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『シュクリア』と言ったら、藤沢市民のソウルフードの一つでもあり、デカ盛りの有名店。藤沢育ちまたは藤沢に通学・通勤していた人のほとんどが知っている店であり、また、昔からデカ盛りを出し続けているデカ盛り界の老舗店でもあります。

 その味は、初めて食べた人でもどこか懐かしさを感じる、ザ・日本のカレー。でもお母さんの味とは一味違う、ここでしか食べられないクセになる味です。藤沢を離れた人が10年ぶり、20年ぶりにフラッと食べにくることも多く、新旧常連さんがいっぱいいる店だったりもします。

パーテーションに貼られたメニュー。各種大盛りは+200円。だからと言ってそのボリュームを知らずに大盛りにするとえらいことに…

 店内は昭和の雰囲気を色濃く残した、カウンター席が奥に伸びる細長い空間。カウンターの上にはこれまた最近リバイバル人気になっている、花柄プリントのポットにお漬物? が入っています。おそらくですが、ず~っと変わらない、10年前、20年前の常連さんも、先週来たような感覚になれる気がする。

 メニューを見て、一番ボリュームがあるものを聞くと、「ハンバーグ目玉カレー」とのこと。これに「各種大盛」+200円で注文です。

溢れる寸前のルーにそびえたつ山盛りゴハン! ハンバーグ目玉カレー(大盛)1377g

「ハンバーグ目玉カレー」950円+大盛200円。上から見るとハンバーグが隠れているけど、ゴハンの山と目玉焼きの間にいます

 待つことわずか数分。そ~っとやってきた「ハンバーグ目玉カレー」の大盛。ルーがふちギリギリ! そして笑っちゃうぐらいこんもりと盛られたゴハン。早速計測です。幅21cm、奥行き16cmのオーバル型の器に高さ14cm、重さ1377g(器の重さを除く)。

 大盛り注文の場合、ルーのおかわりが1回できるので、もしルーをおかわりしたら、1.4kgは軽く突破、おそらく1.5kgになる可能性大。2kgぐらい余裕の人はいいけれど、普通の胃袋持ちとしては、ルーとライス、バランスを考えて食べ進めないとえらいことになりそうです。

このルーのきわっきわ感。そして当然ですが、ゴハンはルーに浮かんでいるわけじゃない。器の底からそびえたっている状態。ルーのおかわりOKに納得

 しかし、器の6割ぐらいご飯スペース、しかも山。おそらくだけれど、ルーをおかわりしないと後半が白ごはんだけになってしまう。でも、カレーは1kg超えでも比較的スイスイ食べられるから、なんかいけそうな気がする。悩むより食べろ、ってことでしょうここは。ということで、ルーのおかわりをもらうこと前提で食べることにします。

 ルーはほんの少しとろみのある、サラサラに近い食感。野菜などはすでに溶け込んで形は見えません。スプーンでゴハンの山を横から掘削しつつ、食べ進めていきます。ちょっとのスプーンの動きでこぼしそうになったのでそーっとね。

創業時からレシピは変わらず。なので1970年ごろの創業時から同じ美味しさ。「先代からずっと作り方も変えてないですよ」(店主)

「カレーはルー作りに1日、スープ作りに5時間かけています。タマネギやショウガ、セロリなどが入っていますね。一回漉すので具がゴロゴロ、ではないけれど、野菜の味がしっかり出ているんですよ」と店主。

 そしてハンバーグは合い挽き肉とタマネギ、パン粉、卵で作る自家製ハンバーグ。味付けをしていないので、カレーに合わせて一緒に食べるハンバーグになっているとのこと。だから「カレーに一度沈めてから食べるといいですよ」。なるほど。ということは、ゴハンの山を削ってハンバーグが沈められるスペースを作り、ルーの水位を下げてからってことですね。

ゴハンの山にお玉を添わせてそーっとかける。溢れないギリギリまで注ぐのも技あり!(食楽web)

 食べ進めてほぼゴハンが半分ぐらいになったところで、ルーがほぼなくなった状態に。ルーのおかわりをお願いしつつ、もしルーがなくなってゴハンだけになったら? と聞くと「卓上にあるお漬物で食べる人も多いですよ~」とオーナー。お漬物はタマネギとお酢とスパイス油の漬物、キャベツとお酢とスパイス油の漬物、そして福神漬けの3種が置いてあります。

 このお漬物? インド風に言うならアチャール? がまた絶品。カレーともゴハンとも合う、スパイシーな美味しさ。確かにルーがなくなってもこれとゴハンでいける。そして口の中をリセットするのにもいいっ!「お客さんの中には自宅で作りたいからレシピを教えてほしいって言ってくれる人も多いんだけれど、何十キロって一気に作るからこの味になるので、家庭用のボリュームだと再現できないんですよね~」。まとめて大量に作るからこその美味しさなんですね。

カレーのルーがかかっている山の側面をスプーンですくう。山を削っていく、この感覚がたまらない~

「ゴハンの量は、普通で500g、中盛で750g、大盛で1000gです。そしてうちは好きな辛さにカスタマイズすることも可能。過去には3000倍の辛さで注文した人もいるんですよ」。ちなみに常連さんからの情報ですが、800~900倍の辛さが、蒙古タンメンのシロクマと同レベル、とのこと。あくまで一個人の体感値なので、そこはざっくりと。それでも3000倍の辛さって。激辛マニアの凄さを感じます。

 そして全メニューテイクアウト注文OK。店頭メニューから容器代+20円、そしてルーのみ注文の場合-100円。ご近所さんは鍋やタッパーを持参する人も多いそうです。さらに「前はこっちの方に住んでいたけれど、今は遠くに住んでいるからって、大きなタッパー持参で定期的に通ってくる人もいますよ」。しょっちゅう来られない距離だからこそ、大きなタッパーでまとめ買い、なんかわかる気がします。

「カツは無くなったら終わりなので、土日は朝から開店を待つお客様も。カツ狙いの場合はお早めの来店を」(オーナーの野田直希さん)

 ゴハン半分でルーがなくなったため、ルーのおかわりをしたところ、またまた器スレスレ、いっぱい注いでくれたオーナー。目測ですが、余裕でトータル1.5kg突破した気がします。でもさすがカレー。ルーのおかわりによって残りのゴハン
がスイスイ食べ進められる。

 せっかくおかわりしたんだから残したくない! おかわりして食べきれないなんて無様なことはしたくないっ! 終盤はもはや根性だけで乗り切り、なんとか完食。卓上の漬物がいい味変、リセットになったのも良かった。途中、容器代20円を払って持ち帰ろうか一瞬頭の中をよぎったけれど、カレーってやっぱりいける。改めてカレーデカ盛りの素晴らしさを感じました。

「完食するなら配分が大事ですね。たまに、ルーをおかわりしたのにゴハンを残しちゃう人もいるからね~」と笑顔で語るオーナー。ルーのおかわりや漬物などを考えると、おそらく2kgぐらいいける! という人にはおすすめかと思われます。+200円だからと思って気軽に大盛りにすると、どえらいことになる『シュクリア』のカレー。次回は大きなタッパーを持参して、家でも『シュクリア』のカレーを楽しめるようにしたいと思います!

(取材・文◎いしざわりかこ)

●SHOP INFO

店名:カレーショップ シュクリア

住:藤沢市藤沢96
TEL:0466-23-1478
営:11:00~15:00、17:00~21:00 (L.O.各30分前)
休:月曜(変動あり)