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 秋田県のご当地グルメといえば、『横手やきそば』や『稲庭うどん』、『きりたんぽ』など。どれも美味しいものばかりです。ですが、有名グルメだけでなく『地元民から愛される、地元民のソウルフード』というのも気になりません?

 そこで、秋田県横手市在住の友人にオススメのお店を尋ねると、「昔ながらの、懐かしい味が楽しめるパン屋があるよ」との情報をゲット! さっそく向かったのは、横手駅より徒歩5分ほどのところにある『パン工房かつた』です。

昭和7年創業の店内。奥にはイートインスペースも

 お店に行ったのは土曜日の14時頃。なんとすでにパンは完売状態でした。土曜・祝日は売り切れ必至のため、早い時間に行くか先に電話で確認するのがオススメです。今回は事前に連絡しておいたので、人気No.1の「カツパン」「シューパン」にありつけました。

 ちなみに、以前NHKの番組『家族に乾杯』で収録中だった笑福亭鶴瓶さん、浅野ゆう子さんが通りがかり、店前で大判焼きを振る舞った事で急遽取材されたそうです。

秋田県民に愛される老舗の味とは?

人気No.1の(左)「カツパン」、(右)「シューパン」

 知人曰く、「安くて美味い、あの味はいつまでも忘れられない」とのこと。創業以来、市内高校の購買部やスーパーのパン売り場でも販売をしているそうで、いわば地元の方のソウルフード。チェーン店やコンビニでは体験できない味にワクワク。早速オススメされていたパンをいただきます!

「カツパン」200円

 惣菜パン部門No.1の「カツパン」は、200円でもどっしりとしたボリューム感があります。高校の購買だったら即完売しそう。ソースの香りが食欲を刺激してきます。

 ひとくち食べてみると、しっかりした肉厚なカツと、ソースの染み込んだキャベツが相性抜群! パンは表面がさっくり中はしっとりで食べ応えがあります。ソースはウスターと中濃のブレンドだそうで、パンチのある味わいです。でもジャンクな感じではなく、どこか優しい味を感じます。くどさも感じず、ペロリと完食。

「シューパン」160円

 続いて菓子パン部門人気No.1の『シューパン』をいただきます。上半分にチョコレートのコーティングがされ、バタークリームがサンドされた一品です。

 ひとくち食べてみると、少し硬めのサクッと食感! 表面はカステラ生地で作っているそうで、他では食べたことのない味わいです。バタークリームのコクのある甘さとチョコレートの風味で口の中に幸せが広がります。しつこさのない甘さなので、カロリーを忘れてパクパク食べちゃいます。

昭和の味を守り続ける、店長のこだわりとは?

イートインスペース。コーヒーなどドリンクメニューも有ります(食楽web)

 あまりの美味しさに感動したので、現在3代目となる店長さんにお話をお伺いすることにしました。

「別に、うちのパンが特別美味しいなんて思ってないですよ(笑)」と開口一番に話す3代目店長。

「ただ、ウチのパンって創業以来レシピが変わっていないんです。世の中いっぱい美味しいものがありますが、昭和の懐かしい味わい、おふくろの味みたいなものを守る事に価値があると思っています。子供の頃から通ってくれたお客さんが、社会人になってから来ると『うわ!懐かしい味!!』とか『これ昔めっちゃ食べた!』みたいに驚いてくれたり喜んでくれたりする反応が見れると、嬉しいですよね。」(3代目店長)

 今では大量生産品がどこでも買える時代の中で、変わらず昭和の味を作り続けるそのこだわりが、人気の秘訣だと感じました。また、パンは添加物不使用で、材料はなるべく秋田県産のものを使うようにしているなど、食の安全にも配慮されているそうです。ちなみに、土曜・祝日は売り切れも多いので、オススメは平日の日中です。また、取り置きを10個以上注文する場合は前日までの連絡が確実です。

「子供のころ、よく母親がおやつにパンを作ってくれたんです。その時の味というか、愛情みたいなのをお客さんも感じてくれたらなと思います。」

 懐かしくて、どこか優しい味がしていたのは、そんな店長の想いがあったからかもしれませんね。色々な味に食べ疲れてしまった方、昔ながらの味にホッとしたい方は、懐かしいが新鮮な『パン工房かつた』に是非訪れてみてはいかがでしょうか。

(撮影・文◎平あきら)

●SHOP INFO

店名:パン工房かつた

住:秋田県横手市寿町7-20
TEL:0182-32-2860
営:7:00~19:00
休:日曜(※日曜以外も休む場合もあるため、事前に電話確認がオススメ)