シリーズ読者投稿〜あの時、あなたに出会えなければ〜 投稿者:Oさん(東京都・50代女性)

本命の大学に合格できなかった――高校3年生だったOさんは、電車の中でポロポロと涙をこぼした。

止めることができず、制服が濡れていく。つり革につかまりながら、バッグの中にハンカチを探したけれど見つからなくて......。

<Oさんの体験談>

高校3年生の時の大学受験。友人と2人で同じ大学を受け、発表を見に行った帰り道でのことです。

私にとって、本命の大学。

残念ながら不合格でした。

帰りの総武線の中で友人はとっても気を使ってくれて、私を励まし、明るく接してくれました。私も強がりながら、楽しく話をし、つり革につかまってしばらく2人で時を過ごしました。

友人は秋葉原で乗り換えのため下車。私はそのまま千葉方面に向かって乗っていました。

発車ベルがなりドアが閉まり、友人は手を振り私の姿が見えなくなるまで見送ってくれていました。

私も元気よくピースなんかしちゃって手をふりつづけました。友人が見えなくなり、ふと気がつくと、自然と私の顔に大きな涙が伝わって止まらなくなっていました。

「今でもとても後悔しております」

自分でもどうして?と思うくらい止めることができず、制服にも涙がこぼれ落ちていました。

吊り革につかまりながら慌ててバッグからハンカチを取り出そうとしたのですが、見つからず......。

その時、前に座っていたご婦人の方が何も言わずにそっとハンカチを渡してくださいました。

私たちが乗車してからずっと座っていたので、話が聞こえていたのかもしれません。

私は状況を悟られた恥ずかしさと動揺で声も出ず、頭を下げただけで次の駅で降りてしまいました。

連絡先も聞かないまま。その時はそんなことも何も考える余裕もなく。

今でもとても後悔しております。

もし、お伝えできるならありがとうございましたとお伝えしたい。

私の中で忘れたことのない40年近く前の出来事です。

誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!

名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。

Jタウンネットでは読者の皆様の「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。

読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、エピソードを体験した時期・場所、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度〜)、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。

(※本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談の一部を改変している場合があります。あらかじめご了承ください)