地方移住で100万円の支援金がもらえる!? 自治体独自の補助金や助成金も
地方移住を検討するなら、支援制度について調べておくとよいでしょう。国は首都圏から地方への移住を支援するための制度を実施しています。また、移住を支援するために、補助金や助成金を支給している自治体もあります。
今回は、地方移住の支援制度や補助金、助成金について解説していきます。
「移住支援制度」とは?
国や地方自治体は、首都圏から地方への移住を支援するために、支援金や補助金、助成金など、さまざまな制度を実施しています。その目的は、首都圏に人口が一極集中することの回避と、地方における産業の担い手の確保、および後継者不足の解消です。
主な制度には、国による移住や起業、住宅ローンの支援、地方自治体による住宅、就職、就農、起業、結婚、子育て支援などがあります。対象者や支援金の金額は制度によって異なるため、事前に詳細を確認しましょう。
移住支援制度を利用することで、地方での新生活をスムーズにはじめやすくなります。
国が行っている主な地方移住支援制度
ここでは、2022年4月時点で国が行っている主な地方移住支援制度として、地方創生推進交付金(移住支援金)、地方創生推進交付金(起業支援金)、【フラット35】地方移住支援型について紹介します。
地方創生推進交付金(移住支援金)
地方創生推進交付金とは、東京圏への人口集中を抑制し、地方の人口減少に歯止めをかけるために行っている国の支援事業です。
東京圏から地方へ移住して起業や就業、テレワークによる業務継続をした場合、単身者なら60万円以内、2人以上の世帯で100万円以内支援金を受け取れます。対象者は、地方に移住する直前の10年間で通算5年以上かつ直近1年以上、東京23区に在住している人や、東京圏から東京23区へ通勤している人です。
ほかにも次のような条件があります。
・移住した後、移住支援金の申請を3ヶ月以上1年以内に行うこと
・支援金の申請後5年以上、継続して移住先に居住する意思があること
上記を満たしたうえで、移住先の自治体に申請すれば、移住支援金が支給されます。
出典:移住支援金|内閣府地方創生推進事務局
地方創生推進交付金(起業支援金)
地方創生推進交付金の起業支援金は、東京圏以外の地域において社会的事業の起業をした場合に、最大200万円(起業などに必要な経費の2分の1相当額以内)が助成される制度です。
対象となる事業として、子育て支援や買い物弱者支援、地域産品を活用する飲食店に対する支援、まちづくり推進支援などが想定されています。対象事業に該当するかどうかは事前に確認しましょう。起業した地域の都道府県内に居住、または居住する予定であることや、一定の期限までに個人開業届出や法人設立を行うことも条件に含まれます。
なお、起業支援金交付までの流れは、公募開始、申請、審査、交付決定、開業、伴走支援、実績報告、支援金精算払となっています。
出典:起業支援金|内閣府地方創生推進事務局
※「地方創生推進交付金」については、今後制度の内容が変わる可能性があるため、内閣官房・内閣府総合サイトでご確認ください。
【フラット35】地方移住支援型
【フラット35】地方移住支援型とは、地方公共団体による移住支援金とあわせて借入金利を当初10年間引き下げる制度です。制度を利用するためには、地方公共団体が交付する移住支援金の交付決定通知書が必要となります。ただし、地方公共団体が実施する移住支援金を受けるには事前に申し込みが必要なケースが多く、不明点は移住先の地方公共団体に確認しましょう。
また、【フラット35】で住宅購入をするためには、住宅の耐久性などの技術基準や融資条件を満たさなければなりません。移住支援金の交付決定通知書と【フラット35】適合証明書は、借り入れの契約時までに【フラット35】を取り扱っている金融機関に提出します。
【フラット35】地方移住支援型は、2023年3月31日までの申込受付分に適用されます。(2022年4月時点)
出典:【フラット35】地域連携型のご案内|住宅金融支援機構
地方自治体の移住支援や補助金・助成金を紹介!
国だけでなく各地方自治体でも、独自の移住支援を行っています。ここでは、そのような各地方自治体の移住支援、補助金・助成金制度の一部を紹介するので参考にしてください。
住宅支援
多くの自治体では、移住者を対象にした住宅支援を行っています。住宅支援には、住宅建築費やリフォーム費用の補助金、賃貸住宅の家賃補助、空き家改修の奨励金などがあります。
以下に、2021年に実施された住宅支援の例を紹介します。
・北海道三笠市:若者移住定住促進家賃助成事業
・山形県遊佐町:定住住宅取得支援金
・長崎県東彼杵町:空き家活用促進奨励金制度
・秋田県仙北市:若者マイホーム取得助成金
・福島県大玉村:防災行政無線整備事業
など
北海道三笠市や秋田県仙北市のように若者を対象にした支援もあれば、福島県大玉村のように、無線デジタル個別受信機を1世帯につき1台無償で設置してもらえるというユニークな支援もあります。ほかにも、賃貸住宅の家賃の一部を商品券で支給している自治体も存在します。
就職・就農・起業支援
就職や就農、起業など、移住先での仕事探しも重要です。そこで、多くの自治体では就職奨励金や就職活動に対する助成金、空き家や空き店舗を活用した事業に対する補助金などを行っています。また、地元企業への就職や転職、就農に関する相談、研修や講習を行っている自治体もあります。
2021年に実施された就職・就農・起業支援の例は、次の通りです。
・熊本県南関町:就職激励金
・福井県福井市:就活支援事業「週末就活」
・宮崎県都城市:インターンシップ等促進補助金
・北海道津別町:猟銃免許等取得支援補助
・静岡県湖西市:奨学金返還支援補助金
など
一般的な就職支援金だけでなく、猟銃免許等取得支援や奨学金返還支援補助など、地方自治体によって特徴が見られます。
結婚・子育て支援
結婚や子育てに対する支援活動を行っている自治体もあります。支援内容は、結婚出会いサポートや結婚祝贈呈事業、子育て応援手当、出産祝い金、高校や大学への通学費補助などです。
以下、2021年に実施された結婚・子育て支援の例を紹介します。
・和歌山県有田市:結婚祝贈呈事業
・北海道釧路市:乳児の紙おむつ用ゴミ袋交付
・北海道室蘭市:子どもの4ヶ月健診時に特産品
・栃木県益子町:子育て応援手当
・福井県池田町:ママがんばる手当
など
子どもがいる世帯に対して子育てに必要なものや商品券などを支給している自治体が多いようです。栃木県益子町の子育て応援手当は地域通貨子ども1人あたり1万円分のプレゼントとなっており、各自治体によっても特色があります。
まとめ
今回は、地方移住の支援制度や補助金、助成金について解説しました。首都圏から地方への移住を検討する際は、国や地方自治体が行っている移住支援を活用しましょう。
国による移住や起業の支援制度以外にも、ユニークな支援制度を行っている地方自治体があり、住宅や仕事、子育てなどの支援を受けられる可能性があります。
移住支援を受けたい場合は、制度の内容や要件をよく確認することが大切です。