外国に比べてモノの値段が上がらないと言われて久しい日本経済ですが、昨年2021年の後半ごろから様子が一変しました。毎日のように何かしらの値上げが報じられるようになり、実際に買い物に行くと値上げラッシュを実感することも増えたと思います。車で出かければガソリン価格の高騰を体感し、水道光熱費の明細を見ても想像以上に高いと感じることもあるでしょう。このような時代に私たちはどのようにして家計防衛すればいいのでしょうか?

なぜ値上げラッシュが起きているのか?

そもそも、なぜ値上げラッシュが起きているのでしょうか?

その理由はいくつもあります。コロナ禍においては感染拡大を防ぐべく海外では都市封鎖(ロックダウン)などの施策により需要を抑制しましたが、その後に経済活動を再稼働した際に抑制していた反動で一気に需要が膨らみました。日本では都市封鎖はしませんでしたが、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置によって、消費活動や工場などでの生産活動が抑制されたことは記憶に新しいでしょう。

しかし、コロナ禍の影響により人手不足や物流網の混乱などによる供給制約や、コロナ前から生じていたコンテナ不足などもあり、需給が逼迫したことでモノの値段が上昇しました。また、原油をはじめとするエネルギー価格の高騰が重なりました。ロシアのウクライナ侵攻によって、エネルギー価格は更に上昇しています。そして、日本においては日米の金融政策の違いによる金利差の拡大や、貿易赤字が主導する経常赤字などの影響もあって円安が進行し、その結果として輸入価格が上昇することで更にインフレ圧力が高まるという個別要因もありました。

このように様々なインフレ圧力を受けながらも、日本の企業はなるべく価格転嫁しないように企業努力をしてきたわけですが、さすがに限界がきたために遂に価格転嫁をはじめたのです。また、連日のように値上げ報道が続いたことによって、消費者側も値上げを織り込み始めたことで、企業にとっては値上げをしやすい環境が整ったことも影響しているでしょう。

値上げラッシュが家計にとって厳しい理由

現在の値上げラッシュが家計に厳しい理由は、私たちの給与が上がらないことにあります。極端な話をすれば、1年間で物価が2%上がったとしても、たとえば給与が5%上がっているのであれば、実質的にはインフレによる家計へのダメージは限定的なものとなります。厚生労働省が発表している「令和2年版 厚生労働白書」のデータを見てみると、1991年の1世帯あたり平均所得(世帯規模と物価の影響を調整した等価・実質)は368.7万円、2018年は346.0万円ですから、この30年近くで私たちの給与は全く上昇していないことが分かります。

下図表は総務省が発表している消費者物価指数のデータの中で、基礎的支出項目と選択的支出項目の物価変動をグラフにしたものです。

簡単な言葉で言い換えれば、基礎的支出項目は生活必需品、選択的支出項目は贅沢品となるでしょう。贅沢品の価格が上昇しているなら買い控えればいいのですが、生活必需品の値上がりは買い控えで回避することができないため、給与が上がらない現状だと家計に大きなダメージを与えることになるのです。

やれることは限られている

それでは、私たちの家計はどのようにしてインフレ環境に対処すればよいのでしょうか。残念ながら、給与が上がらない以上はやれることは限られています。給与が上がらないとしても、副業や兼業が認められているのであれば、収入源を増やすことは可能です。よくこの話をすると投資を連想する方もいるのですが、投資は必ず利益が出るわけではありませんから、この観点からはふさわしい行動ではありません。

筆者の周りでは、本業の会社員としての仕事は続けながら、趣味として長年やってきたことを副業にして毎月数万円を稼いでいるという知人もいます。決して大きな金額ではありませんが、多少は生活費の足しになりますし、趣味の延長でやっているため、苦労をしているという感覚はないようです。

副業や兼業が禁止されている場合は、王道ですが家計の見直しをするしかないでしょう。無駄遣いなんてしていないから家計の見直しは難しいという方もいるかもしれませんが、改めて確認してみることを勧めます。筆者は先日スマホの機種変更をした際に契約内容も見直したのですが、過去に自動引き落としにしていたコンテンツ課金を1つ発見し、毎月300円ですが無駄な出費を削ることが出来ました。

筆者が偶然気付いた防衛策

意外と家計防衛になるなと感じたことがあります。それは筋トレとダイエットです。筆者は年初から筋トレとダイエットを始めました。データを取りながら科学的に実践したため、そこまで苦痛なく、筋肉をそこまで落とさずに3ヶ月で15kg近く落とすことが出来ました。

5kmぐらいなら走って移動、10kmぐらいであれば自転車で移動をします。食事も鶏肉のなかでも単価が安いササミ肉や、野菜も現況下で値段が上がっていないブロッコリーを塩で味付けして食べています。その結果、ガソリン価格の上昇や、小麦価格、食用油の値上がりの影響は一切受けていません。

よくある食べずに痩せようとするダイエットではなく、しっかりと十分な運動をしつつ食事制限をして体重を落としているため、血圧も下がりましたし、心肺機能も強化されました。その結果、健康になることで病院に行く回数も圧倒的に減りました。

健康はお金で買うことはできませんし、健康であることの有難さを実感するようになってからでは時すでに遅しということにもなりかねません。あくまでも筆者個人の意見ではありますが、家計防衛の観点からも筋トレとダイエットをすることをオススメしたいと思います。