を作るわけではないため、あまり気にならない人が多いでしょう。
害虫を食べてくれる
名前に「ハエトリ」と入っているように、アダンソンハエトリは害虫を食べてくれます。ハエだけでなく、ゴキブリの幼虫やダニ、蚊、蛾なども食べることがわかっています。動いている小さなものを捕まえようとするため、室内に害虫がいればどんどん食べてくれるでしょう。幼虫の頃から虫を捕まるスキルを学び、成虫になれば効率的に捕獲できるようになります。
蜘蛛の1日あたりの食事量は、体重の10%程度です。アダンソンハエトリはとても小さい蜘蛛ですが、毎日たくさんの虫を捕獲して食べています。人が悩まされている害虫を駆除する役割を果たすため、アダンソンハエトリは益虫だといえます。
人を噛まない
蜘蛛のなかには、人を噛んだり毒を持っていたりする種類も存在します。そのため、蜘蛛の存在に敏感になっている人もいるかも知れません。
しかし、アダンソンハエトリは人を襲いません。毒も持っていないため、自宅に発生しても大きな問題にはなりません。万が一、自宅でアダンソンハエトリを見つけても、冷静に対処しましょう。
アダンソンハエトリに遭遇したら
アダンソンハエトリは益虫ですが、やはり自宅に発生すれば不快に感じる人がほとんどです。部屋のなかでアダンソンハエトリに遭遇した場合は、焦らずに対処してください。
たとえば、ホウキで誘導し、窓から外へ追い出すのも一つの方法です。ホウキとともにチリトリを使用し、捕まえたうえで外へ逃がしてもいいでしょう。虫が苦手でなるべく簡単に対処したい場合は、蜘蛛を駆除するための薬剤を使用しても構いません。ホームセンターで専用の商品を購入してください。
アダンソンハエトリは毒を持っていないものの、蜘蛛のなかには毒を持つものもいます。アダンソンハエトリと勘違いして放置しているとトラブルに発展する恐れもあるため、蜘蛛を見つけたら早めに対処するのがおすすめです。
アダンソンハエトリを寄せ付けない家にするには
アダンソンハエトリが益虫だと知っていても、虫が苦手な人はなるべく自宅に寄せ付けたくないでしょう。その場合は、アダンソンハエトリを寄せ付けない家を目指す必要があります。ここでは、その方法を紹介します。
餌となる虫を駆除する
アダンソンハエトリの餌は、さまざまな害虫です。すでに触れたとおり、ハエやゴキブリ、蚊、ダニなどを食べます。そのため、これらの害虫が自宅に多くいれば、アダンソンハエトリも発生しやすくなるでしょう。アダンソンハエトリを寄せ付けないようにするには、餌となる害虫をしっかり駆除しておくことが大切です。害虫を駆除するためには、燻煙剤や毒餌剤、捕獲器などさまざまなものを活用できます。
もともと害虫が多く発生していると、自宅の建物や家族にも少なからず影響が出る恐れがあります。害虫と益虫のいずれも寄ってこないよう日頃からしっかり対策をとり、快適に過ごせる室内を維持しましょう。
家を清潔に保つ
アダンソンハエトリの餌となる害虫は、不衛生な家に寄ってきます。ホコリやゴミなどが多く溜まっていると、害虫にとっては餌になります。特に、生ゴミが溜まっていたり水回りが汚れていたりすれば、ハエ、ゴキブリ、蚊、ダニなどの害虫がどんどん寄ってくるでしょう。害虫を寄せ付けないようにするには、家を常に清潔な状態に保っておかなければなりません。
室内をこまめに掃除し、ホコリやゴミが溜まらないように気をつけましょう。家が不衛生な状態になっていると害虫が集まりやすいだけでなく、家族の健康にも悪影響をもたらす可能性があります。家族が安心して過ごせる環境を維持するためには、日頃の掃除に力を入れましょう。
ハーブなどの蜘蛛が苦手な匂いを利用する
アダンソンハエトリに限らず、蜘蛛はハーブや柑橘系などの匂いを苦手としています。そのため、ハーブや柑橘系の匂いがする家には、蜘蛛が寄ってきにくくなります。蜘蛛の出入り口になる窓やドアにこれらの匂いを付けておけば、アダンソンハエトリの侵入も防げます。アロマオイル、ハッカ油、スプレーなどを活用し、匂いを付けましょう。アロマディフューザーを使用し、室内の全体に匂いを充満させるのも効果的です。
専用の虫除け剤も市販されていますが、ペットや子どもへの影響を心配している人もいるはずです。アロマオイルやハッカ油、スプレーなどであれば、より安心して使用できます。単なる虫除けとしてだけでなく、部屋の雰囲気を高めるうえでもおすすめです。
まとめ
室内で蜘蛛を見かけた場合、虫が苦手な人は驚いてしまうでしょう。ですが、アダンソンハエトリは益虫であり、人に対して害はもたらしません。どうしても苦手なら薬剤を使用して駆除する方法もありますが、基本的には誘導して外へ逃がすようにしてください。蜘蛛を寄せ付けないための対策も取り入れると、アダンソンハエトリの発生により不快な思いをすることはなくなるでしょう。